総集編見ただけで「コードギアス 復活のルルーシュ」を楽しめるかの実験レポート

この記事は

「コードギアス 復活のルルーシュ」の感想です。
ネタバレあります。

はじめに

なんだか今年に入ってサンライズの映画ばかり見てる。
「ラブライブ!サンシャイン!!」5回、「シティーハンター」、そして今作。
という訳で、「コードギアス 復活のルルーシュ」の感想です。

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©サンライズ・コードギアス製作委員会

「コードギアス 反逆のルルーシュ」

テレビシリーズを未見の僕は、今作に興味だけはありました。
物凄く評判が良いですからね。
特に「知略戦が凄い」というところに強く惹かれてました。

けれど、合計50話。
加入しているdアニメストアで配信しているとはいえ、なかなかどうして時間が取れずにいました。
漫画と放送中のアニメを追いかけてるだけでいっぱいいっぱいだったからです。
どうにかして見れないだろうか?
せめて総集編3部作を見れないだろうか。
考えはすれども、纏まった時間はやはり確保できずにいたのです。

そんな折、今作の公開を知りました。
と、同時にU-NEXTで総集編3部作が配信されていると知ったので、この機会に見てみようと計画。
事前にU-NEXTに会員登録を済ませ、3連休を利用して見ることにしました。

しかし、誤算が。
無料配信されていたのは1作目だけ。
2作目と3作目は有料でした。(1本800円)
高い。
流石に高い。
どこの配信サービスを見ても同じ。(当たり前)

こりゃレンタルした方が安上がりかなという事で、久々にTSUTAYAへ。
2本レンタルして、2日掛けて視聴。

前置きが長くなりましたが、総集編3部作の感想を書かせてもらいますね。

総集編感想

どうもただのテレビシリーズの総集編という訳では無いらしいですね。
ストーリーも一部変わってるとか。

それを踏まえても、やはりテレビシリーズを見ておいた方がより楽しめるんだなと感じました。
ルルーシュ視点で、彼や彼の周りのキャラの心情変遷はしっかりと追える作りなのですが、それ以外のキャラのことが追えなかったので。
そういった「影の薄いキャラ達」が死んでしまっても何の感傷も湧かず、場合によっては、「このキャラ誰だっけ?」とか「あのキャラ何処消えた?」とかありました。
とはいっても、あくまでも「より」楽しめるってだけです。
製作事情とか知りませんけれど、この総集編3部作は、今回の映画を見込んで作られたんじゃないでしょうか??
そうなのであれば、ルルーシュ視点での纏め方は実に合理的なんですよ。
ここら辺はあとで触れます。

キャラ描写はそんなところで、物語は凄かったの一言。
様々な正義感を描きつつ、それらが相互に干渉して、「真の平和」に突き進む濃厚な物語。
戦争を取り上げると、どうしても政治的なアレコレに重きが置かれ過ぎる傾向があって、純粋にエンタメとして楽しめないところがあるのですが、その辺は最低限にしてスッキリと纏まっていました。
若しかしたらテレビシリーズではここら辺ももっと厚く描写してるのかもですが、ルルーシュの目的は政治的な統治ではないですからね。
武力や恐怖政治による統治が目的になっているから、彼視点のお話では政治は無用の長物。
戦略的に必要最低限に残してあったのみで、ごそっと削がれていた(?)のは納得出来ます。

前々から耳にしていた知略的な部分は殆ど感じませんでしたが、ラストまでの流れが神懸っていたので問題無しでした。
世界中の悪感情を自分だけに向けさせてから殺されるとか「覚悟」のほどがヤバい。
ユーフェミアを手にかけたことをそれほど悔やんでいたのかなと解釈。
(彼女の死は、作中で最も辛く、そして重いものとして描かれていたので、滅茶苦茶印象に残りました。)
劇場版予告編で「破ったな。ルルーシュが遺した平和を」というスザクの台詞が痛い程理解出来ましたよ。
たった1人で世界平和を齎した救世主。
このラストは凄かった。
世界平和が成ったと言われて、非常に納得でした。

世界平和って口には良くするし、誰しもが願ってる事だけれど、簡単じゃないですよね。
現実世界でこれを成し得るのは、残念ながら多分不可能なのでしょう。
だから、例えフィクションの中であっても簡単に取り扱われたら、つい否定から入っちゃう気がするんです。
無い無いって。
そんな簡単に世界平和なんて出来ないよと。

でも今作は違った。違いすぎました。
世界全体から憎まれるに足るラストに至るまでの振る舞いが全て伏線になっているから。
勿論ルルーシュ自身、そうなるように振る舞いだしたのは途中からなのでしょう。
少なくとも序盤は、復讐に駆られていて、復讐達成後のことなんて深くは考えて無かったと思われます。
然しながら、そこも含めて不自然にならない様計算し尽くした上での計画だったんじゃないかな。

シャルル皇帝を手にかけたと告白したのもワザとなんでしょうね、間違いなく。
この告白1つでブリタリアに忠義を尽くす人間を敵に回せるし、そんな彼らにギアスを掛けることで黒の騎士団への「俺は敵だ」というアピールにもなっています。

あとは悪政で、それ以外の人々からも憎まれるようにすれば良い。
日本人のユーフェミアへの悪意をも上書きすることも宣言通り行いつつなので、余計に感嘆しました。

ここまですれば、そりゃ世界平和も実現するわ。
そう思わずにはいられないルルーシュの策略だったと思います。

素晴らしい、素晴らしすぎる物語。
戦争というものを克明に・丹念に描きつつも、あまりにも難しい世界平和が築かれるまでを納得感いっぱいで纏めている。
ああ凄いものを見たという充足感で満たされたのです。

では…この続きってどうなるんだろうか?
疑問でした。

「復活のルルーシュ」感想

ここからは映画のネタバレも含みます。

これ以上無いという程のラストを迎えた物語。
続きをやったら蛇足になりゃしないだろうか?
そう疑問に思いつつの鑑賞でしたが、杞憂でしたね。

よりエンタメに振り切った物語で、しかも総集編3部作の続きの世界観。
キャラクターをルルーシュに深く関わったキャラクターにのみ絞っていて、彼らの物語は総集編で充分捕捉出来るように予め作られていたのです。
「今回の新作映画を楽しむ為に作られた総集編」という考えを補強してくれるキャラ配置になっていた為、テレビシリーズを見て無くても問題無く楽しむ事が出来ました。

さて、もう少し内容に触れます。
ルルーシュ復活の道程は、成程。
確かに作中で彼の死は曖昧だったといえば、そうだった。
不老不死になっていたというのも確かにって感じ。
無理なく復活に持っていけていたと思ったんですが、一方でそれで本当に良かったのかなという想いもありました。
カレンも言ってましたが、復活はルルーシュの本意では無いんじゃないかと。

C.C.の我儘という事で序盤は通していて、僕も「それなら」と一旦横に置いていたのです。
ただ、あくまでも横に置いただけ。
納得はしてませんでした。

だってこれでルルーシュが世界から許されたら、あの素晴らしいラストが台無しじゃないですか。
「世界共通の怨敵」が実は「世界平和を築いた英雄」と知ったら、どうなるでしょう。
きっと平和は瓦解します。
勿論恒久的平和なんて嘘だし、ルルーシュが憎まれ続けていても、世代が変わればすぐに平和は壊れてしまうのでしょう。
人間なんてそんなものです。(この作品内での「人類」はそういう風に描かれていたと解釈してます)
それでも、ルルーシュが英雄だとなったら、平和の瓦解はもっと早く起きちゃうと思うのですよ。
ルルーシュの真意は、彼を心から慕う人達だけが知ってれば十分で、それは「反逆」で彼がゼロに討たれる瞬間のカレンやナナリーらの表情から窺えてたので、それ以上は不要なのです。

彼が生き返った以上は、彼が英雄になる物語だって考えられる訳で、そうなったら嫌だなという思いがあったから納得出来なかったのです。

ま、これも杞憂だったんですけど。
真の意味でルルーシュとナナリーの「再会」があって、そこにだけ重点が置かれた物語だったので、非常にスッキリとしていて見やすく、また、「エピローグ」として最高でした。
これでナナリーも救われたし、ルルーシュも妹や彼女との日常を捨て、C.C.と共に歴史の影に隠れる道を選んでくれた。
罪は罪として背負ったまま、世界から許される道を自ら捨てて、「反逆」のラストを肯定して終わった。
この映画は、僕のような総集編を見ただけの人間でも楽しめるし、勿論シリーズをメッチャ好きなファンにとっても最高と思えるものになっていた気がします。

蛇足なんかじゃ決してない、必要としか思えないエピローグ。
鑑賞後の余韻も素晴らしく、改めて、総集編から見ておいて良かったと心から言えます。

終わりに

結論としては総集編見ただけで楽しめましたね。
いや~面白い映画を見れて、幸せ。

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