この記事は
アニメ「ソード・オラトリア」の記事です。
原作既読者だからこそ書きたいことでした。
この作品のレベルについて
アニメ版を見ていて、率直な感想はと言えば、淡々とバトルして、急速に話だけ転がって行っているという印象が強いです。
これはどうしてなんだろうと考えました。
色々と理由はあるのでしょうけれど、一番は、彼らのレベルについての言及が酷く少ないからだと思い至りました。
恐らくですが、「正伝」であるところの「ダンまち」からの視聴者にとっては、彼らのレベルにどの程度の「重み」があるのか理解出来てるんじゃないかなと思います。
駆け出し冒険者のベル君の視線を通して語られた「ダンまち」だからこそ、ベル君とアイズの彼我の差が顕著に分かったはずです。
でも、そうじゃない、今回からの視聴者にはちょっとその辺理解するのは難しいのかもしれません。
何故かと言えば、ロキ・ファミリアの中に下位冒険者が「いない」からですね。
正確に言えば、ロキ・ファミリアにもいっぱい下位冒険者はいますが、レベル5のアイズを主役にし、レベル3のレフィーヤを語り部にしてると、どうしたって「弱者の目線」が無い分アイズ達の強さも計り辛い。
レフィーヤは物語の上では十分に弱者なんです。
あれでも。
近接戦闘は苦手の魔術師。
回避と詠唱を同時に行う並行詠唱も練習中で身に付けていない。
けれど、「持てる魔法が1人につき最大でも3つ」しか無い世界に於いて、彼女の持つレア魔法《エルフ・リング》は「他エルフの魔法を召喚し、使用する事が出来る」というもの。
この魔法によって、レベル6のリヴェリアが放つ氷結魔法で幾度も仲間のピンチを救っています。
ロキ・ファミリアの幹部連中に揉まれているから弱者に見えるだけで、一般的には充分強い部類なんです。
なんたって、レベル3なんですから。
レベルの概念
このレベルの概念は、一般的なRPGとは大きく異なります。
能力自体は、通常戦闘で得た経験値(エクセリア)の分上昇します。
しかし、それもやがて限界が来て、頭打ちになってしまいます。
こうなると、どんなに経験値を積んでも、能力は上がりません。
この一線を越えるには、「誰もが認めるような偉業」を成し得ないといけません。
そうですね。
例えるなら、レベル1勇者のみのパーティでボストロールを斃すくらいの偉業は欲しいところです。
「ダンまち」作中では、レベル1のベル君が、レベル2相当+αのミノタウロスと一騎打ちで戦い、見事勝利を収める事で、レベルアップを果たしていました。
1つでも上のレベルのモンスターを1人で倒すこと。
これが「偉業」です。
ですが、じゃあ、レベル2の状態でレベル3相当のモンスターを1人で倒せばレベルアップできるかと言えば、そうではありません。
レベルが上がるごとに、求められる偉業は上がり、故にレベルアップはすればするほど難しくなります。
レベルアップするのは相当難しい。
が、その分、レベルの差は圧倒的です。
「ダンまち」のレベル1が、ドラクエのLV1相応とするなら、レベル2はLV10。
レベル3ならLV25…みたいな。
数字は適当ですけれど、まあ、圧倒的に強くなるって事だけ伝われば良いです。
この世界で、最高位はレベル7。
いまだ2人しかいません。
その中で、ロキ・ファミリアの幹部はレベル5以上。(物語開始時点で)
フィン達首脳陣3人は、みんなレベル6。
ちゃんと表示されてました。
アイズをはじめ、ヒリュテ姉妹、ベートはレベル5。
めっさ強いんです。
このことを念頭に置いた上で、物語を振り返ってみます。
第3話 祭典と勇気
町中に出没したモンスターの中でも、ひときわレフィーヤたちを苦しめたのが、新種の緑色モンスター。
レベル5のヒリュテ姉妹が手こずり、レベル3のレフィーヤを一撃で沈めるくらいに強かったのです。
モンスターのレベルの高さが窺えます。
通常下層域にしか出て来ない様なレベルのモンスターが町中で暴れ出したら、そりゃ大パニックです。
レフィーヤが魔法でなんとか倒したから事無きを得ましたが、そうではなかったら…。
第5話 赤髪と孤王
レヴィスの強さも分かると思います。
アイズの当面の敵として現れたレヴィスですが、当時のアイズを圧倒しました。
更には、レベル6のフィンとも渡り合っていたのです。
アイズ達が巻き込まれている事件の背後には、ロキ・ファミリアNo.1のフィンとも互角程度に戦えるレベルの強者が居る。
この事実は脅威です。
フィンの上には、世界広しといえど2人しか居ません。
そのフィンに並ぶかもしれない(実際はフィンの方が上ですが)相手が敵に居た。
第5話で描かれていた戦いは、ただ単にアイズが敗れた以上の衝撃があったのです。
第6話 討伐と逃亡
レヴィスに敗れたアイズは、更なる高みを目指します。
レベル6への昇華ですね。
それには相応の偉業が必要になってきます。
モンスターレックスであるウダイオスは、本来、そういうモンスターなんですよね。
レベル5の冒険者が1人で倒すと、偉業として示されるくらい強いモンスター。
短時間でサクサクッと倒してしまった印象が強いのですが、メッチャクチャ強いモンスターをアイズは1人で苦戦しつつも倒したのです。
ウダイオスを含め、モンスターレックスというのは、RPGでいうところのボスキャラです。
雑魚モンスターとは一線を画す実力を持っており、通常は複数人のパーティで協力しつつ打倒する相手として設定されています。
「ただの雑魚モンスター」では無いというのが、この偉業の意味の成すところなのでしょうね。
第8話 穢れと少女
オリヴァス・アクトという奴が現れました。
変な仮面を付けて、仮面を外したかと思ったら変顔してるうちにレヴィスに腹の核を取られて灰に帰った噛ませ犬…じゃないんです。
これでもレベル5のベートと張り合える程の実力者。
滅茶苦茶強かったんです。
でも、レヴィスの方がもっと強かった。
胸に埋め込まれた魔石をレヴィスに取られ、灰になっちゃいましたが。
終わりに
物語の1つの区切りとして、とあるモンスターとロキ・ファミリアの死闘が選ばれたようです。
それに向けてシナリオが構成されているのと、もう1つ、「弱者視点」が無い為、淡々と物語が進んでいるように錯覚しがちのアニメ版。
しかし、非常に強い敵が現れ、そいつらが新種のモンスターを世に放とうとしている。
というか、実際に放っている。
町を、世界を大いなる脅威が襲おうとしている。
その事件の解明に巻き込まれた形になりながらも臨むロキ・ファミリア。
敵の実像もまだ掴めないなかでのレヴィスからの大胆不敵な「ヒント」。
緊迫感と絶望感が待つラストバトルの前に、彼女達が相対している敵の強さと彼女達自身の強さを今一度確認して頂きたいです。