この記事は
「声優ラジオのウラオモテ」第1巻の感想です。
ネタバレあります。
はじめに
第26回電撃小説大賞大賞受賞作!!
だからという訳では無いのですが、「声優ラジオ」という題材に惹かれましたので購読しました。
感想です。
女子高生で新人声優。しかも同級生。
ラジオのパーソナリティとして出会った2人は、表では「仲良しコンビ」。
しかしてその裏では相性最悪な口喧嘩の絶えない仲で…。
突飛な設定は無く、地に足の着いた世界観が好印象でした。
僕自身声優さんの業界については何も知りませんが、リアリティがあるような気がしました。
そんなことないだろうという疑念や違和感を持たずにいられることって、物語世界にとっぷりと浸る上で個人的に大事にしてる要素なんですよね。
その点しっかりとされてた印象がありました。
ただ、強いて挙げれば2人の関係性については説明不足だったかなと。
同一作品に出演歴があるのに出会ったことが無かったというのは、ちと無理がある気がしました。
アフレコは元より、ライブ、イベントに特番。
かなり大きな作品だったようですが、共にメインキャラを演じていながら接点が無かったというのは、無理があります。
オモテとウラで性格も見た目も違って、クラスメイトだったのに気づかなかった…というのを強調したかったのでしょうけれど、違和感を覚えずにはいられなかったところでした。
ここ以外の点は先にも書いたように疑問を持つことなくすんなりと受け入れられました。
という訳で、キャラに集中できた訳ですが。
ビックリするほどキャラが立ってて、非常に良かったです。
作者さんの中で、主人公2人がどういう女の子なのか確立されているのでしょうね。
キャラにブレが無くて、全ての言動に終始一貫性がありました。
特に「そりが合わない」という点に於いて、常に真逆のキャラ設定が活きているから、2人の罵りあいが読んでいて楽しい。
あまりにも楽しくて、終盤のシリアスドラマがいらないと思ったほど。
僕は割とライトノベルには読み応えを求めてしまうのです。
山も谷も無くのほほんとした日常が続くだけのような作品よりも、何らかの事件が起きてから解決するまでのドラマを欲して、そういう作品を好んで読んでいます。
そういう意味では、終盤にあったドラマは、実に僕が求めているような展開ではあるのですけれども…。
この作品に於いては、無くても良かったかなと。
勿論、否定しているわけではありません。
世界観設定同様、実際にありそうな範囲で端的にムカつく「悪役」を設定。
短いページ数でその悪辣さを十全に描いて、ドラマを盛り立てる手腕はこれがデビュー作とは思えないほど。
全てが丸く収まるオチを含めて、不満などあろうはずも無く。
それでも、この事件は無く、ただただ2人が悪態を付き合ってるだけでも楽しく読めた気がしたのです。
ま、とはいえ、事件のお陰で2人ともオモテとウラが無くなったので、事件があって良かったというのも本音。
芸能人として作り込まれた可愛さよりも素の方が好きだったりするのです。
「アイドル声優らしからぬ性格」でも素で思ったことを口にしちゃう子の方が好感を持っちゃうのですよ。
再出発を切った2人の今後についても、益々読んでみたくなりました。
終わりに
と、まぁ、浅い浅い感想になりましたが、言いたいことは一言。
「会話が楽しかった」。
読んでいて、スカッとできる楽しい掛け合い。
今後も是非読み続けていきたいと感じた次第。