「りゅうおうのおしごと!」第18巻感想 超重要対局目白押しだった

この記事は

「りゅうおうのおしごと!」第18巻の感想です。
ネタバレあります。

完結!!!と言われても信じそうな巻だった

なんか適当な感想を書いてきましたけれど、前回は「銀子が魔王八一を人間に戻すラストで終わるはず(キリッ)」でしたっけ…
いや、あれれ?
本編残り2巻と残酷な宣言が遂に飛び出してしまいましたが、気持ちとは裏腹に「あと2巻何をやるんだろう?」と首を傾げそうな程色々と決着着いた気がすっぞ。

感想です。

騎士ゴッドコルドレンvs魔王八一

ロリ王に始まり、将棋星人から遂には人外へと登り詰めた八一。
主人公から一転物語のラスボスとなった八一は、あいに見事撃破され、息も絶え絶えも中、銀子によって人の姿へと戻り、ロリコンの罪でお縄に着く。
超絶ハッピーエンドたるラストを夢想していたわけですけれど、あれ、おかしいな。
まさかその前に敗れるとは…。

けれど、これは納得するしかないでしょう。

本来八一に比肩する実力を持った終生のライバルである歩夢。
その歩夢の協力者のメンツがさ…。
名人の練習パートナーを長年務めている山刀伐 。
八一が絶望した「将棋の未来」に八一よりも早くに到達し、しかし、八一とは逆に新たな地平の「開拓」を1人黙々と熟していた名人。(作中最強)
この2人が全霊を持って歩夢に加勢していた訳ですから。

特に名人。
会長もそうだけれど、八一の絶望を知らずに一蹴するあたり、年の功というのかな。
将棋に対する思いというのか、経験とでもいうのか。
なんにせよ文字通り「子供の悩み」として退けるあたりに物凄くホッとしましたよ。

作品の方向性としては、「将棋は欠陥ゲームだ」で終わらせるわけにはいきませんからね。
ソフトを使い続けた研究の行く末に「焼け野原」が広がっていようと、それすらも研究し楽しめと。
八一の絶望を否定する必要があった。

様々な意味で、ここでの八一の負けは必要だと思わされたし、倒した棋士が歩夢(と名人)というので説得力がありました。

将棋は人間が指すゲームである

ソフトは有用である。
そこについては否定するつもりは無いのでしょう。
けれど、ソフトによって「欠陥ゲームの烙印を押されること」や「ソフトの示す未来が全て」という結論には持って行きたくない。
そういうテーマがこの巻の根底にあって、1冊で完遂されていたと思うのです。

その為に3つの対局が描かれていました。

1局目は、天衣vs雷。
「人としてのコミュニケーション能力」に少々難のある雷の特異。
それを用いたコミュニケーションツールとしての将棋、そして、将棋ソフト。
ある意味八一に最も近しい「生物」である雷は、彼女の父親(於鬼頭)の想いとは裏腹に「ソフト人間」となり、人間の処理能力の限界を超えて自滅。

人間はソフトにはなれないことが示されました。

2局目が前述の八一vs歩夢。
《淡路》によって八一が見た「将棋の未来」。
絶望の焼け野原。
これは歩夢と名人によって否定されました。

「将棋の未来」である相入玉になってからも将棋には無限の可能性がある。

そして、3局目があいvs天衣。
天衣が1局目で示したのは、「踏めば必敗する負けフラグ」の存在。
そこに導き、相手に踏ませさえすれば、必ず天衣の勝ちとなる。
《淡路》で導いた八一とは異なる将棋の真実。

これは雷とは異なる「ソフト人間」へのアプローチ。
膨大な読みの全てを演算しようとすれば、人間の脳では自ずと限界が来る。
しかし、数百程度の「負けフラグだけ」ならば記憶してしまえばいい。
脳がオーバーヒートを起こすことは無い。

こうして将棋を丸裸にした天衣でしたけれど、あいには勝てず。
負けフラグを踏ませたのに。
それでも負けた。
何故か。
あいが人間だったから。
どんなに盤面上不利であっても、決して諦めず、泥臭く粘る。
そうすれば、必ず活路が開けると信じて。

天衣の相手がソフトだったならば、あるいは、途中で投了したのでしょうね。
負けフラグは間違ってなかったのだから。
「間違いなど犯すはずがない」として、早々に「諦めた」。

けれど、人間同士が指す以上は、無限の可能性があって。
ワクワクドキドキするゲームとして進化していく…かもしれないという未来をあいの勝利という形で見せてくださいました。

あいの全盛期終了のお知らせ?

八一とあいは戦わないとだよね。
あいは、本当に全盛期を過ぎてしまうのか。
早熟の天才として終わるのか?
はたまた…。

そして、あいを女性として好きだと気づいたロリ王は、牢にぶちこまれるのか。

あと2巻。
どんな展開が待っているのか。
ワクワクです。

最新情報をチェックしよう!