「ソニック・ザ・ムービー」感想 第一印象を覆す面白さだった!!

この記事は

「ソニック・ザ・ムービー」の感想です。
ネタバレあります。

デザインの第一印象からの逆転

ファーストインパクトは強烈でした。
さほど思い入れの無い僕ですら「これはない」と切り捨てたほど、原作に似ても似つかないモンスターがそこにはいました。

普通に怖いよね。
こんなのがガレージに潜んでたら、頭に麻酔銃撃ち込みたくなるよ。
むしろ足へ撃ち込んでいた本編描写に違和感すら覚えたと思う。

印象が悪かったのは、デザインに留まりませんでした。
いや、正確に申しますとデザインの悪印象が作品全体への猜疑心を呼びました。
これほど原作とかけ離れたデザインのソニックを見せられたら、原作そのものへの愛が無いんではと勘繰るのは、普通の心理では無いでしょうか。
名前と設定だけを借りた完全別物映画。
「ソニック・ザ・エボリューション」に改題が必要ではないかと感じたのも、僕だけでは無いことでしょう。

初公開からほどなくして、アメリカからも猛批判を浴びた映画は、本国での公開を延期してデザインの再設計に入ってくださいました。
グッと原作寄りに生まれ変わった映画版ソニック。
新型コロナの影響で、日本では再度の延期となりましたが、この度遂に公開となりました。

全米での興行成績が「ゲーム原作の映画No.1」という記録を打ち立てたというニュースを耳にしていましたので、当初よりも期待感を増していたものの、どこか怖いもの見たさでの鑑賞でした。
感想です。
面白かったです。

卓球から野球に見せ場を移した効果

凄くシンプルなシナリオでしたが、それが良かった。
分かりやすいというのは、それだけで立派なテクニックですよ。
それだけ無駄な贅肉が無く、かつ、誰にとっても理解しやすく共感を覚えやすい心情描写が出来ているのだから。

友情をテーマとした今作で大事なのは、ソニックの孤独をどう活写するか。
ここを重厚かつ情感たっぷりに描写すれば、クライマックスのカタルシスを十二分に感じられます。
結論、滅茶苦茶分かりやすく、しかもたっぷりの感情移入できる物語でした。

そんな物語を大いに盛り上げていた小道具が、スポーツですね。
ソニックは持ち前の超スピードで、1人で何役もこなして、1人スポーツを楽しんでいました。
最初は卓球です。
ポイントは、シングルであること。
1対1の試合形式で2人の選手を演じつつ、卓球を楽しむソニック。
ここでは、彼の孤独さは見て取れません。

お話は進み、段々と彼が孤独であるということが強調されていきます。
彼の孤独さを一層引き立たせたのが、1人野球でした。
投手から捕手、打者に外野手から審判まで。
一体何人を同時に演じるんだというくらい多くの配役をしつつ、夜中のグラウンドで1人野球を興じるソニック。
打者ソニックは、見事ホームラン性の当たりを放ち、ダイヤモンドを駆け抜けます。
ボケっとした外野手ソニックからの返球も間に合わず、打者ソニックは、見事ホームを陥れます。
喜びに沸くソニックは、その勢いのままハイタッチをすべく手を出しますが、彼の手は何も掴むことはなく宙を描いてしまい…。

団体競技ならではの寂しさの演出ですよね。
この直後の暴走シーンと併せて、ひどく印象に残るシーンでした。

事前に個人競技で楽しんでいる様子を見せてから、団体競技を通じて、実は寂しいんだとする表現は、落差も相まってソニックの孤独を一層引き立たせていました。

クライマックスでは、この「逆」をやってたのも心憎い演出でしたね。
トムの友人発言から覚醒したソニックは、力を友達を守るために使う。
そのままロボトニックを撃破してからのハイタッチ。
孤独さを巻き戻すかのように友情を見せる過程は、とっても良かったです。

ジム・キャリーさんの怪演が光る

僕位の年代だと、ジム・キャリーさんと言えば「マスク」です。
気弱な青年が緑の仮面を被ると、とたんにハイテンションで超人的な肉体を駆使して街中を暴れまわる「怪人」に変身するコメディ映画。
漫画的な演出をふんだんに盛り込んだCGは、子供心に面白さを覚えました。

この映画でジム・キャリーさん演じる主人公スタンリーの吹替を担当したのが、山寺さん。

まさに黄金コンビ。

ジム・キャリーさんの面白くも奇怪な演技を声で完璧に再現する山寺さん。
この映画の面白さの何割かは、間違いなくこのコンビの力ですね。

次回作でこそ、原作と同じ姿で再登場してくれるはずですので、また期待ですね。
どうやって戻ってくるのかは知りませんが(笑

終わりに

中川大志さん、かなり上手かった。
調べてみたら、声のお仕事は今回で3回目っぽい。
初めてではないとはいえ、たったの3回で違和感を覚えさせない演技が出来るって、プロって凄いわ。

吹替のキャスト陣に下手な人がいなかったのも、没頭できた要因でしたね。
同じ芸能人キャストでも、上手い人を起用してくださると本編にのみ集中できるので良いですね。

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