はじめに
2016年今年も様々な漫画と出会えました。
「虚構推理」
「百万畳ラビリンス」
「恋は雨上がりのように」
そして、「からかい上手の高木さん」。
からかい上手の高木さん 1 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)
- 作者: 山本崇一朗
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2014/06/12
- メディア: コミック
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今回は高木さんの魅力について語っていきます。
からかいと悪戯の違い
僕の職場の先輩に「にしかた」さんという方が居ます。
字は西片君とは違うのですが、見た目と性格がそっくり。
中でも一番似てるのが「からかわれやすい」という点。
だもんだから、先輩と重ね合せながら読んでいるので、一層楽しんでるのですが、そんな個人的な事情は置いといて。
「からかい」と「悪戯」の違いについて持論を先ずは述べたいと思います。
辞書の意味を引用してみましょう。
からか‐う
からかふ
《五他》冗談を言ったりいたずらをしたりして、人をなぶりもてあそぶ。じらして困らせる。
いたずら
いたづら 【悪戯】
《名ノナ》ふざけて、無益な事やよくない事をすること。悪ふざけ。わるさ。 「子供の―」
どちらもあまり良い行いという訳では無いと分かります。
からかいの中に悪戯が含まれている分、悪さ的には
「からかい」>「悪戯」
と捉えられなくもありませんね。
しかし、僕の印象は全く違います。
明確な違いがあるんです。
その行為に愛があるかどうか。
裏に愛情が含まれているのが「からかい」で、そうじゃなくて単純に悪さをしたくて行っているのが「悪戯」と区別しています。
僕も件の職場の「にしかた」さんをからかったりしてるのですが、決してホモ~な訳ではありません。
LOVEではないけど、LIKEなのは間違いない。
では、一般的に「からかう」という行為の裏にはどんな感情があるのか。
調べてみました。
からかうという行為は、生物学的に男性によく見られる行動と言われています。
男性ホルモンが取らせる行為の一つで、異性の気を引くために進化した行動で、女性にとってはいまいち理解し辛い行動だったりしますよね。
小学生男子が好きな女子をからかって、度が過ぎて泣かせちゃう。
どこでも見られる一般的な光景かと思います。
かくいう僕も、往時は好きな女子をからかって、泣かせてしまった事もあります。
若気の至りってやつですね。
この記事では、9つのポイントがあるといいます。
その内いくつかをピックアップします。
場を和ませたい
深刻な打ち明け話や、その場が凍りついてしまった時など、とっさに場を和まそうとからかってしまうことがあります。
笑わせることで場を和ませたいという心理が働いていますが、とっさに出たからかいが無神経だったりすると、ますます悪化してしまうことも。場は和んでもからかわれた相手は不快かもしれません。
とっさに出る言動こそがその人の本性とする人が多いという事実を忘れないよう注意しましょう。
笑顔にしたい
落ち込んでいる相手や心情を察してだったり、単純に好意を持っている相手の笑顔を見たいという心理から発露したからかい。
笑顔にすることで多少の浮上を期待したり、好意を持つ相手に面白い人と思われたいわけです。
これは成功すれば効果は高いですが、失敗してしまった時のリスクは高いですよね。ますます落ち込ませたり、笑顔ではなく嫌悪が浮かぶことも。言葉は慎重に選ぶべきなのかもしれません。
僕が「職場のにしかた」さんをからかう理由が主にこれです。
勿論注意書きのように相手の機嫌を害する事の無いよう、これでも考えながら言葉を選びつつからかってるのですが、目的は笑顔。
笑わせたいという感情があります。
ただ、その裏には、相手への信頼があるんですよね。
からかっても大丈夫だろう。
大丈夫だという信頼。
この人なら大丈夫
この人ならからかっても大丈夫。
そしてからかった時の反応が面白い。
この心理の上でからかう場合は、ほぼ特定の人がターゲットになります。からかいを、からかいで返されたりとお互いに十分な信頼関係が築けていればコミュニケーションの一部になりますが、一方的な信頼から行動すると、ほぼ間違いなく嫌がらせと捉えられます。
本当に大丈夫なのか一度考えてみましょう。
「職場のにしかたさん」は、からかわれた時の反応が面白いんです。
だから、皆からからかわれている。
皆、彼なら大丈夫だと認識したうえで、からかっています。
そういう意味では作中の西片君も同じですね。
どんなにからかわれても決して怒らないし、挫けない。
仕返しとしてからかい返してやろうと考えちゃう子。
しかも、リアクションが面白い。
感情をもろに表に出して、リアクションを取ってくれます。
西片君はからかいがいのある子だという事が分かります。
西片君は、愛されてる事言う事も分かります。
高木さんに。
1巻収録の第1話「消しゴム」。
こちらで読めますので、未読の方は是非。
高木さんの行為が「からかい」なのか「悪戯」なのか、実は最後の最後まで分からない構成になっています。
「からかい」と言ってもやはり良い感情ばかりが裏にあるとは言えないからです。
辞書の意味通り、悪い意味で、西片君を「おちょくってる」ように見えます。
ニヤニヤ笑いって、漫画ではあまり良い笑顔には使われませんからね。
やはり「おちょくってる」だけなのかなと。
最後までそういう風にも思わせておいて、最後のコマでひっくり返すので、最高なんです。
小学校で流行ったかもしれませんが、消しゴムに好きな子の名前を書いて、誰にも見られずに使い切ると恋が実るって迷信。
高木さんがそれを話題に出してます。
で、オチがこれ。
もうこのコマでやられたーーーですよ。
高木さんがいっきに可愛く思えた瞬間でした。
西片君を好きなのかと。
愛情の裏返しの「からかい」だったんだねと。
素晴らしい第1話。
この漫画は面白いと確信した1コマでした。
何故「からかい上手」なのか。
高木さんは何故にからかい上手なのでしょうか。
第2話の「プール」を見ても分かるように、西片君の思考を常に読んでいます。
何故なのか。
観察眼が優れているのか?
それもあるのかもですが、そうじゃない。
誰よりも西片君を見てるからなんですよ。
誰よりも西片君を理解してるから。
漫画を読み進めて行くと、高木さんは常に西片君を見てる事が分かります。
内容が2人の会話中心だからという理由だけでは無く、じっと見つめてるんですよ。
じーっと見つめられて、「やっとこっち向いた」とか言われてみて下さい。
誰だってドキドキします。
高木さんがからかい上手なのは、西片君に対してだけの筈です。
彼女が西片君を大好きだから。
だから、「からかい上手」なのでしょう。
まとめ
ラブコメとして秀逸なのは、ちょくちょく高木さんが本心を伝えてるんですよね。
でも、それすら「からかい」だと思われて(思わせて)西片君をドギマギさせる。
僕をニヤニヤさせる。
本当に読んでみて損は無いというか、ラブコメ好きなら読まなきゃ損だと思います。