この記事は
「ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結」の感想です。
ネタバレあります。
「DCエクステンデッド・ユニバース」への抵抗感
マーベルのMCUほど、僕はDCコミックスの「DCエクステンデッド・ユニバース」にはのめり込んでいません。
あまりにも最初の印象が悪かったからです。
僕にとって子供の頃からアメリカのスーパーヒーローと言えば、スーパーマンであり、バットマンでした。
どちらも昔から実写映画が作られていて、レンタルビデオやテレビで見ていた記憶があります。
バットマンに至っては、テレビ東京系列で夕方にアニメ版も放送していて、夢中になって見ていた記憶があります。
それ故に期待して劇場に足を運んだ「マン・オブ・スティール」と「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」には大変落胆したのです。
迫力や躍動感など映像的には素晴らしいものがある。
けれども、あまりにも暗く陰鬱、そして冗長な脚本は、一言で言えば退屈そのものでした。
これら映画を見る前にMUCのコメディ要素の多い明るいヒーロー映画に魅了されていたというのも大きかったことは言うまでも無く。
僕の中でいっきにDCコミックスの映画群から心が離れてしまったのです。
以降は、「ジャスティス・リーグ」と「シャザム!」しか見ていないのがその証左。
(この2本は面白かった。けど、「シャザム!」が一連のユニバースに含まれている事は、ついさっき知ったばかりw)
なもんで、予備知識等一切無しでの今作の鑑賞。
ジェームズ・ガン監督・脚本作品だから、よほどぶっ飛んだ映画なんだろうという期待の中で鑑賞して参りました。
けれどまたしても期待は裏切られることに。
想像以上遥かにぶっ飛んだ映画でした。
冒頭10分で混乱の底へ叩き落される
ハッキリ言おう。
この映画、相当グロいです。
僕がグロに耐性が低いからというのを差し引いても、グロ映画の部類に選別されると思う。
正直、肉料理を食べたくなくなるくらいにはエグイシーンが散見されていました。
覚悟して見に行ってなかったら、相当後悔していたかもしれない。
ただ、だからこそ、この映画の魅力が引き立っていたのでしょう。
ヴィランだけの特殊チームを描いた本作だからこそ、グロ要素は必要だし、遺憾なくフィルムに肉片と共にこびりついていた。
グロ要素は、今作の感想を書くのに必須だと思ったので先ず触れました。
グロシーンがあるということは、暴力的で猟奇的なシーンがあるということであり、悪党を描くにはもってこいの要素。
ヒーローチームなどでは無く、ヴィラン達の凶行を表現するのに適しているし、彼らの凶悪さ、極悪さが見て取れるからです。
ただ、ガン監督の恐ろしいところは、この要素を「ヴィランチームに殺された敵対組織」に用いるのではなく、ヴィランチームそのものの死に用いていたところですね。
さて、話が飛びますが、僕は今作を吹き替え版で見ました。
吹き替えならば、ハリウッド俳優に造詣が深くなくとも、中の人で重要なキャラなのか、そうではないのかを「聞き分ける」ことが出来るのです。
ということで、冒頭に出てきたのが白髪の老人ブライアン・ダーリン。
ヴィラン名をサバント。
手にした球状の武器(ただのボールかもw)を壁に投げると、スピード、角度を完璧に計算されたボールは、定められた場所を跳躍し、老人の真後ろから彼の元へ戻ってくる。
1分にも満たないシーンですが、このヴィランの能力の一端が示されていて…。
残虐なのは、この後。
再び放ったボールは、角で餌をついばんでいた小鳥を射止め、殺してしまうんです。
動物を殺すという惨い仕打ちにイラっとしました。
冒頭で登場し、早々と惨いことをするヴィラン。
喋ると声が立木文彦さん!!
立木さんと言えば、「新世紀エヴァンゲリオン」の碇ゲンドウや「名探偵コナン」のウォッカを始め数多くのアニメに出演してきた超一流声優。
こりゃメインだわと早々に理解。
そんなマダオサバントは、スーサイド・スクワッドのメンバーに任命され、続々とメンバーと顔を逢わせることに。
誰も彼も出てきただけで一癖も二癖もありそうな濃いメンツ。
てかキモイw
特にヤバいのがこいつ。↓
ウィーゼルっていうらしい。(名前は英語で「イタチ」のこと。イタチ…?)
こんなん目の前に現れたら、恐怖で漏らして腰を抜かすわw
他のメンツもこいつほどでは無いけれど、ザ・ヴィランって見た目のキャラばかり。
しかも僕ですら知ってるハーレイ・クインまで参加。
格好つけてカメラのある手前に向かって歩いてくるヤバい奴らからは「この映画、最後まで見れるのだろうか」(ヴィジュアルが生理的にきつくて)という悪寒がw
それがまさか杞憂に終わるとは。
5分と経たないうちにウィーゼルが海で溺れて死亡(笑
その後戦闘が始まると、次々とぶっ殺されていくメンバー達。
僅か10分ほどで全滅w
尚、メインキャラと思っていた立木さん声のサバントは、仲間が次々と死んでいく恐怖で、敵前逃亡したことで脳内に埋め込まれた爆弾で爆死しました。
頭部が跡形も無く肉片に変えられるという、目を覆いたくなる惨殺死体に。
アメリカンコミックって、ヒーローと言えど割と簡単に死んだりするけれど、ヴィランともなれば死の制約はより緩く出来るのでしょう。
冒頭で次々と肉塊に変えられていくヴィランのシーンは、あまりにも衝撃的でした。
「この映画、どうなるか全く先が見通せないぞ」と思わせてくれるには十分すぎるオープニングでした。
「この映画、どうなるか全く先が見通せないぞ」
結局捨て駒だったサバント達のチーム。
本命のチームは、ビジュアル的にかなり真面だったので一安心w
吹き替え声優陣も超豪華。
リーダーのブラッドスポート(普通に格好良い)を山ちゃんこと山寺宏一さん。
ブラッドスポットのライバル的な立ち位置のピースメイカーには大塚明夫さん。
水玉野郎ポルカドットマンは、宮野真守さん。
ねずみを操るラットキャッチャー2に悠木碧さん。
サメ男キング・シャークを玄田哲章さん。
聞きなれた声に、卓越した演技力。
安心して物語に没頭出来ました。
ブラックユーモアと過激なセリフ、そしてグロイ戦闘シーン。
ラスボスと踏んでいた人物が中盤で呆気なく殺されてビビったりもしましたが、王道ながらもガン監督テイスト満載のシナリオのノリにようやく慣れてきた中、物語は終盤へ。
後はヒトデ怪獣(こいつも相当グロかった)を皆で倒して大団円かと思ったら、敵側の計画に隠された裏が判明してからまたしても予測不能な展開へ。
良い雰囲気だったチームから裏切者が出るわ、アイツがヒトデ怪獣に踏み殺されるわと油断ならない事件が次々と起こって飽きさせない。
「いつ誰が死んでも可笑しくない」を最後まで体現した予測不能なシナリオ。
人を選ぶけれど、嵌ると笑えるブラックユーモアの数々。
スプラッター好きも満足させる戦闘シーンは、作品のテーマとも相性が良すぎるほど。
上にも書いたようにグロイの苦手な僕には、軽くトラウマ物のシーンがいくつもあったのですけれど、それでも総括としてはとても楽しく鑑賞出来ました。
先の読めないシナリオがなによりも新鮮でした。
終わりに
寝る前に見たらうなされそうな映画ではあったw