はじめに
作品の存在自体は知っていましたが、原作は未読で、映画もつい1カ月ほど前までは見るつもりがありませんでした。
然しながら、映画館で予告編を見て、あまりにも作り込まれた世界観に強い興味を惹かれて、俄然見たくなったのです。
という訳で、行って来た訳ですけれど、期待以上の傑作でした。
最高!!
感想
この作品の世界観は途轍もなく独特です。
未来都市のような東京。
「白亜紀かな?」と首を傾げたくなるほど(翼竜が飛んでたような…)密林と化した群馬。
旧石器時代を思わせる千葉。
そして、荒野もかくやといったまさに「荒地」が続く埼玉。
東京と各県の県境には、それぞれ関所のようなモノが設けられ、出身県だけで酷い差別がまかり通っている世界。
「大都会」東京と「田舎」な埼玉のコントラストを強く出したかったのでしょう。
「本当に同じ日本という設定なのか」とツッコみたくなるほど、差をつけまくった世界を舞台にした物語なのです。
分かりやすい位漫画チックな世界観なので、中途半端な実写化だと見るも無残になるのですが、これがもぉ、徹底して再現されてるんですよ。
異常なほどゴテゴテとした高層ビル群で装飾された東京は、どこまでも「豪華絢爛」に。
県民の極貧さを前面に出し、ビルどころか建物すら1棟も立ってない荒れ果てた大地だけの埼玉は、どこまでも「閑古素朴」に。
背景を完璧に再現すると、俳優陣のビジュアルも瓜二つに。
特にGACKTさんの再現度がマジでヤバいw
オファーした天才誰だよってくらいに嵌ってる。
と、ここまでは漫画の実写化では最早当然と言えるのかもしれません。
最高だったのは、ふざけた世界感の中でドシリアスな演技をする俳優陣と、それを馬鹿真面目に映す演出ですよ。
二階堂さんはところどころ変顔を披露してますが、そこを除けば、とことん真面目な演技プランの元、真剣に演技されています。
別に他の漫画実写映画出演俳優達が、手を抜いてるとか、ふざけてるとか言ってる訳じゃないです。
なんていうのかな。
不条理な設定や、有り得ない世界観に対して斜に構えたり、ツッコミをいれたりするのではなくて、極々当たり前としたうえで作られてるんですよ。
監督も「ごく普通の世界観の物語」を撮ってるかのごとく、真剣に自然に俳優陣の演技をカメラに収めている。
(例えば実写「帝一の國」が僕の中では同じカテゴリ。あれも役者のシリアスな熱演が良い方向に出ていました)
故に、観客が自然とツッコめる空気を作ってるんですよね。
これギャグ漫画を実写化する上ではかなり重要だと思うの。
作中での下手なツッコミ程冷めるものは無いから。
元々ツッコミキャラ不在というのもあるのかもですが、演出でも一切ツッコミをせずに、くっそ真面目に作られているから、僕らがツッコミ役に回るしかないんですよね。
いちいち心の中でツッコミを入れながら楽しく見れました。
そんな中で、最もツボに入ったのが、中盤のクライマックスとも呼べる埼玉VS千葉の全面戦争ですよ。
川を挟んで両側に陣取る埼玉と千葉。
数で負けていると分かった千葉側は、秘密兵器の投入を命じます。
何をするのかと思いきや、でかでかと千葉県館山市出身のYOSHIKIさんの顔写真を誇示。
世界的な有名ロックバンドの登場に怯む埼玉県勢(笑
負けじと埼玉もご当地出身芸能人の顔写真を出して…。
このパートが本当にくだらないw
1人で大うけ。
「ビーチボーイズ」とか今の子知らんでしょw
とあるタレントさんを小物扱いしたりと、本当にやりたい放題でした。
徹底的にふざけても、物語としては過不足なくしっかりと纏めて来るから、ホントに油断も隙もありません。
都市伝説として語られていた物語がいつのまにか現実とリンクし、あさっての方向にオチを着けて来るところも意外性があって〇。
あ~笑える映画見れた~と満足に浸りつつ、エンディングに入るも、しかし、ここで余韻に浸らせてくれるほど優しい映画では無く。
普通エンディングテロップって余韻に浸るか、ぼ~っと早く終わることを願っているか、席を立つか。
ま、「余分な時間」ではありますよね。
僕は多くの場合、終わるまでぼ~っと眺めているのですが、この映画だけは違ってました。
ご当地ディスり芸人の第一人者であるはなわさんが、往時のヒットナンバー(持ちネタ)「佐賀県」をアレンジした「埼玉県のうた」を披露。
次々と繰り出される埼玉ディスネタの数々に、息つく暇さえ与えられずにあっという間に「魅せられて」しまいましたよ。
取り敢えず、埼玉のご当地キティちゃんの残酷さが印象的でしたw
もっとなんとかしてあげてよw
取り留めも無い、中身の無い感想に終始してしまいましたが、取り敢えずオススメ。
こういう全力でふざける映画は最高です。
BL好きにもオススメ。
GACKTさんと伊勢谷さんの超濃厚なキスシーンがありますので、BL好きの腐女子さんにもオススメです!!