はじめに
「名探偵ピカチュウ」を見てきました。
予告編のポケモンたちがあまりにも可愛くなくて、どんだけ酷いんだろうかと怖いもの見たさで足を運んだのですが…。
すいませんでした。
すげぇ面白かったです。
今回はこの映画の感想を書きます。
声について
昨年原作となる「名探偵ピカチュウ」のCMで初めてオッサン声のピカチュウを聞いて、衝撃を受けました。
大谷育江さんの可愛い声に慣れ親しんでいるからこそ、そのギャップに抵抗感があったんです。
ただまぁ、「名探偵」という役柄上渋い声の方が合ってるから、これはこれでアリなのだろうなと思ったのです。
さて、この実写映画は、ゲーム版「名探偵ピカチュウ」を原作としているので、当然ピカチュウの声は渋いです。
オリジナルキャストでは、「デッドプール」でお馴染みのライアン・レイノルズさんが担当。
氏はモーションキャプチャーでピカチュウを演じてもおり、人間臭い表情のピカチュウは一見の価値ありです。
日本語吹き替えでも俳優の西島秀俊さんが担当されていました。
なぜか公開当日まで伏せられていましたが、流石の芸達者ぶりでした。
僕は吹替で見てきました。
相変わらずの芸能人キャストで固められていましたけれど、非常に良かったですよ。
竹内涼真さんは「仮面ライダードライブ」で慣らしたこともあって普段着の演技でしたし、飯豊まりえさんも「CITY HUNTER」で好演したまんまの力を見せてくださっています。
アニメポケモンでお馴染みのロケット団トリオも様々な役柄で出ていたりと、サービス精神に溢れており、そういった意味でも楽しめるかと思います。
勿論、オリジナル派の意見を否定はしません。
僕は見てませんけれど、きっとライアン・レイノルズさんがピカチュウに「深み」を与えてくれていることでしょう。
吹替だとどうしても俳優の顔が浮かんでしまうという方は、字幕版を選択するべきなのかもしれません。
以上のように、声の演技について満足はしていたのですけれど、まさか「渋い声」そのものが伏線になっていようとは…。
wikipediaで原作の内容をざっと確認した限りは、これは映画版オリジナルの設定と言えそうです。
この設定は巧いなと感服しました。
シナリオの流れを汲みつつラストの落としどころまで含めて、非常に綺麗に筋を通していたからです。
ピカチュウの声1つに「意味」を通すだけで、ここまで面白いシナリオになるんですね。
ウケを狙っただけではないところは、流石ハリウッドだなと感動しました。
ポケモンの造形
シナリオは文句なく面白いものでした。
では、映像はどうだったか。
注目はやはり実写化されたポケモン達ですよね。
ふさふさの毛並みで、ぽっぺたの赤みが嘘っぽくなってしまったピカチュウ。
どうみてもただの恐竜にしか見えないリザードン。
見るからにぬめっとした皮膚に鳥肌が立つベロリンガ。
ホラー映画に出てきそうな顔したエイパム。
可愛らしさがなくなってましたよね、どのポケモンからも。
プリンとかルンパッパとか「これじゃない感」いっぱいでした。
でも、本編を見たら印象も変わるかもですよね。
このブログの訪問者の中には、特撮ファンもいるかと思います。
といえば平成ライダーですよ。
毎年ライダーのデザインは、今までにない斬新さとチャレンジ精神に溢れたものが採用されていて、故に放送前には批判も多かったりします。
僕が記憶している中で最も古いのは「龍騎」ですね。
アメフトのヘルメットを被ったようなマスクで、それまでのライダーマスクとは一線を画していたのは確かです。
以降も毎年のように騒がれてますが、放送が始まるとピタッと収まるんですよ。
皆一様に動いてると案外格好いいぞってなるようです。
ポケモンも同じように、動いてると可愛いと思えるかもしれませんよね。
で、結論から言うと、予告も動画でしたので、本編で見ても印象は変わるわけないと。
ピカチュウやコダックは可愛いと思えましたけれど、リザードンは恐竜だし、ベロリンガの質感はやっぱり気持ち悪くて、エイパムも怖かった。
最初から動いてる姿での印象だから、本編見たところで印象が大きく変わることなんてほとんどないんです。
メインで多く出演してるポケモンを除けば、第一印象のままでした。
でもね、これでいいんだなと鑑賞を終えた今は思っています。
この作品の世界観は、原作の「ポケモン」シリーズやアニメよりもずっと「人間とポケモンの距離感」が近いんです。
厳密にいえば、メインの舞台となるライムシティだけが野生ではないポケモンが住む町になっています。
どういうことかというと、町中でポケモン達が人間と共存してるんですよね。
カイリキーが交通整理をしていたり、ガーディ(ウィンディの方かも)が警察犬になっていたり、カビゴンが道路の真ん中で寝てたり。
モンスターボールに入れられて、バトルの時だけ呼び出されるという訳ではなくて、バトルの禁止された町で人間と共に暮らしているんです。
犬や猫みたいな身近な存在として、ポケモンがいる世界。
だからこそ、実際に存在しているような造形が必要だったのでしょう。
アニメチックな顔かたちでは違和感がありますからね。
なるべくオリジナルの造形を残しつつも、リアルさを追求したデザインとしてみると、なかなかどうして絶妙なのですよ。
リザードンが恐竜ぽいのは、モチーフがトカゲだから。
鱗がびっしりと生え、ごつい見た目になっているのは当然と言えます。
ベロリンガは軟体動物特有のぬめり感を持った見た目になるのも頷けます。
ピカチュウ達が毛むくじゃらなのは、書くまでもないですよね。
人によって好き好きではありますが、爬虫類など見た目から「可愛くない」動物は当たり前に存在しています。
生物なんですから。
ポケモンも一緒。
全部が全部、原作のような愛らしさを持ってる方が不自然です。
動物ならではの不気味さはしっかりと持っていて然るべきです。
「なんだか実在しそう」な造形だからこそ、ライムシティで暮らすポケモン達にリアリティが出るし、映像を見てポケモンが息づく世界観に一種の憧れを抱けちゃうんです。
僕は映画を見た後、コダックを連れ歩きたいって感じましたもの。
決して可愛いだけじゃない。
原作とはそこが異なるんですが、だからこそ人間と同じスクリーンにポケモンを共演させられたのかなと。
素直に世界観に憧れを抱いちゃうくらいには、ポケモン達が自然に躍動していました。
終わりに
素晴らしかったポケモン達。
中でも僕のオススメはやはりバリヤード。
こんなに愛嬌のあるポケモンだったんですね。
笑っちゃいましたw
怖い怖いと話題になってましたけれど、実際に本編を見ていただきたいです。
作中最高のコメディシーンにもなってます。
ピカチュウに恫喝されようとも一言も喋らずにパントマイムに徹する姿に観客を楽しませようとするプロ根性を見ました(笑
ほんと、笑えた。