「声優ラジオのウラオモテ」第7巻感想 柚日咲めくるでしか成しえない物語

この記事は

「声優ラジオのウラオモテ」第7巻の感想です。
ネタバレあります。

まさかの

いや、まさかでした。
6巻とそれ以前の時間軸を主とした「めくる視点の物語」が来るとは予想外過ぎました。

ただでさえキャラが立ちまくっているめくるのキャラをこれ以上立ててどうするんですかって位に立てまくってきた第7巻。
6巻までで一番好きなキャラだったのに、最早主役コンビが敵わない地平線まで好き度が跳ね上がっちゃいました。

感想です。

めくるでしか成しえない物語

6巻でのめくるの行動をあれこれと想像で書いてましたけれど、「実のところはこういうことがありました」という「答え合わせ」が出来るとは、これも想像してなかったこと。

ただこうやって真相を明かされると、なるほどねぇってなりますね。やっぱり。
めくるの声優としての在り方ね…。
声優オタクとしての一面と声優としての一面。
彼女はその両立を出来ているように見せかけていて、実質出来ていなかったのだと。
主役コンビには、とっくに化けの皮を剥がされてましたけれど、もっと本質的に出来てなかったのですね。

そういった意外な真実を描き出し、そこに「声優ラジオ」という作品のテーマを絡めてきてるところが凄すぎ。

この作品、声優を取り扱っているのに「アフレコ」ではなくて「ラジオDJ」に主眼を置いている珍しい作品。
やはり声優と言えばアニメのアフレコや洋画の吹き替えが主なお仕事と思える訳で、ラジオ番組のDJは、そこから派生したお仕事ってイメージが強い。
この勝手なイメージは、今作でもある意味「正しい」ものだったのですね。

声優はキャラに声を当ててナンボ。喋りは本職では無い。

雑な纏めですけれど、このようなことを作中で花火が「声優の本質」として語っていて、めくるもそこに同意を示していました。
こういった「声優とは」というところを「正しい」としつつ、だからこそ、そこに苦しみ悩む姿が描かれた訳ですけれど、普通に考えると、これって難しい。

いや、だって、当たり前すぎて。
声優はアニメに出る。
当然すぎて、そこに悩むキャラを出すとか言われても「なんで?」ってなるじゃないですか。

けれど、めくるは違うと。
声優が好きで、「声優業」ではなくて「声優さん」に憧れ、声優になっためくる。
大好きな声優さんの活躍を見たいし、応援したいから、オーディションなど他の声優と争うことを好まず、「自分以外の声優を活かす道」としてラジオDJを選ぶ。
しかし、めくるは声優で本職のラジオDJでは無いから、アニメで役を勝ち取っていかないと業界で生き残れない。
そんな中で担当していたラジオの打ち切りが確定してしまって…。

こんなの「めくるじゃないと出来ない物語」ですよ。
普通では出来ない悩みに葛藤する物語を熟しつつ、ドラマに声優ラジオをがっつりと絡めて「今作らしさ」まで演出する。

さらっと描かれているようでいて、物凄いことをさらりとやってのける今作の凄みが出ていたなと。
彼女のキャラの面白味も加わって、非常に楽しめた巻でした。

めくるが最強すぎる件

一人称ってそのキャラを好きになる書き方じゃないですか。
主体となるキャラクターの内面がしっかりと字になって描かれるので。

めくるの内面がこれでもかと読めて、今までも十二分に濃かっためくるのキャラがより濃厚に立ったなぁと。
主人公2人を余裕で食ってしまってますが、大丈夫なのかなとも余計な心配をしてしまいましたw

さて、次回こそ主役コンビサイドのお話でしょうか。
ライブにこぎつけるまでにあった騒動の一幕が描かれると予想しますが果たして。

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