フィクション割合論争に火種をぶち込んだ「年下寮母に甘えていいですよ?」

この記事は

「年下寮母に甘えていいですよ?」の記事です。
直接的なネタバレは控えますが注意。

はじめに

バブコメというのがある”らしい”。
存在を明確に視認した訳じゃないので、”らしい”止まりの情報なのですが。

やはり男女ともに世間の荒波に疲れると、母性の塊たる海より深い母の愛情に包まれたいと本能的に願うものなのでしょうか。
かくいう僕も、最近母の愛に飢えています。(ただのマザコン疑惑)
だって、うつ病って寂しさを助長するんですもの。(言い訳)

さて、「年下寮母に甘えていいですよ?」を購入してみました。
「年下寮母」と書いて「おかーさん」と読みます。

今作の感想を書いてみます。
ここからはネタバレ注意報です。
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感想

序盤は平凡で、中盤で笑い、終盤で首をかしげる。
そんな物語。

今作のポイントはなんといっても、”年下”の”おかーさん”という矛盾。
これが笑いを生み、物語を転がしている要素となります。

幼女…設定的には「中学生にしか見えない容姿」なんだけれど、こう形容した方がしっくりくるので…の”おかーさん”が、年上の高校生を猫かわいがりするというのが、本作の全てです。
そのおかーさんことあるては、とても可愛らしい容姿と仕草で、高校生男子たる主人公の優斗を隙さえあればかわいがろうとしてきます。
ある時、そのことがクラスメイトにまで知られてしまい、優斗の平穏な日々は破られるのですが、そこが笑いを生んでいるんです。

年下の女の子におかーさんと呼ばせているというあらぬ嫌疑を掛けられ、あっというまに「源氏物語」から取られた「源氏君」というあだ名が定着してしまい…。
この中盤戦は、こういった「年下の女の子だからこそ出せる笑い」が満ちています。
僕も笑いながら読み耽りましたとも。

そんな物語の根幹を揺らす真実が終盤に待ち構えているんですが…。
僕は今作を「僕ら現実と相違ない世界観に住む普通の人々が送るフィクション」だと思って読み進めていました。
確かに伏線は張ってありましたが、終盤「超展開」と言うにはやや大袈裟の、しかしながら「フィクションの割合」を大きく揺さぶる事件が起きます。
想像していた世界観が崩壊し、フィクションの割合の高い展開が待っていたんです。

これには少々面喰いました。
そういう世界観なの?と。

足下から音を立てて崩れていく今までの事。
なんて大仰な言い回しをしちゃう位の出来事があって。

本作的にこれは正しい判断だったんだろうかと考えさせられました。
最大のウリのひとつである「年下のおかーさん」設定が崩れた瞬間、本作は成り立っているのだろうか…と。
勿論、世間一般的にはあるてが「年下」の「おかーさん」であることには変わりないので、そこは正しく機能するんだろうけれど、真相を知った読者がどう思うかは別問題。
ちゃんと笑えるんだろうかという拭いきれない疑念があります。

これは続刊を見てみないとなんともいえないところですね。

終わりに

この1冊ならば、買ってもそんなに損しないと思います。
コメディが好きならば手に取って見てもいいかもしれません。
高い買い物じゃないですしね。

然しながら、続刊を手にするかというと、意見が分かれそうです。
フィクション割合が気になれば、買わないだろうし、そんなに気にしねぇっていうのなら間違いなく手にするのかなと。
僕は気にしつつ、物語も気になるので、手にします。
自分の目で正しかったのか否か最後まで見極める所存です。

年下寮母に甘えていいですよ? (ガガガ文庫)

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