はじめに。
先日の事。
映画「スタドラ」まで時間が有った為、暇つぶしに入った漫画喫茶にて懐かしの「機動警察パトレイバー」を拝読。
時間的に2巻の途中までしか読めなかったのですけれど、なかなかに面白く、全巻大人買いでもしようかなと思ったのですが、それはさておき。
散見されたのが、コマ外に書かれた作者の一言。
具体例を画像で示します。
とはいえ、「パトレイバー」のコミックスは手元に無いので、「CITY HUNTER」から。
JC版35巻(最終巻)の36ページです。Pという伏字に関して作者のセルフツッコミが入っていますね。
こんな感じに、作者の言葉で作中にツッコミを入れたり、補足説明的な一言が書かれていたり。
結構僕は好きなんですよ。
この手のコメントを読むのが。
「パトレイバー」も「CITY HUNTER」もこれが何気ない笑いのスパイスになっていて、クスッとする事も多々ありますし、なにより印象に残りやすいので。
上の画像も、何巻だったかは忘れていたものの、このコメントのお陰でずっと覚えていましたもの。
んで、こういうの。最近見かけない気がします。
少なくとも、自分が今読んでいる作品内には、1個も無かったような。
起源は?
そもそもこれの起源は?と言うと、原典は分かりませんでしたが、「確立した人物」として士郎正宗先生が浮上してきました。
以前は、はてなキーワードの士郎先生の項目に”「コマ欄外ウンチク」という技法を確立した”とも書かれていたようです。(現在は消去されています)
参考:人力検索はてな「漫画で、コマの外に作者がちょこちょこと書いてある文字、あれを何て言うのでしょうか。」
氏の代表作「攻殻機動隊」のコマ外に薀蓄などを書かれていたとか。(すみません。未読故確認できてません。)
ざっと調べた印象では「一言」というよりも、「それなりの長文」だったみたいですね。
上記参考先にも、
「攻殻機動隊 」の原作者士郎 正宗氏は有名な注釈マニアであの人の単行本を見るとコマの枠外にびっしりと注釈が書き添えられています。
とありますし。
このように、士郎先生が、コマ外に注釈なりを記していた事は確かなようですが、「確立した」と言えるのかまでは分かりません。
この注釈が「攻殻機動隊」で初めて取り入れられたのでしたら、少なくとも「CITY HUNTER」後なので、違うと言えますしね。
「攻殻機動隊」 89年5月初出
「CITY HUNTER」 85年年初から連載
ま。よく分かりませんが、80年代以降の漫画から始まったのかもしれません。
(追記:注釈と一言コメントでは趣が大きく異なりますので、広義的な意味でのコマ外コメントとして紹介してみました)
尾田先生の考え
コマ外のコメントというのは、基本的に「作者の素」が出て来る部分であると思います。
「出て来る」というより「わざと出している」とした方がより正確だとは思うのですが。
ともかく、作者の声であって。
こういうのを作中には一切出さないぞというスタンスなのが、「ONE PIECE」の尾田栄一郎先生。
コミックスにほぼ毎巻載っている企画の一つである「SBS」で、読者とこれに纏わるやりとりがありました。
最近考察記事とか書く関係で、「ONE PIECE」のコミックスを読み返している僕。
これに関しても最近どこかで見たぞという記憶を頼りに、確か最初の方の巻だった気がすると思い立ち、4巻辺りから調べていきました!!
で、見つけた訳です。お目当ての応えを。
67巻で。(くっそ。1時間以上探してしまった。鳥頭過ぎる)
ちょっと抜粋。
D(読者):初めまして、尾田っち!へそ!!さっそくなんだけど、私。
尾田っちのポリシー?ポリスィー?に気づきましたー!!
尾田っちって…ふき出しの中に、尾田っちの字で書いたセリフの補足って書かないですよね!?
他の漫画家さんトカ結構やってるケド…そこんとこ教えて下サイー!!O(尾田):おお。はい。ふき出しの中に書いたり、外に書いたり、よく見かけるやつですよね。
新人時代と連載初期はまだ僕もやってましたが。
わりと早い時期にこういうのやめようと、はっきり自分で決めましたので、ポリシーです。
例によって、他の作家さんがやる分には、全然気になりませんが。
これをやると、僕の素の文字がでるわけで、マンガを読んでる途中で読者が、「作家」を意識してしまうかな?と思ったので、やめました。
漫画を読んでる間、僕の存在は忘れてほしいんです。
今回の件と質問では少し意味合いは異なりますけれど、コマ外のセルフツッコミなども「作家を意識する行為」には違いないので、同じ事かなと。
まあ、「ワンピ」の場合は、コミックスで読むとSBSの変態言動という印象が強すぎて、「尾田先生を意識せずには読めない」作りになっているので、意味ない気もしますが(笑
尾田先生と似たような考えから、コマ外にコメントを書かない作家さんもいるんでしょうねというお話。
まとめでは無いけれど。
本来ならここで「何故最近見かけないのか」という考察なんか書けばいいのかもですけれど。
そもそも僕が見かけないというだけで、最近減ってきているという確証*1も無ければ、流石に自論すら浮かばないですし。
こういうのは今回無しにして。
先にも書きましたけれど、僕はこういう何気ない遊び心が好きだったりします。
尾田先生の考えも分かるので、ケースバイケース…作品によりけりなのですが、シリアスな中にもコミカルな要素が入っているような作品とかには、是非是非取り入れて貰いたかったり。
作中で描かれている事も、コマ外のコメントも。
全て等しく作者のメッセージであり、作者自身だとも思うので。
*1:確証というのとは違いますが、ググると2007年頃の2chの過去ログでも似たような言及がされていました。やはり最近見かけないという人が僕以外にもいらっしゃるようです。