VSものの1つの到達点!!「ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE」 感想

この記事は

「ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE」の感想記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

最高だった

面白かった!!!!!
想像とはちょっと違ったけれど、コラボ作品として・お祭りものとして、これ以上無い出来と言ってもいいくらい。
ルパンファンでもある青山先生が関わっただけあって、映画としても前作を凌駕していました。

先ず、意外だったのはアクション面。
ハリウッド並のド派手なアクションの連発を期待していたのですけれど、ここは見当違いでした。
冒頭、中盤、終盤と節目節目にアクションシーンはあるものの、「ド派手」という表現は適さない感じ。
地味では無かったですけれど、まあ、普段の「劇場版コナン」レベルでしょうか。
少々絵的な意味での派手さは薄く感じたものの、その分コメディに振ってましたね。

前作のTVSPでもコメディパートが盛り込まれてましたが、今回は前作以上。
全編コメディ一色。
“大人”であるルパン一味と”子供”であるコナン達探偵団の絡みがいちいち笑えて、非常に楽しい。
ほぼ満員の観客席のあちこちから笑い声が上がってくる感じで。
個人的には、前作以上に親子っぷりが増したコナンと次元コンビが最高でした(笑
台詞、仕草。2人の絡みの全てが笑えて来て、コメディ面で大満足。

この辺所謂「キャラ崩壊」を気にされる方もいらっしゃるかもですが、そこはコラボ。
本編とは違うんだというのもあるんですが、それよりも青山先生の言葉が全てを物語っていたと思いました。

「前回はルパンの世界にコナンがお邪魔したけど、今回はコナンの世界にルパンたちがやってきている。コナンはパスポートがないので、なかなか海外に行けないんですよ。(笑)」

モンキー・パンチ先生と青山先生の対談での一言です。

前回と今回。
2度のコラボの感想は全てこの一言に集約されていたんだなと、映画を観終わった今感じております。

シナリオのコラボ

TVSPのお話。
前作では「ルパン」の世界に「コナン」が混ざるという形を取っておりました。
ヴェスパニア王国という架空の国をメインの舞台に据え、「ルパン」の世界観を演出。
そこに”ゲスト”という形でコナン達が乗り込んで行きました。
でも、やってる内容は「コナン」だったんですよね。
殺人事件がシナリオのメインプロットとして存在し、ルパンの盗みは”添え物”としてあった。
つまりは、「ルパン」の世界観で「コナン」を描いていた訳です。

今回は全くの逆。
青山先生が仰るように「コナン」の世界観にルパンという”ゲスト”が登場した形式。
となると、本格ミステリは期待できないんですよね。
前回のシステムをそのまま踏襲するならば、「コナン」の世界観で「ルパン」を描く必要があり、そうすると、「ルパン」はミステリでは無いのだから、ミステリ分は薄くなる。
実際にミステリ要素は薄く、かつ、「ルパン」を見て来たような気分になっております。
その分強調されたのがコメディ要素。
「コナン」は殺人ラブコメであるので、コメディ分も本来とっても強いはずなんですよね。
どうしても殺人が発生してしまう手前シリアスになりがちですけれど、相手はルパンなんです。
殺人は(アニメでは殆ど)無く、従ってコメディ要素を全面に押し出せる。
普段はあまりコメディリリーフに回らない次元や五ェ門、不二子らがこぞってコメディ担当になっているのも、こういった構造の為だと思いました。

ここのバランス感覚って言うのかな。
本当に凄いです。
どちらの作品も立たせている訳ですから。
前作と今回。
シナリオ的にも地続きの内容でしたし、色々な意味で2本でセット。
そういう仕掛けが施されていたんだなと感じました。

本当に対決していたのかどうか

さてさて。
じゃあ、本題とでもいうのでしょうか。
「本当に対決していたのか」って点に触れて参ります。

映画を観た後、率直な感想は「結局共闘だったじゃん」になるかもしれません。
ここは僕も否定できない点です。
でも、僕自身は、そうはあってもしっかりと対決をしていて、かつ、1つの決着も描かれていたと踏んでおります。

僕の考えを書く前に、「探偵の本分」に関して触れておかねばなりません。
本来探偵というモノには(少なくともこの日本では)捜査権及び逮捕権は与えておらず、作中の探偵はフィクションです。
さも当然の事ですけれど結構大事な点であって、実は「コナン」世界でも似たようなモノなんですよね。

小五郎やコナン、平次達探偵が事件に関われるのは、偏に彼らの実績。
そして押しの弱い警察関係者のお陰だったりします。

小五郎と目暮の関係が典型ですね。
今や超有名人の小五郎は、数々の難事件を解決してきました。
勿論警察には多大なる貢献をしてきた訳です。
それなのに、です。
事件現場に出くわしても、小五郎はいつも諸手を上げて歓迎されていないんです。
それどころか、いつも担当の目暮警部からは「またお前か」だの「この死神が」だの散々な謂れっぷりw
捜査状況もすんなりと教えてくれることは少ないし、基本的に部外者扱い。
捜査に積極的に参加させようとはせず、かといって、強引に排除もしないので、なんだかんだいいつつ結局は合同捜査しちゃっているという感じなんですよね。

この辺まだまだ新一レベルの信頼感は寄せられていないのかもですけれど、これってこの世界にも「探偵には捜査権が無い」という証拠にもなってるんじゃないかなと。
同様に逮捕権も無い訳ですから、探偵の仕事というのは「犯人を捕まえる事」では無いんですよね。
捜査云々は仕方ないとして、つまりは、事件の全容解明・謎解きが探偵の本分であると考えられます。

普段コナンがルパンやキッドに対して「捕まえる」って言っていて、ついついそこに目が行ってしまうんです。
僕もそうでした。
でも、違うんですよね。
ここを勝敗の基準、対決の基準に置いてしまうから、話がややこしくなってるんじゃないでしょうか。

話はもっとシンプルなんですよ。
ルパンの盗みを防いだり、作戦を暴いたりできればコナンの勝ち。
まんまと盗みおおせたり、作戦を完遂出来ればルパンの勝ち。
捕まえる云々は関係ない。
探偵と泥棒、2人の対決はこれで良いんじゃないかと思います。

となると、今回はコナンの勝ちなんですよね。
第一コナンは終始一貫してルパンしか見ていませんでした。
ルパンだけをターゲットにして動いていて、最終的には彼を追いつめ、また、計画の全容を推理してみせた。

コナン目線で言えば、しっかりと対決は描かれていたし、一つの決着までをも描かれていた。
そう僕は解釈しております。

ただ、ルパンはそんな事全く意に介してないんですよねw
そもそも「逮捕」が負けだとしても、ルパンは何度も敵や銭形に捕まっている訳です。
その都度見事に脱獄・脱走を果たし、狙った獲物をかっさらっている。
今回もコナンの事は二の次で、当初の目的をしっかりと果たしている以上、ルパンも負けとは言い難いのかもしれません。
ルパンの大人の余裕がしっかりと感じられた点でもあり、やっぱりこの辺のバランス感覚は秀でているなと感じざるを得ません。

VSものとして、間違いなく本懐を遂げていたし、その描き方も素晴らしいものがありました。

終わりに

事件関係者の死。
「コナン」ではある意味タブー視されていることですが、普通に描かれていた点に「ルパン」を強く感じました。
敵組織の共倒れを画策したり、敵の死を顧みない点と言い、「ルパン」のハードボイルド感もしっかりと描かれていたかなと。

取り敢えず、1度劇場に足を運んでいただきたい作品。
コメディ要素で飽きずに時間を忘れさせてくれますし、要所要所に挟まれるアクションが引き締めてくれる。
程良い緊張感もあり、ドキドキワクワク出来る非常に楽しい映画になっておりました。
面白かったです!!

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