はじめに
先週末は見たい映画が目白押しでした。
17日に「銀魂2」を先ず鑑賞。今日21日に「七つの大罪」(明後日感想アップ予定)。
そして、19日に今作を鑑賞しました。
今日は、映画「ペンギン・ハイウェイ」の感想になります。
総評としては…残念だった
見終わった瞬間、「面白かった~」と胸を張って言えるような映画ではありませんでした。
「この謎を解いてごらん」
劇中でお姉さんが主人公・アオヤマ君に放った挑戦状は、しかし、誰にも解かれる事無く終わります。
分かりやすいテーマが提示されていた訳でも無ければ、明確なキャラクターの成長が描かれていた訳でもない。
お姉さん自身すら分からない多くの謎を孕んだまま、物語は1つの別れと将来的な再会の希望を抱かせて終わります。
脚本面で不満を残したままであり、映像面でも殊更に面白い絵とは言うのは無く。
演出もたんたんとしており、どこか盛り上がりの欠ける・冗長感すら抱く有様。
最後まで大人であろうと背伸びするアオヤマ君に感情移入は難しく、キャラクターに寄り添うことも出来なかった。
なんとも言えない微妙な映画だったというのが、率直な感想です。
アオヤマ君役を好演されていた女優の北香耶さんをただひたすら絶賛するだけの記事にしようかと本気で検討しました。
感情の起伏の少ない役とはいえ、声優初挑戦とは思えないほど自然な”アニメーションとしての演技”は、とても良かったです。
さて、これで終えても良いのですが、それじゃあまりにも感想としての態を成していないので、もう少しだけ踏み込んでみます。
批判するのは簡単ですが、美点を語らないと建設的ではないですよね。
僕の思った今作のテーマについて、少しだけ触れさせてください。
考察
アオヤマ君は非常にこまっしゃくれた少年です。
立派な大人になる事を日々考え、1日1日を大切に踏みしめながら生きている。
お姉さんの胸についてだったり、考察してることは大変くだらなくて、内容自体は子供染みているんだけれど、それ以外は小学校4年生とは思えないところがあります。
子供らしくない彼の性格を最も良く表現されていたのが、「泣かない」ことです。
感情の高ぶりが激しい少年期は、一言で言えば「泣き虫」です。
ガキ大将のスズキ君ですら、アオヤマ君の作り話に騙されて恐怖で泣きわめいていますし、ウチダ君、ハマモトさんは言うに及ばず。
皆泣いてるんです。
けど、アオヤマ君は泣きません。
スズキ君らに自販機に括りつけられ、冒険地図をビリビリにされてオシッコまでされたにも関わらず泣かない。
この時、ウチダ君にある意味裏切られているにも関わらず、恨み言ひとつ言いません。
(ウチダ君の為に仕返しした結果の”報復”にも関わらず…です。子供なら理屈より感情論に訴えて、「ウチダ君の為にやったのに~」と泣き叫んでもおかしくない場面でした)
妹が「(将来的に)お母さんが死んじゃうのは嫌だ~」って泣き付いてきたのに泣きません。
死についてある種受け入れている彼は、小4の少年なら妹につられて涙を見せても不思議ではないのに、やはり泣かないんです。
子供は泣いてナンボみたいな考えが僕にはあります。
元気いっぱいだろうが、大人しかろうが、クールだろうが、大人びていようが。
子供は皆ちゃんと泣く時に泣く。
自販機に括りつけられれば、不安で泣くよ。
友達と冒険に使ってた地図を破られれば、悔しくて泣く。
死について考えさせられれば、怖くなって泣いちゃうさ。
泣くんだろうな~と身構えてても、アオヤマ君は決して泣かないんです。
子供らしくないと端的に見て取れたのが、この「泣かない」点なのです。
そんな彼が、終盤でやっと涙を流します。
大好きなお姉さんと別れることになって、静かに頬を濡らす。
やっと彼も”子供なんだな”と感じたシーンでした。
お姉さんの存在はどこまでも謎なんですよ。
アオヤマ君にもお姉さん自身にすら分からない。
これはだから、希望とも言えるんですよね。
死というのは、謎でも何でも無く「心肺が停止し活動できなくなること」という科学的・医学的な証明がされている事象です。
だから、死別は二度と会えないということが分かりきっているんです。
「また会えるかもしれない」という「希望」を抱く余地が無いんです。
対して、お姉さんとの別れは、お姉さん自身が何者なのか不明なので「また会えるかもしれない」と考えても不思議じゃないんですよね。
その希望を否定する材料は誰も持ち合わせていないんだから。
子供だったアオヤマ君は、しかし、彼らしく前を向きます。
もう涙は見せないというのは、お姉さんと再会の可能性を信じられるから。
アオヤマ君を泣かせたのは、彼もちゃんとした子供だと証明するためだと感じました。
何故なら、子供は諦めないから。
希望を信じて生きていけるから。
多くの大人は「未知」から目を反らしたり、諦めますが、子供は「知らないことが多い」分、諦めが悪い。
いつか謎を解くんだという希望を抱き続けられるのが子供の特権。
アオヤマ君も子供だから、お姉さんの謎を追求し続けられる。
こういったある種の逞しさを見せる為に、アオヤマ君も子供なのだと印象付ける必要があったのかなと。
何度も泣きそうな場面で泣かせないで、溜めに溜めて最後の最後で泣かせたのは、彼の涙を印象付ける為!!
そんな希望を持ち続けるアオヤマ君の前に、彼を勇気づける出来事が起きて、最後締め括られています。
「もう二度と戻ってこない」と諦めていたペンギン号が戻ってきたのだから。
同じように「お姉さんも戻ってくる可能性がある」。
また再会できる。
アオヤマ君が希望を確信に変えるには、大きすぎる出来事だったと思うのです。
終わりに
てな感じで、勝手に纏めてみました。
こういった物語だったのかは僕にも分かりません。
謎なのです。
なので、少しでも本作に興味がある方は、是非ご自身の目で確認してみてください。
そして、謎解きにチャレンジして下さい。
何か分かったら、コメントかツイッターで答えをお教え下さると幸いですw