「ONE PIECE」が面白いからこそ
何かのインタビューで尾田先生が「ONE PIECE」1本に漫画家人生すべてを注ぐ的なことを仰っていたと記憶しています。
確かに「ONE PIECE」の設定って凄いです。
グランドラインの設定が本当に凄い。
島ごとに独立した世界観を有りとしてるんですよね。
だから、恐竜がいる島だってあるし、「未来ずら~」ってなる科学が発展した島だってある。
なんだって出来るから、ある意味、「1つの漫画の中で、色々な漫画の世界を再現」出来る。
今後「ワノ国」に行けば、時代劇だって可能となるのでしょう。
似たような事を青山剛昌先生が「名探偵コナン」でやっています。
「コナン以外の作品を描きたい事もあるけれど、コナンの中で大抵やれちゃうから」と。
ラブコメ、アクション、アドベンチャー、サスペンス。
蘭や赤井など強いキャラもいるから、簡単なバトル漫画だって出来ちゃう。
舞台も事件毎に変えられるから、確かに「大抵のことは出来る」のですよね。
でも、メインキャラだけは変えられない。
どんなに世界観を変えられても、冒険するのはルフィであり、事件を解決するのはコナンなんです。
「ONE PIECE」が面白いからこそ、尾田先生の完全新作を読んでみたいという気持ちが湧きあがるんです。
週刊連載は酷
週刊連載は僕ら読者が思っている以上に過酷なのでしょう。
鳥山先生は「DRAGON BALL」の連載を終えた時点で、二度と週刊連載はしないと宣言。
以降は期間の決まった短期集中連載しかやっていません。
鳥山先生の3作目の長編漫画を読みたいのに、二度と読めなくなってしまいました。
「NARUTO-ナルト-」の岸本先生はどうなんでしょう。
雰囲気的に鳥山先生に近いものを感じてるんですが。
こちらも「ジャンプ」での完全新作長編を期待しているのですが、叶うのでしょうか…。
それを考えると、「こち亀」の秋本先生はバイタリティに溢れてます。
敢えて40年の長期連載を終わらせて、ハイ終わり…って訳では無く、新作連載に早くも取り組まれている。
架空の作家のお話ですが、ドラマ「重版出来!」の三蔵山龍と物凄く被るんです。
wikipediaに簡潔に纏められていましたので、抜粋します。
現在連載中の「ドラゴン急流」は、”ドラゴンシリーズ”の一篇。
およそ30年にわたるシリーズで累計発行部数は800万部を突破している。
その功績を認められ「ドラゴン急流」は第73回近代芸術文化賞・マンガ部門大賞を受賞した。
受賞記念パーティーの壇上で本作品の完結を以ってシリーズに終止符を打つと表明。
すわ引退か?!と、どよめく会場に三蔵山は、新たに作品を執筆することを高らかに宣言。
後進の漫画家や新たな才能に敬意を示した上で、老年になった自分もまだまだ挑戦し続けるのだと目を輝かせて言葉にした。
漫画って長期に亘って連載すると、色々な楔にがんじがらめになっちゃう事ってあります。
作家本人の意志で易々と終われなくなっちゃう。
「DRAGON BALL」なんて、鳥山先生が終わらせるって言ってから、会議が開かれたっていうじゃないですか。
色々な企業が携わっちゃうので、簡単にはいかないケースは往々にしてある。
尾田先生は好きで漫画を描かれていて、自由に「ONE PIECE」を連載している。
だから、今終わらせたいという意志は無いのでしょうけれど、仮の話として「今、終えたい」と言っても、そう簡単には終われない筈です。
下手したら往時の「DRAGON BALL」以上に簡単には辞めさせてもらえない「楔」があるんじゃないかな。
「こち亀」終了時に尾田先生が送った「泣ける。秋本先生はもう自由なんだ!!! 自由なんだーー!!!」という言葉の意味はそういう事なのかなと。
漫画家本人の意志とは無関係の「終了できない」束縛から解き放たれたという意味での「自由」。
これからは真に好きな漫画を描けるんだという自由を手に入れたと。
秋本先生がまだまだ漫画を描くことを好きなんだという事を分かった上での「自由」という言葉の選択なのかもしれません。
さて、やや脱線しかねましたが、尾田先生はどちらのパターンなのかなと。
バリバリと好きな漫画を描き続けている姿勢からは、秋本先生パターンになるんじゃないかなと予想できますが。
宣言通り全てを注ぎ込んで、燃えつきる可能性も無くは無い。
個人的には、「ONE PIECE」に全てを出し切った上での「連載2本目」を読んでみたい。
あの自由な発想から新たに生み出された世界観、登場人物での「全く新しい漫画」がどんな漫画なのか。
物凄く興味があるからです。
絶対に面白いと思うのですよ。
「ONE PIECE」以外の作品を読みたいなら「WANTED!」読めばいいじゃんと言われるかもですが、別に読切が読みたい訳ではありません。
連載作品が読みたいんです。
ページ数に制限の無い連載作品が読みたい。
終わりに
1作より多作出来る作家の方が凄いとかそういうことを言いたい訳ではありません。
ただ純粋に「ONE PIECE」以外の尾田先生の連載作品を読んでみたいのです。
才能に溢れているからこそ、その才能から生み出される新しい作品がどんなものなのかに興味が湧くのです。
と言っても「ONE PIECE」は完結まであと最低でも10年は掛かるでしょう。
終わる頃には、尾田先生も50代に突入してるかもしれません。
そこからまた週刊連載を望むのはちょっと酷。
だから、月刊でも、隔月でも、連載のスタンスは何でも構わない。
身体を壊されてから、定期的に休まれているので、余計に週刊じゃなくても良いです。
お体を労わりつつ、その上で。
読切では無くて、新作の連載漫画をいつか読んでみたいな。