この記事は
「Re:ゼロから始まる異世界生活」感想記事です。
ネタバレあります。
はじめに
夢中になって読み耽った。
僕は小説を読むスピードが遅いです。
1冊のラノベを読み切るのに、4時間以上を要しています。
なので、1冊読むのに大体2日掛けているのですが、今作の第3章に関しては違いました。
1日1冊ペース。
先が気になって気になって、睡眠時間を削ってまでページを繰り、1冊読み終わると次の日には本屋へ駆け込む。
そうして4巻から始まる第3章を昨晩読み終わりました。
色々と言いたい事があるので、その想いを認めます。
作者がドS過ぎる
スバルって、どの作品のどのキャラクターよりも壮絶な人生を送っていると断言します。
これまで多くの物語に触れてきましたが、ここまで苛烈な青春を送っているキャラクターを見たことが無い。
死に戻り。
彼の唯一と言ってよい「武器」は、しかし、普通の精神の持ち主には持ち腐れとなる能力です。
死ぬのなんて誰だって嫌です。
恐いです。
それは生物に生まれながらにして与えられた本能。
誰しもが等しく持っており、その苦痛たるや想像を絶するものがあるはずです。
そんな辛苦を彼は何度も経験している。
普通だったら1度死に戻っただけでも、精神壊れてもおかしくありません。
第1章の時点で大抵の人間が壊れていることでしょう。
しかし、彼は、エミリアを救い出す為に何度も死を受け入れた。
殺され続けた。
第2章になると、さらに死の理由が辛く厳しくなります。
表面上とはいえ、仲良く接していた相手から向けられる殺意。
守りたいと考えていた人間によって齎された2度の死。
身体は粉々に破壊され、精神を犯され、それでも尚、守り抜くと決めたスバルの意志は強靭です。
考えようによっては強靭であり、狂人のようであり。
生半可な人間にはスバルの立ち位置を同じくすることは無理でしょう。
だから、僕は、彼を尊んでいる。
主人公として、凄いキャラクターであると心から称賛しているんです。
そんなスバルに齎される3章の残酷な運命は、これまでの比ではありませんでした。
3度の死因は、2章と同じ。
「身内」に殺されました。
だから、死の原因自体は、2章と同格かもしれない。
けれど、殺されるまでの過程が酷過ぎた。
スバルの存在意義の全否定。
性格を、権利を、夢を、希望を、矜持を、恋慕を。
全てが否定され、無残に蹂躙される。
何度も何度も立ち上がったスバルでも心が壊されるほど、苛烈にして過酷な運命。
どんだけ作者はドSなのかと。
自分で生み出したキャラクターを苛めすぎだろうと。
ほんのちょっぴり作者を恨んだぞ。
兎も角…。
誰が「全てから逃げる」という選択肢を取ったスバルを責められようか。
助けを乞うも、誰からも相手にされず、懸命に動いても大切なモノは殺戮される。
唯一の味方であるレムは、残虐なる野郎に辱められる。
死に戻りのことを周りに言えず、言えばエミリアという最愛の人が自分のせいで死ぬ。
どうにもならない運命。
少年には、否、誰の肩にも背負いきれない絶望の未来を辿る事を諦観することは寧ろ自然です。
遅すぎた位です。
スバルは立派だった。
立派に闘った。
自分を好いてくれる・死んでも守ってくれる女の子と逃げることを誰も責められない。
責めてはならない。
スバルが、レムに逃げようと言った。
自分の弱い部分を全て曝け出した。
その全てが凄いと感じた。
弱さを、脆さを、醜さを、すべて曝け出す姿は、一見無様から知れない。
けれど、彼のそれまでの全てを知っているからこそ、その決断の勇気を尊重できる。
逃げの姿勢を魅せて尚、凄い男だと感じた。
しかし、スバルに逃げることを許さない女の子がいた。
レムですね。
レムがスバルに惚れるのも分かるし、そんなレムが愛おしい。
レムの可愛さが鬼がかってる
レムが可愛い。
レムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレムレム
失礼。
取り乱しました。
ここまで誰かを愛し、愛に殉じる人生を送れる人間がいるだろうか。
否。
彼女の愛は海よりも深く、空よりも高い。
「スバル君のレムです。」
「レムの人生はスバル君のものです。」
言葉にするのは容易い。
けれど、それを体現する事のなんと難しいことか。
それを彼女は示してくれました。
3度目のループで、死して尚、スバルを助けたのは、その証左でしょう。
人をここまで愛し尽くせる人間を尊べないで、なにが人間なのか。
だから言う。
ふざけんなと。
ペテルギウス、マジ死ね。
氏ねじゃなくて死ね。
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
フィクションのキャラクターにここまで明確な殺意を持ったのは初めてです。
スバルに共感し、共鳴し、一緒になって死ねと心の中で連呼してました。
カタルシス
都合6巻。
前半の3巻は、本当に絶望の連鎖でした。
タップリ溜まったフラストレーションをいっきに吐き出した後半。
カタルシス半端無かったですね。
ただ、戦闘には、そこまでカタルシスを感じなかったのです。
白鯨の出現情報がビンゴだったとクルシュ達全員に知れ渡った瞬間…白鯨討伐戦の狼煙を上げた一撃も。
クソペテルギウスに止めを刺した瞬間も。
確かに爽快感はあった。
特に死んで当たり前、バラバラに切り刻まれてもまだ殺したりないペテルギウスに「お前、怠惰だったな」と意趣返しした瞬間も凄く良かった。
スッとした。
けれど、個人的に一番カタルシスを感じたのは、7巻の会談ですね。
ユリウスとの私闘で無様を晒し、誰からも信頼を取りつけなかったスバル。
嘲られ、虐げられ、遊ばれ、嘲笑され、無下にされた。
一度は断られたクルシュに…周回が異なるとはいえ、会談を持ちかけたスバル。
それまでのループで集めたピースを継ぎはぎし、周到な根回しをして、レムに勇気を貰って。
綱渡りで無茶ではあったけれど、同盟を取り付けた瞬間が、最も熱かったです。
それまで散々翻弄されたスバルが報われた瞬間だったから。
もっとも、そうまでスバルを立ち直らせたレムの功績なんですけれどね。
ボロボロに砕けたスバルを奮い立たせたレムまじ女神。
でもスッキリしない。
いや、本当にしつこかった。
ペテルギウス、うざすぎ。
喋り方からしてうざくて、行為が生理的に受け付けない最低な敵。
その上、斃しても斃しても襲い掛かってくる。
あまりにもしつこくて、本気で胸焼けしましたね。
でも、スバルたちが斃してくれた。
怨敵を討ってくれた。
あの周回のレムも少しは浮かばれたでしょうか。
僕は胸がスッとしました。
これでエミリアは助かった。
ペトラが生き残った。
ベティも無傷だ。
なによりもレムが無事に終えた。
可愛い可愛いレムが死なずに済んだ。
良かった。
安堵した。
そのエミリアの一言を聞くまでは。
「レムって、だれのこと?」
作者ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(怒)
伏線はいっぱいあったさ。
親書が白紙だったことも、ラムが使用人筆頭を名乗ったり、姉という言葉に首を傾いでいたり。
白鯨の異能のこともあった。
だから、気づいてた。
最悪な展開を。
認めたくもない未来を。
スバルに気づいて欲しかった。
けれど、そりゃ無理だよね。
こんな些末なことで、スバルに気づけって言うのは。
気付いたところで、遅いしね。
それにスバルは責められない。
レムを救う為に、自殺したんだから。
ペテルギウス討伐という厄介すぎる出来事を無かった事にしようとしたのだから。
スバルもまた、文字通り死んでも彼女を守ろうとしたのだから。
いや、本当に運命は残酷すぎる。
「スバル以外の人から存在を抹消される」って、あまりにも残酷だ。
似たというと語弊があるけれど、似てるかなと感じる事例がある。
健忘症だ。
「患者は、記憶を無くす」というのは、患者の周りの人間にとって、患者自身から自分達の存在が抹消されたことに等しい。
考えるだけにショックだし、最低最悪な病気だと思う。
存在の抹消なのだから、それと同じか、それ以上のショックがあるはずだ。
少なくともスバルには。
ホント、赦すまじ魔女教ですね。
レムに仇なす者には等しく死を。
断章「ナツキ・レム」の意図
考え方を変えれば、レムはこれ以上酷い目に合わなくて済んだという事かな。
少なくとも、絶対に彼女は救われるのでしょうから、その日を待ちわびたいと思います。
ていうか、このままだったら、作者恨む。
というのは、杞憂に終わる筈です。
ここで少し考察に入ります。
断章「ナツキ・レム」の意図ですね。
何故このタイミングで、「スバルとレムが逃げた先の未来」が描かれたのか。
この章は、まさしくレムファンにとって「こういう展開が読みたかった」という幸福な世界です。
2人の子供をもうけ、仲睦まじく平和に穏やかに過ごす夫婦。
苦楽を乗り越えたのでしょう。
絆は強く、愛は深くなっている。
レムにとって、これ以上ない幸福な未来。
捉えようによっては、あまりにも残酷な章です。
そんな未来はなく、ただあるのは、眠り続け、皆から忘れられたという悲惨な現実があるだけだから。
しかし、そういう悪く捉えるのは間違いなのでしょう。
作者・長月先生は、そういうバッドエンドを望まない作家です。
それはスバルが身を削って証明しています。
あまりにも過酷な試練を与え続けているかもしれない。
スバルにとって尋常ならざる現実がこの先も待っているでしょう。
けれど、最終的には皆で笑ってハッピーエンドをスバルは望み、その未来を手繰り寄せて来た。
どんなループ上で得た繋がりよりも、深く強い絆を周りと結んで、やり直してきた。
「レムにとって、これ以上ない幸福な未来」を塗り替えるほどのハッピーエンドが。
レムにとっての至上の幸せが、彼女の英雄は手繰り寄せる筈です。
それを信じて欲しいという長月先生のレムファンに向けた予告なのだと僕は解釈しました。
終わりに
第4章は、少し時間を置いてから読もう。
色々自分の心を騙しても、やっぱりレムのいない「リゼロ」は悲しいので。
もう少し冷静になってから読みます。