この記事は
「スパイ教室 短編集」第4巻の感想です。
ネタバレあります。
はじめに
早いもので短編集も4冊目。
アニメを見て、この短編の重要性を再認識しました。
「スパイ教室」ってキャラものでもあるのに、第1巻の特殊性からアニメには中々に向いていないところがありました。
8人の少女を7人に見せかけるという叙述トリックを活かすために、キャラを「敢えて描かない」という入り方をしているからです。
そうなると1クールという限られた回数の中で、「描くことの出来るキャラ」は順番通りで行けば、リリィ、グレーテ、アネットの3人だけだったでしょう。
8人もいるのに半分にみ満たないキャラしか立たせてあげられない。
これは致命的です。
だからこそ、原作1巻相当にあたる3話終了時には「キャラが立ってない」とか「リリィ以外目立ってない」などの否定的な感想をよく見かけました。
けれど、スタッフはこういった反応まで織り込み済みだったようですね。
4話からは短編集のエピソードや1巻で描くことの出来なかったエルナのエピソード等を放送。
原作2巻に突入する第9話までにキャラクターを満遍なく取り上げ、この手の批判をシャットアウトすることに成功。(僕は成功したと勝手に思ってます)
プロフェッショナルの人達の考える構成は巧みだなぁと思った出来事でした。
そんな訳で、アニメが2期、3期と続いてくれるようなことがあれば、「鳳」との蜜月の日々もしっかりと映像化した上で彼らの全滅という悲劇が描かれることになるのかもですね。
……もしそうなったら原作ファン以上にアニメオンリーのファンを奈落に突き落としそうだな(汗
はい。
短編集第4巻の感想です。
case 養成学校
リリィがイジメにあっていたとは…。
いや、うん。でも納得だわ。
イジメられていた事では無くて、リリィがリーダーに命じられたことがね。
全員のキャラが立った今だからこそ、「最初にクラウスを襲撃したのがリリィであった」ことにちょっとした疑問もあったんですよ。
「負けん気の強いモニカとか勝気なジビア、暴走娘のアネットあたりが一番に動いていても不思議じゃなかったよね」って。
(性格上モニカやジビアが率先して動いていたとは考えにくいとも思うけれど。)
ある意味誰よりも「現場に出たい」という気持ちが強くて、不可思議な状況に置かれても動ける鋼のメンタルを備えていた。
だからこそ8人の中で真っ先に行動に移せた。
こういったリリィのキャラクターは「養成学校でいじめられていた」過去が培ったもので、間違いなく当時からクラウスは調査して知っていたのでしょう。
辛くキツイ状況でも逃げ出すことも屈することなく立ち向かっていける強靭な精神力は、苛烈なスパイとして生きていくためには大切な要素なのかもですね。
それを実際に目の当たりにしたからこそクラウスはリリィをリーダーに任命したのかなって。
case 他スパイチーム
まさにアニメで、フィーネとかウーヴェのエピソードを放送してくれたこともあって、僕の情けない脳みそでも「誰だっけ?」ってならなくて良かったw
てかウーヴェは長編のメインゲストなのだから覚えていろって話ですが…。
それにしても、いや~笑った笑ったw
またなんとも濃いキャラが出てきたものだ。
「妹は愛でる対象であり、妹に欲情する兄などクズだ」は名言だわw
グレーテの流石の発想の転換による攻略法もお見事だし、ティアも彼女らしく課題に挑んでいて、それぞれのキャラが立っていて非常に面白かったです。
case 諜報機関幹部
ござるの転職先探しの一連のパートは全て書下ろし部分ですよね?
その話の中で、このエピソードを繋げるのはいくらなんでも無理くり感がwww
実のところ、僕はアメリを結構気に入ってました。
昨日の敵は今日の友なんて言葉がこの作品の世界観に通じるとは露にも思ってはいませんけれど、なんだかんだ協力体制のまま別れるのかなと考えていたし、期待していたのです。
だからこそ、彼女が蛇に寝返り、完全なる敵として死を迎えたことが少しショックではいました。
そんなアメリのエピソードがまさか読めるとは。
エルナと組ませたことで、決して悪人とは言い切れない部分が綺麗に抽出されていた気がします。
他のメンバーではこういう人間味あふれた一面は引き出せなかったんじゃないかって。
case スパイとは縁遠い世界
このエピソードは重要なのでは。
一度は完全に裏切ったモニカが、再び仲間に戻るという意味でも。
アネットのモニカへの殺意が無くなる(薄まる?)切っ掛けを描くという意味でも。
本編にあっても差し支えないほど大事なエッセンスが盛り込まれていたように思います。
そんな大事なエピソードですが、モニカとアネットの気難しい2人を相手取れるのは、まぁジビアくらいかな。
性格的にグレーテでも出来そうだけれど、彼女の場合押しが弱いからね。
グイグイ強く押せるジビアがやっぱり適任ですね。
case NO TIME TO 退
表題作。
スパイにも感情のはけ口が必要って話。
聖樹もサブレギュラー入りなのかな。
痛い位にキャラが立ってるし、クラウスに一目置かれるほど優秀なので、今後結構活躍するのかもですね。
さて、サラの夢は叶うのでしょうか。
叶って欲しいとしか言えん。
誰ひとり欠けて欲しくないなぁ。本当に。
Next
さて、いよいよ次は本編10巻のようですね。
見た目まで変わった「灯」に逢えるまで少し我慢します。
ところで、エルナとアネットの路上生活ってどんな意図があっての課題だったのか。
こんな課題出されたら「不幸」しか言えないんだが(汗
苛めなのか?w