大食いキャラへの批判が少ない理由〜「DRAGON BALL」悟空の回避策〜

この記事は

大食いキャラに関する記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

はじめに

大食いキャラは、いっぱいいます。
アニメワンでは、アニメキャラの大食いキャラランキングなんてものもありました。
1位から順にインデックス(「とある魔術の禁書目録」)、カービィ(「星のカービィ」)、神楽(「銀魂」)って感じみたいですね。
このランキングでは、8位にトリコ(「トリコ」)が入っているのは、グルメバトル漫画の面目躍如という所でしょうか。

さてさて。
大食いキャラ。
どのような意味があるのか?
何故、大食いなどという属性をキャラクターに付属させているのか?
考えてみました。

大食いの欠点

その前に大食いについて書いていきます。
TVのバラエティ番組などでお馴染みですが、早食いと一緒くたにされる事が多い「大食い」という行為。
というか、逆ですね。
「早食い」の人は「大食い」の傾向が強いという事かな。

「早食いをすると、脳内視床下部にある満腹中枢の反応が鈍り、結果必要以上に食べ過ぎてしまう傾向がある。」
というのは、良く聞くお話です。

医学的にも関係の深い早食いと大食い。
以下同一視して書いていきます。

お馴染みwikipediaから早食いの特徴を抜粋します。

・あまり噛まないで飲み込む
・味はお構いなし
・大抵は大食いでもある
・水を大量に飲む

ここで重要なのは2番目の特徴。
「味はお構いなし」という部分ですね。
忙しさにかまけて、どうしたって早食いになってしまう人は、現代では非常に多いという印象。
そうすると、上記に挙げた様に、ついつい食べ過ぎてしまう。
味を楽しんでいる余裕も無い程忙しい人だっているし、彼らは食事を楽しめないでいる事も多いんじゃないでしょうか。

こういう現代的な解釈から大食いというものを捉え、この視点で大食いしている人(又は、それを目的としたショー)を見るとどう思うか?
嫌悪感を催す人もいるんじゃないでしょうか。
世界的に食べたくても食べれない、貧しい人達がいるからというのもありますね。
食(材)への冒涜だという意見も聞いたことがあります。
実際、早食いや大食いを主とした番組には、こういった批判意見も多いようです。
(批判の理由は、様々であることを一応付け加えておきます)

現実と比べて、三次元の世界にまで同様の批判を行う人も少ないでしょう。
けれど、好意的に見られない事もある特徴をわざわざキャラクターに持たせているのは何故なのでしょう。

大食いの長所

大食いの悪い部分を先に書いてみましたが、けれど、決して悪いだけのイメージばかりがある訳ではありません。
健啖という言葉は、大食いを肯定的に捉えた言葉の一つでありますね。
この言葉を辞書で引いてみると、以下のようになります。

好き嫌いなくよく食べること。食欲が旺盛なこと。また、そのさま。

この「好き嫌いなく」という部分は、子供の食育を彷彿とさせます。
って書くとちょっと大げさですね。

まあ、子供の頃誰もが母親から言われる言葉として「何でも食べなさい」というものがあると思います。
よっぽど小さい頃から何でも食べる子でも無ければ、一度くらいは言われる「躾」の一つ。
好き嫌い無く、なんでも食べる子に育てたい。
これって、世の親の目標の一つと言っても良いのかもしれないです。
良く食べる・何でも食べるっていうのは、「元気」とか「健康」というイメージが強く、だからこそ目標たり得るんでしょうね。

とすると、良く食べるキャラクターというのは、好意的に見られる事になりますよね。
実際大食いのキャラクターは、明るく元気なキャラでもある事が多いです。

大食いは元気の象徴と呼んでも良いと僕なんかは想うのですね。

但し。
それでも、悪いイメージが払拭される訳では無い。

孫悟空の場合

大食いキャラといえば、僕の中では「DRAGON BALL」の悟空になります。
元気一杯の健康優良児。
少年の頃の悟空は、まさしくそういうキャラクターでした。
「大食い」の持つ正のイメージを体現したようなキャラクターだった訳です。

で、悟空に対して「無駄に食べ過ぎ」とか「食への冒涜だ」とかいう類の批判はあるでしょうか?
無いとは…言えないですね(汗
そういう事を言う人も世の中には居そうです。

でも、そういう声は圧倒的に少ないはず。
多くの人は、「大食い」の負のイメージを当て嵌めて、悟空を見る事は無いと断言できます。
そう断言する理由が2つあります。

1つ。
悟空は食事を楽しんでいるから。
食べる事が何より好きで、何より「美味しく食べている」。
悟空はよく叫びますよね。食べながら。
「うめえーっ!!」って。
たったこの一言で、負のイメージを払拭しているのです。

だって人間、美味しい物は食べ過ぎちゃいますしね。
食事の場が楽しければ、特にそういう傾向にもなります。

悟空が食事を楽しんでいる(生きがいと言ってもいいかもしれない)事が良く分かるのが、天下一武道会でのジャッキー・チュン(亀仙人)との決勝戦。
チュンの必殺技・よいこ眠眠拳によって深〜い眠りにつかされた悟空。
あわやテンカウント負けかと思われたが、ブルマの機転で難を逃れました。
「孫くん ご飯の時間よーっ!!!!」
これで。

絶対に起き上がる事の無い状態なのに、あっさり起きる悟空。
食べる事が何よりも好きであることがハッキリと分かるシーンですね。

2つ。
サイヤ人だからという後付の設定の功績。
ベジータ、悟飯、悟天、トランクスと。
サイヤ人は皆常識外れの大喰らいという事になりました。

地球人とは、腹いっぱいの基準が違う。
批判する事が馬鹿らしくなる、究極の批判回避方法です。
いや、まあ、勿論鳥山先生にはこのような意図は無かったでしょうけれども。
結果的に、こういう観方も出来るのかなって。

まとめ

「ONE PIECE」のルフィもまた、大食いであり、悟空同様元気はつらつ少年。
この作品でもまた、批判回避策は何気なく取られていると思ってます。
食事を楽しむという事を極めるという方法で。
宴の事なんですけれどね。

ところで。ルフィと言えば「体型が変わる程食いまくる」というのが特徴。
もう本当に分かりやすく丸々とした体型になります。
運動すると簡単に元の体型に戻る辺り、この辺は漫画的誇張が分かりやすい程出ています。

これって「ONE PIECE」固有の表現では無く、昔っからある表現。
アニメ「サムライチャンプルー」でも取り入れられていました。
このアニメでは、何を思ったかヒロインのフウが食べ過ぎてデブ化するエピソードがありました(笑
食い過ぎてデブ化した所を悪者に見られ、彼女は知らず知らずのうちに追われる事に。
しかし、その後簡単に元の体型に戻ったから、別人だと思われ難を逃れるという…。
当時爆笑したシーンでした。(第15話より)
アニメ(や漫画)にしか出来ないギャグシーンであり、これも大食いという設定が齎す点ですね。

このように、体型を極端にデフォルメしてコメディ調で見せる事も、批判を跳ね除ける事に一躍買っていそうです。
記事の頭の方でも書いたように、わざわざ漫画やアニメに向かって「大食い」に関する批判を浴びせる方は少ないはず。
けれど、それでも不快に思われる人もいるだろうし、そういう不快な気分をさせないよう様々な配慮が施されている…。
訳ではないでしょうけれど、そう分析する事も出来て、なんだか面白いなと。

漫画のキャラは皆幸せそうに・美味しそうに食事を摂っています。
だから大食いにも、寛容な…というとなんか変だけれど、暖かな目で見る事が出来ている。
大食いの良い面だけがキャラに投影されるという長所もあり、だからこそ、大食いキャラは不滅なのかもしれません。

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