この記事は
「SKET DANCE」の考察です。
はじめに
篠原健太先生がtwitterを止めてしまわれました。(確認は取ってないけれど、アカウントを消去するという旨のツイートは拝見。)
直接の原因としては先生自身は否定されていましたけれど、どうも厄介なことに巻き込まれたようで。
うんざりしそうなので、詳しい経緯は知りませんし、調べたくも無いですけれど、非常に残念。
ということで、篠原先生への応援を込めて「スケダン」のコミックス(電子版)を買いました。
(ケチな僕は安い文庫版で集めようと検索したのですけれど、電子媒体では文庫版の販売がそもそも無くて草)
や~、非常に懐かしいです。
連載が終わって6年しか経ってないのに、随分と懐かしく感じます。
とはいえ覚えているものですね。
わりと詳細まで覚えていて、記憶に定着するくらい真剣に読んでいたのだなと今になって気づきがありました。
やっぱり今こうして読み返しても面白い。
笑えますね。
当時では「銀魂」と双璧を為す「ジャンプの笑える漫画」でした。
ただ、こうも思ったのですよ。
「よく打ち切りを免れたなぁ」って。
貶めるつもりはないし、先にも書いたように好きな漫画です。
「篠原先生を応援するため」というだけで、好きでもない漫画を買うほど酔狂じゃありませんし、先生の信者でも無いです。
純粋に読みたいから買ったのですから、決して「打ち切られてもおかしくなかった漫画」とは微塵にも考えたおりません。
それでも、似たような学園漫画が悉く散っていった中で、バトル要素がある訳でもない「ジャンプ」の中では地味目な作風で、生き残ったのは何故だったんだろうと。
他の作品とどこが異なっていたのだろうと思ったのです。
そんな疑問に関して、僕なりに考えたことを書きます。
あくまでも個人の意見であり、正しい訳では無いことを断らせていただきます。
構想時の3話までまとめ
コミックスにはセルフライナーノートとして、篠原先生が各話を振り返るコーナーがありました。
そこに書かれていた連載前の構想を先ずは纏めてみます。
構想第1話は、連載第1話と同じ「ペンキ仮面」。
転校性の杉原哲平の依頼で、彼にペンキを浴びせて逃げた通称「ペンキ仮面」を探し出すことになったボッスン達。
事件を追う中で、ボッスンは意外な真相に辿り着くというエピソード。
スケット団の活躍と主人公格3人のキャラ紹介を杉原という読者視点のキャラを通して描いたもの。
第1話としては、オーソドックスですけれど、コテコテの会話劇や推理要素など先生の特徴が活かされたお話。
構想第2話は「ファインディング・ペロリン」(連載第13話)。
「お菓子の当たりクジを巡って高校生が必死に立ち回る」(ライナーノーツまま)エピソードで、ヒメコの掘り下げを狙ったもの。
篠原先生にとっての「スケット・ダンス」のイメージを具現化したお話だそうです。
先生曰く「地味」とのことですが、確かに(笑
結局勘違いでしたというオチを含めて、パンチに欠けたエピソードではあったのかなと。
構想第3話は「ランニングホームラン」。
連載では第40話のエピソードです。
校長のちょいと捻くれたお孫さんとスケット団が公園で泥んこになるまで遊ぶというもの。
連載前のネームでは、誘拐犯を撃退するアクションも予定されていたようですが、連載版ではカット。
学園のもめ事ととは無関係な平和なお話になっています。
5巻まで読みましたが、連載前はこういった序盤の予定だったようです。
担当者さんによってボツを食らって一時はお蔵入りとなったそうですけれど、正解だったと思うの。
結果論でしかないし、ifを語るには説得力のある言葉も持ち合わせていませんけれど、この構想通りに連載してたら打ち切られていたんじゃないかな。
最初の3話は、10話前後で最初の打ち切りがある「ジャンプ」では殊更に重要ですから。
構想段階ではゲストキャラが弱すぎた
説得力のある言葉を持っていないとしましたが、とはいえ、せめてそう考える理由位は書くべきですね。
結論から書くと、キャラがあまりにも弱いんです。
さて、話は少し脱線して、第24話「スケット団漫画化計画」の内容について語らせてください。
直前の23話で生徒会のメンツ5人が出揃った訳ですが、この話はその直後からとなります。
23話で女生徒の弱みに付け込んで、猥褻な行為を繰り返していた蜘蛛の会の壊滅を果たした生徒会。
そんな生徒会を取材に来ていた漫画家の檜原円太は、安形の勧めでスケット団にも取材に来ます。
檜原円太というのは、勿論篠原先生自身がモデル。
とはいえ、全然似てるわけではないらしいですけれど、檜原という漫画家の考えとして面白いことを作中で言わせているんです。
「やっぱり漫画はキャラクターなんだよね」と。
特にここで漫画論を始めるつもりは無いので、漫画にとって何が大事かなんて書くことはしませんけれど、ギャグ漫画(コメディ漫画)にとっては1つの真理ではあると思うのです。
ストーリーに凝るよりもキャラクターに比重を置いて漫画を構成するというのは、ギャグやコメディでは大事なんじゃないかな。
そうじゃないという意見もあるでしょうし、そもそも論「スケダン」はコメディじゃないというファンの意見だって否定はしません。
ストーリーに凝った泣きのエピソードもいっぱいありますから青春群像劇として捉えている方だっているでしょうしね。
あくまでも僕の中で今作はコメディであり、ならばキャラクターは重要だよなということ。
この考えを基にして、構想時の3話を振り返ります。
第1話のゲストは杉原哲平です。
バスケに精を出すクラスメイトとして、この後もちょいちょい登場しますが、決して派手なキャラではありません。
特徴が無いことが特徴の地味なキャラです。
構想第2話には、キャプテン(高橋千秋)が登場してます。
彼女はサブレギュラーではありますけれど、コメディ漫画のキャラとしては「弱い」んですよね。
ソフトボール部に所属するショートポニテの可愛い女の子だけれど、それ以上でもそれ以下でもない。
構想第3話に至っては、生徒ですらないです。
唐松校長はクセがあるけど、メインゲストの吉彦は笑いにならない小学生でした。
ハートフルなお話のキャラであって、コメディのキャラじゃないわなと。
コメディ漫画のキャラとしては、一様に違うんですよね。
キャラだけで笑いが取れない、個性が弱いんです。
だからこそ、打ち切られていたのではないかと考えたのです。
第1巻はセミレギュラー大攻勢
ではでは、実際の序盤を振り返りますね。
序盤から終盤にまで登場するセミレギュラーばかりが出て来てます。
第2話「エイプ・エスケイプ」
ゲストはヤバ沢さん。既にヤバイ。
おじさん、ヤバ沢さん好きなんすよ。
個性が強すぎる。
ご尊顔からしてコメディしてるし、口癖が「ヤバス」。
一度見たら忘れられないキャラです。
勿論セミレギュラー。
顧問の中馬先生もこの回で初登場してます。
初登場時からやる気のない顔して、スケット団に爆弾の処理を頼むという教師どころか人としてあるまじき行為に出てます。
第3話「焼却炉の幽霊」
スイッチの永遠のライバル、オカルト部の結城澪呼がここで登場。
怖い顔して貞子のように窓から侵入してくる恐怖の女の子。
化粧すると美人に変身する彼女も勿論セミレギュラー。
第4話「ペパーミント侍」
構想前との対比としては、3話までで十分なのですけれど、折角なのでもう少し続けます。
4話では、剣道部の主将・武光振蔵が出てきます。
古風な言葉遣いと常の道着姿で、見た目はまるで侍なのですが、携帯電話(まだスマホが無い時代だった)を使いこなすなど妙に現代人っぽい、ちょいちょいキャラぶれした濃い奴。
ヒメコに並ぶ貴重な武闘派でもありますね。
第5話「伝説の鬼姫」
元女番長で後に現役の女子高生声優となる吉備津百香。
ヒメコを襲撃するという過激な初登場をかまします。
シリーズ初の前後編となったエピソードで、ヒメコの鬼姫時代に触れるなど割と重要なトピックを含んでいたりします。
モモカの舎弟の3人もそれなりに登場頻度があり、総体的な「キャラの濃さ」ではここまでで一番かもです。
第7話「坂の上の王子様」
シリーズ史上最強のキャラクターは誰かとアンケートを取ったら、僕は全力で彼女を推します。
少女漫画家志望の早乙女浪漫のデビュー回です。
漫画の鉄則や法則を悉く無視する最強の女は、初登場時から飛ばしてました。
第1巻の濃いキャラ達
1巻に収録されている7話までで1話の杉原哲平を除くと、ゲストキャラ全員がセミレギュラー。
当初はキャラとしての人気が無く、篠原先生がお気に入りだったから使われ続けたというキャラも中にはいるかもですけれど、とはいえ、普通に考えれば読者人気を得られたからこそセミレギュラーとなったはず。
そんな優秀なキャラが次から次へと出て来ている。
これって凄くないですか。
コメディらしい濃いキャラがどんどん惜しげもなく投下されていて、「あぁこりゃ打ち切られないわ」という考えに行きつきました。
連載時はここまで考えて読んでいなかったので、コミックスで読み返して新しい気づきになりました。
結果論といえばその通りなんですけれどね。
終わりに
一般的に人気の高い生徒会ですが、初登場は意外と遅くて第10話なんですよね。
ちなみに、ダンテ君は第36話。
彼を久々に見て、そういえばアニメではGACKTさんが声を当ててたなと思いだして、変な笑いが出ました。
よくもまあ引き受けてくれたものだなと(笑
1人で思い出してクツクツと笑ってて、ライナーノートを読んでまた大笑い。
「イメージはビジュアル系アーティストのインタビュー(暗い部屋で椅子に座ってゆっくりポツポツと答えるような感じ)なんです」
なにこの「うたばん」に出てた頃のGACKTさん。
まさにベストな配役だったんですね。
納得しました(笑