「りゅうおうのおしごと!」第17巻感想 八一を人外にした「淡路」が彼の最後の希望となる?

この記事は

「りゅうおうおしごと!」第17巻の感想です。
ネタバレあります。

銀子が神々しかった

表紙の銀子がヤバいほど神々しい。
なにあれ。
あれは反則だわ。

容姿に関しては殊更琴線に触れたことが無かった銀子ですけれど、ロングになっただけなのに急所に刺さりました。
まさに魔王八一を人間に戻すことが出来る神々しさ。
いや、違いますね。
銀子だけが八一を魔王から人に戻ることが出来るのでしょう。
その輝きで。

素晴らしいね。

感想です。

勇者あいの冒険

将棋界を敵に回すあいの暴言。
愛想を尽かした仲間達が、1人、また1人と離れていき、孤独となった勇者は、プロ棋士たちの棲むダンジョンへと足を踏み込んでいく。

八一、あい、創多と主に3者の視点で進行していった今回。
第17巻のメインは、個人的にはあいであったと思っております。

未だに僕は、魔王八一をあいが滅ぼすという結末が待っていると想像していて、それにはまずあいが八一への挑戦権を得なければなりません。
流石にこのペースであいが竜王戦の挑戦者になるまで続くとは思ってはいませんが、プロ同士の公式の対局としてラストに相応しい一戦が設けられると踏んでおります。

その為には、女流棋士であるあいをプロ棋士に超ショートカットをさせてでもしなければならない訳です。
そこでプロ編入試験ですね。

実際の棋界に疎い僕。
調べてみて驚きました。
プロ編入試験って実際には既に存在するんですね。

日本将棋連盟 プロ編入試験についてのお知らせ

作中世界ではこの試験自体まだ無いってことなのかな?
もしかしたらこれとは別の試験を指しているのかもですけれど。

なにはともあれ、プロ編入試験の開催を目指して孤軍奮闘するあいの活躍が描かれておりました。

取り合えず、実は愛想を尽かしたわけでは無かった面々に感動しましたw
いや、もしかしたら、この展開を読み切っていた読者が多数なのかもだけれど。
僕は本気であいから離れていったと思ってしまったものだから、まさかの展開だった訳です。
たまよん、超良い子じゃん。
ここまで愛情に溢れた子とは想像してなかったから、素直に感動しちゃった。

前竜王・碓井尊との闘いも熱かったですね。
将棋の中身の描写に関しては相変わらずちんぷんかんぷんでしたけれど、多くの棋士たちの心を熱く燃やしたというのも納得の描写でした。
ソフトが評価しない「人間だからこそ打てる将棋」の一種の究極系を相手取って、同じく、ソフトに頼らない「古くから伝わる詰将棋からの着想」で以って盤面を逆転する。
「人」vs「人」の頂上決戦とでも言いましょうか。

それを制したあいの強さも示したのも然ることながら、「ソフトには無い人ならではの熱量」を表せたことが、今後を見据えれば大きかったのではないかな?
ソフトの到達した絶望の闇を人の作る熱量が光り灯すという意味で。

創多、やべえ奴だった

あれ、この子、こんなにヤバい子だったっけか???
もっと純真無垢な将棋星人じゃなかった???
超絶真面な鏡洲さんが傍に常にいたから、良い子に見えていたのだろうか???

まぁ中々にキャラ濃くて、これはこれで。
物語を回す潤滑油的な役どころしかこの先も無いでしょうから、ただ単に油としてスルッと読み飛ばされるより、ねっとりと絡んできた方が面白いですしね。

今回、あいの目指す編入試験の開催の「決め手」として、創多の最後の発言が使われるのでしょう。
その為の創ちゃんフィーバーだったのでしょうから。

んで、実際に編入試験編のラスボスとして、あいの前に立ちふさがると。

「通過点」とはいえ、弱かったら歯ごたえ無いですしね。
八一を強烈に想うライバルと言う意味でも、あいの敵として魅力的になりそうです。

…こういう書き方というか、評し方するとちょっと創多が気の毒に思えてくる(汗

遂に人で無くなった八一

嗚呼、魔王になってしまった…。
天衣の掌の上で踊ってるなぁ。

それでも、彼が人に戻る為の方法が提示されたのは良かった。
冒頭にも書いた銀子ですよ。
表紙の銀子に神々しさを覚えたのは事実なので、半ば冗談でその輝きで魔王となった八一を人間に戻すのではとか書きましたけれど、実際そういうラストになるんじゃないかな。
いや、本当に文字通り光で浄化される展開になるとは思ってないけれど。

彼にとって銀子がどれほど大切な存在であるのか。
それが改めて提示されましたから。
銀子もそんな八一に尽くしてくれることも描かれていたし。
2人が結ばれることは、確定とみて良いのでしょう。

ただ、ただですよ。
乗り越えなくてはならない運命も同時に提示されてしまいました。
これはキツイ。
八一にとって、銀子との未来は希望でもあり、同時に深い闇・絶望でもあるのかもですね。

もちろん、結婚したからといって子供を授からなければならない道理はありません。
特に今のご時世ではそうですよね。
子を成さずとも幸せな夫婦生活を営めば良い。
作品としてもそういう幸せを否定するようなことはないはずです。

ただ、否定するわけでは無くて、「子供を作る未来」を選びつつ、「子が健康丈夫に健やかに成長する未来」を提示してこそのハッピーエンドなのです。
少なくとも本作のここまでの描写を想えば、これしかハッピーエンドは無いとも言い切れます。

そんな奇跡のような未来をどう生み出すのか。

「淡路」がその未来を見つけ出すのでしょうね。
スパコンと医学は最早切っては切れない仲です。
今年に入ってもとんでもないニュースが飛び込んできました。

スーパーコンピュータ「富岳」と「発見するAI」で、がんの薬剤耐性に関わる未知の因果メカニズムを高速に発見する新技術を開発

1000兆通りの可能性から、1人1人に適した(効果を発揮する)治療薬を開発することが可能になるというとんでもない技術。
超高性能なスパコンである「淡路」。
天文学的な可能性の中から、銀子を蝕み、彼女の子にまで遺伝するであろう病魔を殺す薬を見つけ出すことも現実と出来ると思うのです。
そういう「結末」が想像できます。

そんな訳で、皮肉にも八一を人外にした「淡路」が、八一の最後の希望にもなるのかもですね。

16.5巻…だと…

あとがきで初めて知りました。
何それ知らなかった。

年始に長めの休暇を取る予定です。
何も無ければ久々に温泉旅行に行くつもり。
旅館でまったりしながら、16.5巻を読む。
そんな新年も良いなぁ。
考えたら、そうしたくなってきたw

ちょっとだけ我慢して、16.5巻を楽しみます。

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