この記事は
「シン・ウルトラマン」の感想です。
ネタバレあります。
お断り
まず初めにお断りを書いておきます。
僕は、今作が庵野作品初鑑賞となりました。
「トップをねらえ!」、「ナディア」はおろか、「エヴァ」や「シン・ゴジラ」さえも見たことが無い。
だから庵野監督の作劇論であるとか作家性について言及することは出来ないし、それどころか原典となった「ウルトラマン」も子供の時にレンタルビデオ(勿論VHSね)で見た程度。
知識量としては本当に薄い。
「ウルトラマン超闘士激伝」とか「疾風ウルトラ忍法帖」のことの方が詳しいくらいだと思う。
そんな人間の見た感想として、ご容赦ください。
これは「大人の鑑賞に堪えうる特撮」では無い
平成以降特撮番組のターゲットは「親世代」にも波及していったという認識があります。
これが正しいのか間違っているのかは不明ですけれど、公式側で「大人の鑑賞に堪えうるものを」というコンセプトを持って作ったという発言は耳にしたことがあります。
この言葉、「大人も見て満足できるけれど、主たる客層はあくまでも子供である」ということと解釈しています。
そりゃそうです。
あくまでも子供向けの番組なのですからね。
完全に大人をターゲットとした「牙狼」シリーズや「仮面ライダーアマゾンズ」等とは異なる点ですね。
そういう意味では、今作は完全に「大人の為の特撮」だったなと。
これまで「ウルトラマン」では、こういった路線はやってなかったと認識してるんだけれど、合ってます?
昔新聞で「今やってるウルトラマンは英語のセリフが多くて、子供が飽きている」というお母さんからの投書が載ってましたけれど、「仮面ライダー」よりも「ウルトラマン」の方が年齢層低いのかもですね。
だから、あまり大人向けの路線は「ライダー」よりもやりにくいのかもですね。
(書いてて思い出しましたが「ULTRASEVEN X」がありましたね。あれは面白かった。)
さて、「大人向けウルトラマン」。
色々と科学的(?)な解釈が付けられていました。
中でも個人的に気に入った点が2つ。
1つ目は、ウルトラマンのエネルギーについて。
地球上では3分間しか活動出来ないウルトラマン。
(調べてみると作中で「3分」と明言されたことも資料に明記されたことも無いとか。)
原典ではその様子を胸に付けたカラータイマーで表現していました。
活動限界が近づくと、タイマーが点滅し、限界に近づくたびにその明滅が早くなるんですよね。
しかし、今作のウルトラマンにはカラータイマーがありません。
ウルトラマンの象徴でもあるから、発表時には大いに物議をかもしました。
僕自身「え?」と驚いたし、物足りなさも覚えたのですけれど、より「宇宙人らしさ」を追求するとカラータイマー程異物な存在も無いんだなと。
ウルトラマンって宇宙では活動限界なんて無いんですよ。
そりゃそうですよね。
あれが生身ですから。
地球でしか使わないようなモノを、しかも、あんな機械的なモノを付けているのは不自然です。
調べてみると「当初は存在してなかった」ようですね。
弱点を作るためと言う後付けだったとか。
しかもデザイナーの成田亨氏も当時から嫌っていて、今回も氏の意向を取り込んだと公式サイトにも書かれてます。
ただ、その代わりに「体色でエネルギー残量を表した」点は良かった。
より生物らしいし、しかも「エネルギー残量で体色を変化させる」(正確には透過率だけれど)ネロンガを事前に登場させて、観客に違和感を持たせない仕様。
ビジュアル的にも分かりやすいし、より生物的なアプローチになっていて面白い解釈だなと感じたのです。
2つ目は、変身システムへの言及。
原典のベーターカプセルについて、より具体的に設定を追加。
ウルトラマンの身体は異空間的な所にあって、ベーターカプセルを通して地球に顕現しているという設定。
メフィラスがこのシステムを使ってとある計画を推し進めていたり、ゼットン戦の切り札になっていたり。
変身の設定を突き詰めることで、物語全体の重要な要素に昇華してる辺りが凄いなと思いました。
新解釈を取り入れたシナリオに脱帽
今作はシナリオがやっぱり良かったんですよね。
未曽有の危機に追われた人間(政府)の動きのリアルさもさることながら、特撮ヒーローとしてのウルトラマンの戦いが個人的に最も惹かれました。
次第に強くなっていく敵の魅せ方が上手かったんですよね。
ネロンガ戦で、スペシウム光線を披露。
圧倒的なエネルギー量、破壊力でネロンガを倒しました。
やはりウルトラマンと言えばスペシウム光線が代名詞。
それを緒戦で見せてくれて、しかも、大迫力ですよ。
原典を彷彿とさせつつ、現代ならではのアングルと技術で映像化された光線は、ただただ格好良かった。
次に着目したのがザラブ星人戦。
ウルトラマンを封じつつ、地球を征服しようと目論むザラブの悪巧みに翻弄されつつ、浅見の活躍で変身したウルトラマン。
戦いたくないと言ってたので、弱いのかと思いきや普通に強いザラブ。
スペシウム光線をも無効化してきます。
もうこの時点で、ネロンガより強いことが分かるんですよ。
2度の光線を防がれたウルトラマンは、もう1つの超有名な必殺技である八つ裂き光輪を放ち、見事ザラブを倒しました。
3戦目は、メフィラスですね。
「ウルトラマン」の宇宙人の中でも超有名なメフィラス。
バルタン星人と比肩する人気なんじゃないかな?
今作に於いても強敵としてウルトラマンの前に立ちふさがりました。
スペシウム光線も八つ裂き光輪も効かず、ほぼ対等の戦いを繰り広げました。
最後がゼットン。
原典の宇宙恐竜ゼットンは、ウルトラマンの命を奪った強敵です。
今作でもその強さは健在。
というより、より絶望感が増してたと思うのですよ。
なんたって「正義の味方」であるはずのゾフィーが「人間を滅ぼすために放った生体兵器」として登場するのですから。
あらゆる宇宙人を相手取っても十分に「裁定を下せる」レベルの強さを誇る兵器。
光の国の使者であるウルトラマンも例外ではなく、戦う前から手も足も出ない存在として登場。
事実、手も足を出ないまま、完敗。
引き分けたメフィラス戦ですら、あのまま戦ってればどうにかなったかもしれないというのに、ゼットンにはそのわずかな希望する見いだせない負けっぷり。
ウルトラマンが戦うごとに、敵の強さも増していく。
最後には、そのウルトラマンすら敵わない最悪な敵が現れ、一体どうなる…って流れ。
あくまでも原典のリブートである本作。
最後の敵を科特隊が倒したように、今作もそこを目指して作られていたのでしょう。
ウルトラマンが信じ、愛し、託した希望が人類の叡智によって結実し、ゼットンを倒す唯一の方法が見つかる。
原典よりウルトラマンと人類の絆を深く描くことで、非常に綺麗な着地を見せてくださいました。
先にも書いたように変身プロセスの新解釈を活用したこともあって、無理のない落としどころだったなと。
ややエピローグに物足りなさを覚えたものの、ウルトラマンと人類の絆の物語に強く惹かれました。
終わりに
深夜のテンションで書いたので、内容がグダグダだな…。
兎も角、見て頂きたい映画。
「シン・仮面ライダー」にも俄然期待しちゃうな。