この記事は
「ライアー・ライアー」第9巻の感想です。
ネタバレあります。
はじめに
全ての黒幕なのか?
これまで裏で暗躍を続けてきた黒幕が登場。
緋呂斗との最初に戦いが描かれた第9巻の感想です。
ジョーカー紫音の活躍のさせ方が絶妙
修学旅行から休む間もなく3年生の試験に駆り出された緋呂斗。
シリーズで初めてゲームの途中から参戦するというシチュエーションでしたけれど、個人的には劣勢からの逆転劇そのものよりも紫音の慧眼に感服しました。
折角8巻で登場して、じゃあまた暫くさよならでは勿体なさすぎるキャラです。
とはいえ、あまりにも実力が桁違い過ぎて活躍場所が限定されるジョーカーでもある。
しっかりと手綱を握ってないと1人で物語を終わらせちゃうので、使いどころが難しい。
そういった制約の中でも、しっかりと彼女の活躍が描かれていたことに今回のプロットの妙があったと思ったのです。
作中ではっきりと比較されたり、明言があったわけでは無いものの、紫音の実力は作中で最強クラスと見て差し支えないかと思います。
彼女本来の家の権力も加味すれば、様々な意味で真の強者であり、恐らく文字通りのNo.1ではないかと考えています。
故に、直接的なゲームへの介入が許されないので、どうしても盤外からの手助けという位置づけに落ち着いてしまうのですが、それがまぁ見事な匙加減で描かれていました。
最初の手助けは、逆転への最初の布石となった「予言の穴」。
黒幕・越智との邂逅。
僕ら読者の目は、どうしたって彼の使うスキル「シナリオ・ライター」の予言に集中しちゃいます。
緋呂斗自身も、この時の5つの予言にばかり頭が向かい、物語も「予言が1つまた1つと的中していく様子」にスポットが当たっていく為、必然そこにばかり記憶に残っちゃうのです。
早い話、5の予言以外の予言のことは綺麗さっぱりと忘れていたのですね。
大事な事ではないと勝手に判断してしまっていた。
第三者的な視点で物語を見ている読者ですらそうなのです。
緋呂斗の主観込みで語られた「今まであった事」を聴いて、「《五月期交流戦》から今までの事全てが見えていた」という越智の発言に矛盾を見出せる紫音は異常ですよ。
次に彼女が活躍したのが、奈切との《暗闇遊戯》。
これまで《カンパニー》に支えられてきたとはいえ数々の強敵を打ち破ってきた緋呂斗や1年生ながら更紗に認められた実力者の主人公・夢野が、このゲームに於いては端役扱い。
それほど奈切と紫音の2人は、一段上の立場からゲームに参加していたのに、最終的には紫音の圧勝。
そして最後には、森羅のコアの正体を誰よりも早く見抜いた点。
これら3つの活躍からは、彼女の凄まじいまでの力が見て取れます。
少なくとも現在の緋呂斗の遥か上を行き、更には、黒幕である越智を唯一出し抜きました。
そして、大事なのは、そんな彼女の活躍無くして今回の逆転劇はならなかったという事。
ゲームの大勢を決めるような役回りでは無いけれど、彼女の活躍が無くても勝てなかった。
この匙加減が絶妙で、「ジョーカーを活躍させる」という無理難題を見事に捌ききっていたと感じたのです。
最終章への伏線?
ところで、最後の最後で今回は越智達が負けることが予言通りであったことが明かされたわけですけれど。
とすれば、紫音の暗闘も織り込み済みだったともとれるんです。
が、しかし、越智が紫音の帰還を予知できていなかったのも、やはり事実と思われます。
もし予知できていたのならば、第四の予知も完璧に実現されていたことでしょう。
どういうことなのか。
《シナリオライター》の予言の中では、緋呂斗がもっと活躍し、単独で森羅を破ることを想定していたのかもですよね。
けれど事実は、緋呂斗は紫音の助けを借りて、ようやく森羅を下せた。
あくまでも紫音はイレギュラーであって、であるならば、《シナリオライター》の予言を破るキーキャラクターということなのかなと。
年度末に開かれるアカデミー最大規模のゲーム。
越智は、そこで緋呂斗は《アルビオン》に敗れると予知を残しました。
最終章という言葉を使ってるくらいですから、この作品のクライマックスになるのでしょう。
最後の最後、緋呂斗が破れ、越智は8つ星となってしまうのでしょうか?
史上最大の危機を乗り越えるために、再び紫音が活躍する。
その布石が今回打たれたのだと感じた次第。
終わりに
夢野美咲。
出てくるたびに好きになるwww
面白すぎるでしょ、この子。
皆実雫とコンビを組ませた物語を短編で良いから読んでみたいな。
(何故皆実かというと、単純に僕が好きだからw)