この記事は
「りゅうおうのおしごと!」第16巻の感想です。
ネタバレあります。
はじめに
最終章は思っていたよりも長くなるのかもしれません。
この16巻では、八一のライバルにして親友の歩夢がメインを張っていました。
歩夢と、そして師である釈迦堂里奈の物語を通して描かれるのは「古の戦型の強さ」。
これが大事なんではないかと感じたのです。
感想です。
ラスボス魔王八一爆誕!?
多分、答えのないテーマだと思うのですよ。
「ソフトと人、どちらが上なのか」というのは。
計算力というのは、圧倒的にソフトが上だし、時間の限りのある人間が超越することは敵わない。
けれど、人間にはソフトにはない第六感がある。
経験などから培われた「勘」は、ソフトには計算できない妙手を生み出すこともある。
これまで、ソフトと人間のハイブリッドこそが最強であるというのが八一が示してきた将棋なのだと思っております。
そんな八一の将棋に魅入られた山刀伐と歩夢の一戦が今回のクライマックスの1つでした。
「未来の将棋」を指す山刀伐とは逆に、歩夢は頑なに「過去の将棋」である居飛車で対峙。
最後まで己を貫き、遂には山刀伐を打ち負かしました。
もちろん歩夢自身八一の将棋から薫陶を受けていたからというのもあるのですが、ソフトを介した未来の将棋に、過去の将棋が必ずしも負けていないということを示していた勝負だったと思うのです。
あいと釈迦堂の対局もそうでしたよね。
誰よりも過去の棋譜を研究し続け、常に進化してきた釈迦堂に、あいは大苦戦。
この対局もやはり、過去の将棋の強さを示していました。
だからこそ。
だからこそですよ。
「今までにないほど高度なソフトが出てきた場合、人間はソフトに勝てるのか?」という究極の命題にドラマが自然とシフトできるのですよ。
きっとね、八一ならこのソフトをも使いこなして、ソフトの研究を肥やしにした未来の将棋を自在に使うのでしょう。
それこそ「魔王」の如く。
(今回二つ名の影響力についても触れられていましたが、この前フリだと思ってます)
黒幕の天衣の甘い誘惑に乗ってしまった邪悪な魔王・八一をどうやってあい達は倒すのか。
やはり前々から予感させられていた「八一ラスボス展開」に入りそうな雰囲気をビシバシと感じた引きでした。
歩夢、イロモノキャラじゃなかったのね。勘違いしてた。
歩夢と釈迦堂の恋物語は、とっても良かったですね。
イロモノだと思っていた歩夢に、そんなバックボーンがあったなんて。
この設定いつ出来たんでしょうね。
最初からだとしたら、僕はまんまと作者の掌の上で踊らされてたんだなぁ。
彼の装束やキャラ付けの意味。
そして、釈迦堂の側に常に付き従っていた理由。
その全てに感動しました。
ハッピーエンドになって良かった。
師弟の恋の成就が、そのままロリコン八一とあいや天衣に繋がるのかは不明ですが、そこは個人的には繋がらないで欲しい。
やはり僕としては八一の隣には銀子が居続けてほしいから。
そろそろ銀子復活してくれないかしら。
終わりに
今回も濃い内容で大満足でした。