原作既読者からの意見
先日とある記事を拝読しました。
原作既読の方と思われる方の記事です。
原作に関するネタバレが含まれておりますので、下記リンク先の記事を読まれる場合はご注意下さいませ。
参考:「アニメ版『パパのいうことを聞きなさい!』の致命的な欠点について」 積読バベルのふもとから さん
実に興味深い記事でした。
成程なぁと。
アニメ版の抱える”弱点”を的確に突かれているな〜と感じました。
原作未読の僕ですら作品の歪な面は気になっていましたもの。
ただ僕はそれでもこの作品を前向きに捉えたいと思います。
原作を未読だからこんな事が言えるのかもしれません。
でも、未読の何も知らない人間だからこその捉え方もあるんじゃないかなと。
てなわけで。僕の「パパ聞き」最終記事です。
ラブコメに振った演出
参考先の記事でも触れられていた事ですが、この作品はやたら萌えだのコメディだのに振っています。
OPもやたら明るいですしね。
最近の風潮や元々の絵柄などからすれば、こうなるのも止むを得ないのかもですが、確かにシリアスな部分は薄れているような気がします。
以前別の記事で書いたことなのですが、これらは空を中心にしているからだと今でも思っております。
「パパのいうことを聞きなさい!」 第6話 明るいオープニングと暗い本編の齟齬に関して
詳しくは上記の記事を読んで頂きたいのですが…ようするに祐太に淡い恋心を抱いている空を中心に添えているからこそ、無駄に明るいラブコメ調の演出になっていると思っています。
今回はこの考察の補足…という事になります。
何故「きらきら星」?
作中でこれでもかと使われているこの有名な歌。
軽くググったのですが、疑問に持たれている方も多いようですね。
僕もその一人です。
何故なんだろう?と。原作でも使われているのかな?と。
ホントに軽くしかググらなかったので、同じように疑問を持った人たちの「回答」までは見なかったのですが、ネットでは既にこれから僕が提示するのと同じような答えが出ているのかも。
もし似たような事を言っていても勘弁して下さいませ。
と、予防線を張ったところで書いてみます(笑
えと。
この「きらきら星」という歌。
調べたら、驚くべきことに原曲は「恋の歌」なのですね。
18世紀末のフランスで流行したシャンソン”Ah! Vous dirais-je, Maman”(あのね、お母さん)という歌が原曲だそうです。
現在日本で広く慕われていて、このアニメでも歌われているものは、イギリスでの替え歌”Twinkle, twinkle, little star”(きらめく小さなお星様)だそうです。
つまりは、この歌は2つの面を持っているという事ですね。
原曲を重視するのであれば、このアニメが「恋する少女の物語」であるという事。
原曲の日本語訳を見ると、歌の主人公は女性の様です。年齢は未成年では無さそうですが、「パパ聞き」に当て嵌めると空しか思い浮かびません。
やはりこのアニメ版は、空の恋を前面に出したものとなっていると言えるのではないでしょうか。
また、替え歌の方を重視するとどうなるか。
色々と解釈が出来そうですが、僕は「3姉妹から見た祐太の事を謳っている」ように解釈しました。
きらめく、きらめく、小さな星よ
あなたは一体何者なの?
世界の上空はるかかなた
空のダイアモンドのように
きらめく、きらめく、小さな星よ
あなたは一体何者なの?
「小さな星」が祐太ですね。
三姉妹にとって祐太は煌くほど眩しい存在であったことでしょう。
両親を失った3人にとって文字通り希望の光となってくれたのですから。
でも、同時に脆く危うい存在である事も歌の中で提示されている気がします。
「小さな」という部分と「ダイアモンド」の部分です。
小さいというのはそのまま。
ダイアモンドは確かに硬度が高く、一見すると頑丈・堅固なイメージがありますが、耐衝撃性が悪く瞬時の衝撃でバラバラになってしまう程の脆さも持っています。
なんとなく祐太みたいではありませんか?
祐太は非常に弱い子です。
空たちの異変には気付かないし、バイトを増やせば何とかやっていけると思い込んでいる程経済観念(ていうのかな)がありません。
この辺は先に記した積読バベルのふもとからさんの記事内でも指摘されていますよね。
スタッフはやはり祐太のダメさ加減をしっかりと認識しているのではないでしょうか。
と書くと問題ですね。
原作の祐太の事を知らない僕はこんな事を書けません。
「アニメ版に於ける祐太のダメさ加減をスタッフは認めている」とするのが正しいかな。
あくまで僕の想像ですが、こう想うのです。
祐太のダメさが際立ってしまった事を承知の上で、シリーズ構成を組んで、空の恋を前面に出した作品として作っている。
と。
きらきら星はそれを暗に示しているのではないでしょうか。
既にご存知の方が多いと思いますが、この作品は集英社の多数の雑誌でコミカライズが展開されています。
それぞれ漫画家を変え、しかも作品の主人公まで変えています。
中身も原作重視(準拠と呼べるかは不明)の物から、完全なスピンオフ(オリジナルストーリー)のものまで様々。
アニメ版も同様の趣旨の下作られているのかもですね。
だから原作と趣が変わってしまった。
でも、僕はそういうのも面白いと思うのです。
確かに原作ファンからしたら面白くないかもしれません。
僕がその立場になったら文句の一つや二つ言っているでしょう。文句を言わないなんて断言できないです。
あくまで原作を知らないから言えると分かっていますが。
アニメスタッフが心血注いで提供してくれている以上、僕らもなるべくなら前向きに解釈すべきなんじゃないかなと思うのです。