この記事は
「俺の妹がこんなに可愛いわけがない 十年目の再会」の感想記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。
はじめに
あっはっは…。
BD、明日発売だと思ってた。ついさっきまで…。
とっくに発売されてたの知って、慌てて家の中探してしまった。
ネット通販も便利だけれど、あれですね。
ちゃんと確認せんとダメっすね。
最近はメールもろくにチェック出来てないからな〜…。
という事で、1週間遅れの感想です。
ずっと忘れずにいたい
有り体な感想だけれど、作者のメッセージが色濃く出ていた部分に大いに共感です。
桐乃が珠希に言っていた台詞は、まんま作者から読者へのメッセージなのでしょうね。
「漫画でも、小説でも、アニメでも」って部分は。
ここで、「小説」を入れてくるところがミソですよね。
この時の桐乃は、優しく珠希に語りかけています。
珠希の気持ちになって、同じ目線で語りかけている。
そうすると、「小説」というワードが出て来る事は幾らか不自然です。
一般的な観点から見れば、とっても自然ではあるんですが、小1の珠希にとってはちょっと慣れ親しみの無い物。
まだ活字媒体にはあまり縁が無い年頃でしょうから。
完全に珠希の観点に立っての台詞であれば「漫画でも、アニメでも」だけでこと足ります。
だから、僕は思うんです。
このセリフは、珠希への言葉に見せかけた、作者から読者への言葉なのだと…。
「小説」である「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」も、忘れないで居てくれる限り、ずっといつまでも一緒だよ…と。
アニメから入ったとはいえ、原作を滅法気に入り、そして名残惜しさがまだまだ心の中に燻っているのですが。
この言葉で、漸く区切りを付けられた気がします。
これまではスピンオフでも何でも書いて欲しいと思ってましたし、もし関連書籍が発刊されれば喜んで飛びつきますけれど…。
一先ずは、表だって望む事は止そうかなと。
作中で「もう、この作品は終わったんだよ」と言われてしまったので。
先はあるかもしれないけれど…それでも終わった。続きは無い。
10年後の「メルル」リメイクを見た珠希。
「おかえり」と言ってました。
彼女と同じセリフを10年後、原作を読み貸す事で。BDを見返す事で。
僕も言えるようで有りたい。
言えると思うんです。
僕は10年位では忘れる事は無いと思っていますから。
既刊の細かい部分は既にどんどん忘れて行ってますけれど…………。
そこは、まあ、人間だもの…。
今度読み直そう。
はっきりと描かれなくて良かった10年後。
読む前は「原作未読者にとってとんでもないネタバレになるんじゃ?」と思っていたのですが、そうじゃない内容で、ちょっとビックリ。
そして、同時に安心もしました。
10年後の京介らがどうなっているか。
知りたくなかったわけではありませんし、やっぱり興味はありました。
けれど、”知りたく無かった”という思いも同時に抱えていたんです。
なんといいますか‥。
最終回後の未来の姿を描かれると、これまでの物語がいっきに「過去化」しちゃうのが嫌だったんです。
全部「過去の思い出」にされちゃうと、しんみりとした気分になっちゃうというか…。
表現力も語彙も乏しくて、自分の気持ちを言葉に出来ないのですけれど、兎に角嫌だなという部分もあって。
だから、こういう話で良かったです。
確かに時が経ち、10年後の桐乃が描かれてしまった。
けれど、10年後の彼女のドラマは何一つ分かってないんですよね。
「何一つ」というのは間違いですね。
分かった部分もあった。
未だに黒猫との交友が続いている事。
多分平日なのに、家に居る事。(平日が休みの仕事なんて有り触れているので、ここからどうこう推測が出来ない事も良い)
そんで、高坂家に居る事…。
色々と勘繰れば、何とでも想像出来る事。
情報が描かれていないから。
穿った読み方は幾らでも出来ます。
でも、ここは素直に読んでみたい。
10年前の京介の願いは、10年後にも効力を失ってなかったんでしょうね。
「何処にも行くな」
10年後の京介が何処に住んでるかは不明ですが、今もまだ兄弟仲良く実家暮らしをしているのかもしれませんね。
はっきりと描かれずに、この位の想像の余地を残してくれる物語が心地よかった。
「10年前」の本編が色褪せる事無く、何度も読み返せるから。
また、最終回後に一層の希望を頂けるから。
作品の本当の最後を飾るに相応しい、素敵なエピローグでした。