この記事は
2012年冬アニメ総括記事、トップバッターは「偽物語」です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。
シナリオはやや引き伸ばしが気になった
全11話と通常のアニメよりも1〜2話少ない構成でしたが、それでもちょっと多かったという印象。
かれんビー編に7話は流石に割き過ぎに感じました。
「化物語」のヒロインズを上手い事ばらけさせて登場させていた為、冗長には感じなかったのですけれどね。
ま〜「化物語」の放送が直前だったりしたら、退屈に感じていたかも。
時間が結構空いていて、懐かしさがプラスに働いたというのもあるのかなと。
会話劇が面白く魅力のある作品とはいえ、流石に長すぎました。
その分「つきひフェニックス」は良かったです。
最初の歯磨きプレイ回は、「かれんビー」のエピローグ的な位置だと考えれば、実質3話程でしたしね。
テンポ良く展開されていましたし、月火の驚くべき真実等々見所も豊富でしたので。
とはいえ、シナリオは完全に「化物語」視聴者(原作既読者)前提でしたね。
ここからシリーズに触れても問題は無かったでしょうけれども、やはり知っているかどうかで大きく印象は変わると思います。
断然知っていた方が良いに決まってます。
その分キャラクターで補完していました。
ユニークで面白い会話って、そのままキャラクターの面白さに帰属すると思っています。
現実でも面白いキャラを持っている人って、やはり会話も楽しいですよね。
そんな訳で、アララララララララララギ姉妹は最高に魅力溢れるキャラでありました。
西尾維新さんの作るキャラクターって喋り方に特徴のあるキャラが多いですよね。
これって簡単にキャラ立てが出来る反面、これだけに頼ってしまうと薄っぺらいキャラになっちゃうと思うのです。
1話切りの使い捨てキャラ等々には効果的な手法ですけれど、メインを張るには、これに負けない程別の「属性」を付加しないといけない。
って事を書いておいてなんですが、この作品のメインキャラにはこの特徴が見られないんですよね(笑
月火の「プラチナむかつく」とかいう口癖は見られますけれど、喋り方自体は皆普通ですよね。
「ONE PIECE」でも感じる事なのですが、メインキャラは完全に中身(の性格)で勝負している印象が強いです。
簡単に言うと、一口とか一文で語りきれないというか。
今作で言えば特に火憐がね。
可愛くて強くて変人で。誰よりも正義を愛して、兄妹を愛しむ。
…何だか1行で説明出来ちゃった気がしますが気のせいです。
僕の文章力では表現できない程、深いキャラだったと思うのです。
そんなキャラ達が紡ぐ物語なので、総合的には面白おかしく視聴することが出来ました。
もう一度シナリオを振り返る。
改めて見つめ直してみたのです。
すると、新しい観方が出来るのではないかという事に思い至りました。
この観方ならば、引き延ばし感を感じないのではないかと。
今までサブタイトルに騙されていたのですよね。
盲信的になっていた。
「かれんビー」だから火憐が主役で、彼女の物語。
「つきひフェニックス」は月火の物語。
そういう風にしか捉えることが出来なかった。
「化物語」からの法則に従って当然そうであると思い込んでいたのですね。
でも、これが「偽モノ」だったなら。
「かれんビー」は火憐の物語に非ず、「つきひフェニックス」は月火の物語では無い。
どちらもファイヤーシスターズの物語だったのではないかなと思ったのですね。
前半はシスターズの信念に関する物語。
暦が「正義の味方ごっこ」と称していた2人の生き様も、事件を通す事で「偽物だからこそ、価値がある」というように変わった気がします。
正義の味方ごっこだからこそ、本物の正義にも出来ないことが出来る。
そういう事が描かれていたような気がしますね。
後半はシスターズと暦の絆の物語。
ホンモノの妹だと思っていた月火が実は怪異だったという衝撃的な偽り。
今後これ以上の事が兄妹を襲っても、暦は変わらず妹達を愛し、シスターズは暦を兄と慕うでしょう。
それ程の絆を見せてくれたと思います。
偽物と分かって尚、本物と同等に変わらず妹であることを誓っていましたしね。
こうすると、引き伸ばしとは思えなくなるのが不思議です。
「かれんビー」で火憐があまり出て来なかったのもこれで納得。
兎に角今作で描かれていたのは、偽物はホンモノを凌駕する事もあるという事でしょうか。
現実でも贋作作家が評価されたという事実があるようです。
参考:贋作と真作
非常に面白いコンセプトの作品だったと思いますね。
考えれば考える程色々な「答え」に到達するような。
うん。面白い作品でした!
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