この記事は
「すずめの戸締まり」の感想です。
ネタバレあります。
予告編から漂っていた既視感
またか…。
そう思った。
予告編を見た時の僕の率直な感想である。
美しい美術。
可愛らしい女子高生。
空と水。
そして、なんか格式高そうな歌。
圧倒的既視感。
「大規模上映を行う長編オリジナルアニメーション」のテンプレに則ったような映像。
このテンプレを作った内の1人として新海誠監督を認識している僕は、「また似たような作風なんだろうなぁ」と思ってしまったのです。
そうは言いつつも、僕自身も氏の遅まきながらのファンとしての期待感も持っていました。
やはり「君の名は。」を見た時の感動は未だに忘れられませんからね。
あの時の再来となるのか。
はたまた…。
結果。
最初から最後まで「面白い!!!!!!」と心の中で喝さいしっぱなしの2時間でした。
キャラクターが生き生きしてる!!!
こればっかりは僕の好みなんだけれど、やっぱり暗いお話よりも明るいお話の方が好きなのです。
眩しい太陽の中で元気いっぱいに動き回る人々の笑顔に救われる。
アニメの中でくらい、そういった陽の物語に触れていたいのです。
根底には、東日本大震災で唯一の肉親を亡くした少女の悲劇という重たいドラマが流れていましたし、その象徴としてのミミズという恐怖も劇中にはありました。
背景を考えれば、決して明るいだけの作品では無かった。
けれども、昏いところから明るい場所へと向かっていく少女の姿。
そして、見ず知らずの彼女を支えていく心の温かな人々との交流。
好きな人を救うための冒険。
暗さを吹っ飛ばすくらいに明るいパワーが溢れていたと思うのです。
鈴芽の気持ちを滔々と描かなかったのが良かったんだろうな~。
そう思うよ。
尺を長く使って、彼女の悲劇、抱えてる闇や寂しさをコンコンと語られていたら、ここまで爽快な気分になれなかった気がします。
そういった内面描写は必要最低限で済ませて、彼女の気持ちの変化を僅かなセリフで表現していたからこそだよね。
愛媛での「死ぬのなんて怖くない」(という意味のセリフ)と東北(宮城県でした?)での「死にたくない」。
これこれ。この対比だけで「陰」から「陽」への気持ちの変化を見せてくれていて。
もしかしたら、ダイジンも同じだったのかもですね。
草太を椅子に変えられ、失うまでの間は、鈴芽にとっての「心の闇」の象徴として。
失ってから、草太を救うまでは「希望」として。
椅子は母の形見ではあるけれど「忘れたいほど辛い過去の思い出」の象徴だったし、大事な人を再び失う哀しみへの恐れだったり。
なんなら環と言い合った時の環の言葉自体「鈴芽が環にそう思われているんじゃないかと考えていて、それをサダイジン(?)が環に言わせた」のかもだし。
考えすぎかもですけれど、不思議なダイジン達は、鈴芽の深層心理を投影した鏡だったのかなって。
ともあれ、登場キャラ皆良い奴ばかり。
そんなキャラ達が生き生きと明るく暮らしている。
コロンブスの卵とかダイジンの目的とかいくつか不可解な点も残ったけれど、そういったものを差し引いても、素晴らしく楽しい映画だったなと。
冒頭物語を転がすまでに時間を掛けず、ハイテンポで進んでいったところも飽きずに見れたポイントでしたね。
久々にBD欲しくなる映画でした。
終わりに
ダイジンの目的の考察とか書こうかと思ったけれど、やめにしておきます。
そうそう。
キャスト陣の演技も今回、凄く良かった。
原菜乃華さん、良かった。声が可愛かった。
花瀬琴音さん。プロの声優かと思ったw凄い。
深津絵里さん。気づきませんでした。流石です。
ダイジン。
久野美咲さんじゃないの???????
キャストで一番の衝撃でしたw