この記事は
「週刊少年ジャンプ」に関する考察記事です。
かなり長い上に、超独りよがりな記事です。ご注意ください。
最近の雑誌の部数事情
僕自身殆ど知らない事ですが…。
それでも雑誌が売れていないという出版業界の抱える問題の触り程度は、ネットなどを通じて聞き及んでおります。
それは漫画雑誌でも例に漏れず、当然僕が20年は愛読しているであろう「週刊少年ジャンプ」もその渦中にいたりします。
では現状どうなっているのかと思い、少し文明の利器に頼ってみることとしました。
こういう時、本当にインターネットというものは便利です。
ジャンプという超有名雑誌だからというのもあるでしょう。ものの数分で目当てのモノに行きつきました。
さて。殆どの雑誌が年々部数を凋落させていくのに対して、微々たるものでありますが、減少傾向にありながらもここ数年は微増している事が分かりました。(下表参照)
年 | WJ平均発行部数 | 概要 |
---|---|---|
1986 | 400 | |
1987 | 410 | |
1988 | 430 | |
1989 | 460 | |
1990 | 480 | |
1991 | 530 | |
1992 | 590 | |
1993 | 610 | |
1994 | 620 | |
1995 | 555 | 653万部達成 |
1996 | 480 | |
1997 | 405 | 「ONE PIECE」連載開始 |
1998 | 360 | |
1999 | 363 | |
2000 | 363 | |
2001 | 340 | |
2002 | 320 | |
2003 | 300 | |
2004 | 300 | |
2005 | 290 | |
2006 | 280 | |
2007 | 278 | |
2008 | 279 | |
2009 | 281 | |
2010 | 288 | |
2011 | 289 |
僅かとは言え、何故回復に至ったのか。
様々な要因があると思いますし、その真なる理由は僕なんかには到底知り得ない事です。
ただしかし、その理由の一端くらいには思い当る事があります。
「ONE PIECE」の大ブーム
先程も書きましたように要因は様々でしょう。
上げようと思えばいくつかはWJ読者なら上げられるでしょうけれども、やはりそれが正しいかどうかは判断がつきません。
編集部と言えど、その辺の分析が正確に出来ているのかどうかすら怪しいと思ってもいます。
ただ、そんな状態でも間違いなく関係しているだろうと真っ先に思い浮かべるのが、やはり「ONE PIECE」の存在です。
先程の表に、今度は「ONE PIECE」の初版部数を入れたものと、それをグラフ化した物を載せてみます。
ここで注釈ですが、この表ちょっとした齟齬があります。
社団法人 日本雑誌協会が発表しているデータは、当年10月一日から翌9月末日までの期間に発行された雑誌の平均部数であり、また、「ONE PIECE」の初版発行部数は「公表されているデータ中、当年に発売された巻の中で最高の部数」を記した物であります。
従って、WJ平均発行部数とOPの初版部数の間には時間的な齟齬が多少見られる事を先に付け加えさせて頂きます。
年 | WJ平均発行部数 | JC発行月 | OP初版部数 | 巻数 |
---|---|---|---|---|
1986 | 400 | |||
1987 | 410 | |||
1988 | 430 | |||
1989 | 460 | |||
1990 | 480 | |||
1991 | 530 | |||
1992 | 590 | |||
1993 | 610 | |||
1994 | 620 | |||
1995 | 555 | |||
1996 | 480 | |||
1997 | 405 | |||
1998 | 360 | 12 | 88 | 6 |
1999 | 363 | 12 | 135 | 11 |
2000 | 363 | 12 | 204 | 16 |
2001 | 340 | 12 | 230 | 21 |
2002 | 320 | 12 | 260 | 26 |
2003 | 300 | 2 | 263 | 27 |
2004 | 300 | 3 | 250 | 32 |
2005 | 290 | 2 | 225 | 36 |
2006 | 280 | 12 | 220 | 44 |
2007 | 278 | 12 | 244 | 48 |
2008 | 279 | 12 | 246 | 52 |
2009 | 281 | 12 | 285 | 56 |
2010 | 288 | 11 | 340 | 61 |
2011 | 289 | 11 | 400 | 64 |
「ONE PIECE」はご存知のように、今では大変な部数を誇っております。
連載中期でも大ヒットの部類には居ましたが、それでも200万部を超えた程度の初版で有り、本編の内容的には「空島編」辺りから人気に陰りが見えてたことが読み取れます。
どんな大ヒット人気漫画であろうとピークを過ぎると部数は減少を辿るものなので、ワンピに至ってもそのような普遍的な現象は起きていました。
ワンピの凄い所はそこから盛り返して、前人未到の400万部という真に化物染みた部数まで上り詰めた点なのですが、本稿はそれを分析するようなものではありませんので割愛させて頂きます。
但し必要な部分にはちょいと言及させて頂きますと。
この一大ムーブメントを巻き起こしたのは、今から3年ほど前の2009年。
前兆まで含めるともう少し前になるのかもですが、兎も角本編が「戦争編」にあった頃ですね。
漫画本編の盛り上がりもさることながら、尾田先生完全監修と銘打たれた「STRONG WORLD」の公開もこの勢いに十二分なプラスを齎した事は、火を見るよりも明らかで。
グラフを見ても分かるように、WJの部数増とOPの初版増が、2009年から始まっているのも偶然では無いと考えられます。
盛り上がるワンピの連載をいち早く読もうと思った読者が、2009年から連載誌であるWJそのものを買い始めたのでしょうね。
繰り返すようですが、様々な要因があろうと推測される中、ワンピの功績は確かにあったものと思われるのです。
ジャンプシステムは古い
そうなってくると心配なのが、このブームが終わった後。
もっと言うと、まぁ当分先の話ではあるものの「ONE PIECE」の連載が終わった後の事ですよね。
かつての暗黒期を上回る部数凋落が心配になってきます。
95年にギネスにも申請される部数を記録しておきながら、「DRAGON BALL」、「SLAM DUNK」、「幽☆遊☆白書」の3本柱の相次ぐ連載終了と共に、いっきに部数を落とした当時。
それを上回る惨事が待ち受けていそうだという事は、近年の出版不況を見れば想像には難くなく。
とは言え、僕はWJとは無関係のだたの一読者に過ぎません。
一読者が例えWJを20年買い支えようと、100年買い支えようと、どこまで行っても所詮は一読者のままであり。
いやいや。アンケを出した事がただの一度も無い事を考えると、たんなる一読者以下の価値しか僕には無いのかもしれません。
そんな人間が一企業が発行し続けている雑誌の行く末を案じる事自体不毛であることは重々承知しています。
だけれど、やっぱり心配にはなります。
というのも、最近の…というか近年のジャンプはどうもワンピら看板勢におんぶにだっこの状態に見えるからです。
そろそろジャンプシステム…中でもアンケシステムは終わらせた方が良いと思うのですよね。
このアンケシステムが、WJの礎を築いたというのは、まぁ、本当の事なのだと思います。
でも、最近このシステムの悪い部分ばかりが目につきます。
簡単にアンケシステムについて言及させて頂きますと、
アンケートの結果によって、例え大御所であろうと人気が取れなければ短気打ち切りとなる。
逆に、人気が出た場合は、その人気が落ちるまで半ば強制的に連載が強いられる。
というものです。
現在のジャンプは、特に後半の部分が目立っております。
看板勢は当然の如く「銀魂」や「リボーン」などの中堅勢まで連載が長期に渡っており、「連載漫画の高齢化」は甚だ深刻な状況に思えてなりません。
ニコニコ動画で検索すると「週刊少年ジャンプ連載期間ランキング」なる動画がヒットすると思いますが、これを見て頂くと、現状が分かると思います。
(一応動画へのリンク。アカウントが必要です。)
2010年に投稿された動画なので、現在では順位も多少変動すると思いますが、それを考慮しなくともトップ30以内に連載中作品が7本とか異常だと思うのです。
「HUNTER×HUNTER」は結構微妙ですし、「こち亀」を例外として見ても、それでも多過ぎる。
もっと新しい次の世代の漫画を増やしていかないと。
これらの人気漫画が終わってしまうと考えると本当に怖いです。
ワンピの件でも分かるように、結局は「面白い漫画が載っているかどうか」。
ここに行きあたるのだと思っています。
面白い漫画が載ってさえいれば、雑誌の部数はこんな不況下でも下げ止まる。上昇に傾く。
今のうちに、新しい漫画をどんどん量産していかないと、本当に後が怖いと思っちゃいます。
アニメ化への対応
これも今後考慮すべき事なんじゃないでしょうか。
WJの繁栄とアニメって、どう考えても切っても切れない関係だと思います。
アニメの為に原作が引き延ばされたりと悪い部分だって勿論ありそうですが、良い部分は当然あって。
歴代人気漫画はどれもアニメになっていて、そこから作品の人気が爆発し、WJ本誌の売上に繋がったと見るのが妥当でしょうから。
ただし、時代の流れでこれも変わってきていると思うのですね。
やはりアニメになる以上は、その放送期間も長いに越した事はありません。
特に週刊誌連載の漫画は連載が長期に亘る場合が多く、1クールや2クールでは消化しきれない事が殆ど。
長く放送されれば、それだけフィードバックも長期に渡って期待できますしね。
ですけれど、今その長期間放送出来る枠自体が減って来ています。
ゴールデンアニメはどんどん姿を消し、テレ東ですら6時代のアニメの本数が半分に。
只でさえ少ない枠には、「サザエさん」らご長寿番組が鎮座し、その後釜に入る事を考えていると連載が終わってしまいますw
現在のアニメは、どうしても深夜の、1クール〜2クール程度の尺になってしまう事が殆どで、これは致し方ない事ですよね。
「めだかボックス」や「黒子のバスケ」。「ぬらりひょんの孫」も入れても良いかもしれない。
WJ連載作品でも徐々に深夜放送にシフトせざるを得なくなってきています。
昔からすると考えられない事だったんですけれどね。
当時は深夜アニメが少なく、ゴールデンアニメがまだまだ頑張っていたという事もあるのですが、「BOY」が深夜で放送される事を知った時は本当に驚きましたもの。
「WJ漫画でも深夜になっちゃうのか」と。
(当時の僕の認識が ゴールデン>深夜 であったという事も付け加えておきます)
それが今や当然となりつつある。
とすると、短いスパンで話が区切れる…若しくは終わる「深夜アニメ向け」の連載漫画というのもあっても良いのかなと思うのです。
理想像は「DEATH NOTE」でしょうか。
例え人気が出ても、スッパリと3〜4年程度の連載期間で終わる。
そんな作品。
そういう作品が連載され出しても良いのではないかな〜と思います。
まとめ
グダグダとド素人の一読者程度が書いてきましたが。
最も言いたいのは、新陳代謝が悪すぎるという事です。
人気だからという理由で、延々と延命させる事にも限度というものがあります。
これを続けていくと、雑誌の未来に不安を覚えます。
まさしく今のジャンプがそうなのだと思っています。
好きだった作品が短期で打ち切られていく様を見るにつけ、アンケシステムを呪う事はありますが、それは致し方ない事。
続けて人気が出る保証はやはりありませんし、そんなifを妄想しても意味が無い。
でも、ある程度は続けてみて、編集部が判断する事は、この先もっともっと重要になるんじゃないかな。
これまでもそういうケースはあったようですが、寧ろそれが当たり前になっても良いんじゃないでしょうかね。
既存の人気漫画に票が集まる事なんて、言ってしまえば当たり前の事で、それで人気作品を延命し続けたら本当にキリが無いです。
「人気漫画を終わらせる事は読者を裏切る事」という考えならば、「人気が落ちた人気漫画を打ち切る事」の方が読者に対する裏切りだと感じます。
作品の賞味期限を読者に任せるのも結構ですけれど、もっと編集部や、そして作家さん自身の意志で綺麗に終われるようになれば、良いんじゃないかと思っています。
僕はこの先もWJを買い続けると思います。
20年続けた行為(と言っても半分以上は親が買ってくれていたのですが)は、今更やめられそうにありません。
僕の意志としてもやめたいとは考えてすらいない事です。
人気作に依存する・延命する現在から、新しい作品に期待するような雑誌に戻って欲しいですね。
参考サイト一覧
1.ジャンプ作品売り上げ推移
2.社団法人 日本雑誌協会