クライマックス?
「ジャンプ」料理漫画では、僕が生まれる前に連載されていた「包丁人味平」以来のヒット作と言えるだろう作品が「食戟のソーマ」ですね。
そろそろ物語もクライマックスなのでしょうか。
あと数回で終わりそうな気配がしてますが、勘違いかもしれません。
この漫画、「連隊食戟編」でも流石にもう終わりかなって雰囲気を醸し出していて、さらっと続けていますからね。
もしかしたら、今回も終わりっぽい雰囲気を僕が勝手に感じてるだけなのかも。
ただまぁ、かなり迷走気味なのでそろそろ〆て欲しいと感じていたのですが…。
最後の最後、ここにきて創真の母の出現が評価を一変させてくれました。
「BLUE編」の感想です。
…異能…!?
創真たちが十傑入りを果たし、えりなが新総帥に着任。
裏社会の料理人・ノワール達の動向を探るという形で新章が始まりました。
城一郎の息子を名乗る才波朝陽の登場と、ここまでの流れは特段変なことはなく、寧ろ盛り上げに貢献していたと思います。
問題はBLUE本選に入ってからですね。
早いテンポで進んでいくところは非常に良かったのですが、ノワール達が唐突に「異能」という謎の力を発動させてきたから、流石に「え?」ってなりました。
確かにこれまでも漫画的超技術は登場してきました。
例えば、美作の周到なる追跡(パーフェクト・トレース)とか。
ストーキングで情報を集めることで、思考を完璧に先読み出来て、対戦相手と全く同じ料理を作り出せるとか最早超能力の域だからw
つまるところ、料理の味の優劣を漫画で伝えるのって難しいのでしょう。
一皿に加えたアイディアの数の差で美味いかどうかが決まるところからして、漫画なんだなって感じではありました。
とはいえ、曲がりなりにも調理技術で魅せてきた中で、唐突にチェンソー(調理器具ですらない)で繊細な皿を作ったから美味いとか言われても…。
ラスボスになるかもしれない強敵・朝陽もこの類型だったので、結構残念ではありました。
相手から調理器具を奪うことで相手の異能を吸収。
それを複数掛け合わせることで新たな調理スキルが発動する!!
異能が多いから、朝陽の方が美味い!!
うん。
異能には違いないし、味の優劣の決め方もこれまでの延長線上にあるのは間違いありません。
ただまぁ、なんというか。
変な方向に吹っ切れて来たなぁというのが正直な感想でした。
バトル漫画よろしく強く強く(美味く美味く)ってインフレを起こしちゃうと、いくら漫画的ロジックで固められてはいても限界は見えてくるものだなと。
バトルですらそうなのですから、元来優劣のつけ難い料理でやるとより難しいのでしょうね。
でもね。
そうは言いつつも創真と朝陽の決着については、とっても良かったと思っているのですよね。
幸平珠子が繋ぐ幸平親子の一貫したドラマ
激マズ料理を作り続けてきた創真。
それは連載第1話から披露してきた彼の「原点」です。
料理人として着実にスキルアップしていく間でも、彼は暇さえあれば激マズ料理を作っていました。
それは大切な場面でもきちんと「大事な点」として描かれてきて、そして今回もまた、そのことが勝利の理由となっていました。
今まで語られてこなかった彼の母(珠子)との思い出。
それは本当に今までの創真と城一郎の物語を結びつけるものでもありました。
かつて美食の地獄に落ちてしまった城一郎を救ったのが母の「下手糞でも楽しく厨房に立ち続ける妻」の姿勢であり、彼が料理の楽しさに戻ってこれたことに繋がっている。
失敗を恐れずに、たまの成功に賭ける母の料理への姿勢が、息子にも(夫にも)引き継がれ、「誰も知らない美味」への地平線を切り開きに臆することなく進める創真の味に繋がっている。
1話から描かれてきた創真の料理への関わり方に、この局面に於いて矛盾のない一貫したものが描かれていたこと。
これが、朝陽の「自分の味が無い」という敗因すら納得できるものとしている点も含めて、非常に綺麗な落としどころであったと思えました。
「連隊食戟編」での伏線も回収してましたしね。
終わりよければなんて言いますが、非常に納得感の高かった「最後の料理勝負」。
ここで終われば、迷走気味の展開もチャラになるんですが、どうなるのか…。
終わりに
なんだかんだ、今期の入れ替えは終わったんですよね。
そう考えると、次の入れ替え時期まで連載が続くのか。
はたまた、そういう時期は無関係で完結を迎えるのか。
新章に入るくらいならば、伏線も回収終えたことですし、珠子が作ってくれた良い雰囲気を持った今のうちにラストを迎えてくれると綺麗かなと思うのですが…。
どうなるんでしょう。