この記事は
「アンデッドアンラック」の感想です。
ネタバレあります。
はじめに
リフレッシュを兼ねて有給を申請したは良いけれど、時間が余ってしまったので、今まで読んでこなかった「アンデッドアンラック」を全話読んでみました。
こういう時、電子版を定期購読してると便利ですね。
いちいちバックナンバーをDLしつつなので、ちょっと面倒でしたが、その甲斐は十分ありました。
面白いんですね、「アンデッドアンラック」。
サクサクと話が進んでいって、内容が濃ゆいわ。
色々なネタ、伏線、アイディアがギュギュっと濃縮されていて、それでいて雑にならないよう丁寧に処理されている。
人気連載が立て続けて終わってる「ジャンプ」にとって、近未来の柱の1つになるんじゃないかな。
個人的にはポスト「鬼滅」狙えると踏んでます。
それ程面白いと思っています。
今回は、全話読んで思ったことを取り留めも無く書いてみます。
好感の持てる主人公
不死のアンディ。
最初は名前が無かったので、ヒロイン風子が名付けました。
豪放磊落を絵に描いたような人物で、細かい事は気にしないタイプ。
その為女性に対してデリカシーが欠けるなど、作品が異なれば批判を集めるタイプではあるのですが、今作の世界観に於いてはそうはなってない印象があります。
むしろどちらかというと時折見せる紳士的な態度に目を奪われるかな。
主人公として、時には冷静さや知性もあって欲しいというのは、僕個人の考えではあるのですが、彼はそこもクリア。
しっかりと筋道が通ったことを言われれば反省もするし、謝罪もする。
馬鹿ではなくて、きちんと頭を使ったコミュニケーションを行えます。
バトルスタイルにもその点が反映されており、対戦相手の能力や発動条件を考察しつつ戦うというスタイルを取ります。
これは彼が死なないからこそ出来ると安易に思いがちですが、死なないだけで痛覚は生きてる為、かなりの根性が必要です。
良い意味で知性と獣性を兼ね備えたような新しいタイプの主人公像で、そこに惚れました。
彼の性格が性格だけに、最終目的である「死ぬこと」が暗く感じないのはポイント高いですね。
死ぬための物語なんていうと、どこか陰鬱さやモノ哀しさが漂いそうなものですが、そうはならず。
カラッとした陽気さを感じるような雰囲気は、暗い話が苦手な僕にとっては良かったんですよね。
能力バトル漫画にオリジナリティが!!
こう書くとかなり大袈裟な気がしないでもない。
単に僕の読書量が絶対的に足らないだけなのだろうけれど。
それにしても漸く「脱ワンピ」を完全に成し遂げた漫画に出会えた気分です。
別に能力バトル漫画の祖を「ワンピ」だと言うつもりは毛頭ないのですが、「ワンピ」のヒット以降大量に能力バトル漫画が出たのは事実。
しかしその多くが似たり寄ったりで、オリジナリティを感じませんでした。
そこいくと、今作は良く練られているなと感じたんですね。
能力自体を敵にしちゃうというのも面白いのですが、能力の使い方が斬新。
例えばアンディの不死の能力。
死ぬことのないアンディは、手足はもとより頸を落とされても死にません。
どこを斬られても、再生しちゃいます。
面白いのは、この再生能力に新しいアイディアを付与していること。
「再生能力」なんて手垢の付いたアイディアに「失った足を高速で再生することで、高速移動を可能とする」とか「指を半ばまで切っておいて、新たに再生した指の反動を使っていっきに古い指を射出する」とか。
既存のアイディアに、(少なくとも僕にとっては)新しいアイディアを付加することで、今までにない能力バトル漫画に仕立てられている。
これはやっぱりオリジナリティですよ。
考察厨を喜ばせる伏線の数々
伏線というのは、回収されて初めて伏線だと判明するものであると考えています。
だから、現段階で「伏線が多い」というのは、間違った解釈ではあるのですが、それを踏まえても「伏線と思しきもの」の数は膨大です。
1話から気を抜けません。
あまりにも謎ばかりだと、それはそれで読者が寄り付きにくい気がするのですが、今作は良い感じの「難しさ」なんですよね。
色々と想像が出来るし、一部はほぼほぼ確実と思われる解釈も可能となっている。
この辺りの塩梅が絶妙で、考察大好き人間を多く引き寄せそうです。
かくいう僕がその口。
(僕の考察なんて、当てずっぽうも良いところなんですが)
そんな僕が最も気になったのが作品全体のラスボスについて。
これ、多分確定なんじゃないのって気がしてるんですが、果たして…。
Victor
アンディの頭のカードを抜くと、ヴィクトルという人格が現れる。
どうもヴィクトルがオリジナルで、アンディは違うらしい。
アンディって何者なんだというのが大きな謎になってるのですが、このヴィクトル。
どう見てもラスボスです(笑
Victorには、「人間」という訳は無いのですが、自身を「人間」と称しているところがポイントかなと睨んでます。
理。ルール。
UMAはそれを強いることで世界に災いを招き、否定者はそれを否定することで世を正す。
ユニオンは世界を守るために、これらを管理・統制することを掲げているようですが、これまでのルールを見ると「世界を破滅させる主要因」が浮かび上がってきます。
「性別」
「言語」
「人種」
世界に加えられたルールであり、かつての世界には無かったもの。
性別があるから繁栄し、言語や人種が異なるから争いが生まれる。
「世界を破滅させる主要因」は「人間」だよね、これ。
ヴィクトル自身がUMAであり、ルールなんじゃないでしょうかね。
となると、アンディは不死のUMAってことになるのかな?
未だに「多数の理を持つ存在」が作中では現れてないので、憶測の域を出ないのですけれど、こう考えると勝手に納得出来ちゃいます。
人間自身がルールであると分かったら、ユニオンはどうするんでしょうね。
ユニオンのトップであるジュイスの判断が気になります。
挑戦権的な
もう1つ気になるのが、UMA銀河。
どう考えても2度目だよね、このUMAが足されたの。
本来2ページに跨ってるコマを無理やり1つに編集してます。
どう考えても銀河がある時代を知ってるヴィクトル。
1話の隕石も、かつて銀河があった証拠ですね。
月と太陽以外何もない宇宙から隕石が飛んでくる。
無い訳じゃないけれど、銀河があったとする方がスッキリします。
何億年もの時間をかけて、たまたまあの時間・場所に落ちて来たのでしょう。
で、ヴィクトルが「少しはマシなのがそろったようだな」と言ってるのは、UMA銀河を斃したことを褒めているのでしょう。
ヴィクトルをして銀河は強力なUMAで、それを彼が眠っている間に斃した否定者たちの存在を喜んでいるのかなと。
じゃあ、その銀河はいつ斃されたのか?
ヒントとなりそうなのが第5話。
少なくとも風子(18歳)が学校で習うほど前から銀河は無かったっぽい。
学校の教育に反映されるまでにどれほどの時間が必要なのかは不明ですが、シェンも知らないあたり20年以上昔なのはほぼ確定かな。
ただ、わざわざスクショを貼ったのは、そこではなくて。
第5話の該当ページで気にかかってるのが、ジーナのリアクション。
間が気になる。
66歳のジーナ。
彼女が若かった頃、少なくとも50年以上前は銀河があった…?
考え過ぎかな。
50歳以上のニコが銀河を知らなかったのだから、もっと前とする方が自然か。
話を戻します。
UMA銀河はめちゃんこ強いのでしょう。
宇宙人を退けたから、はい終わりって訳じゃないですもの。
超巨大な隕石が落ちてくることもあるし、未知のウイルスが宇宙から降ってくるかもだし。
ヴィクトルが認めていそうなUMA銀河を斃せて、初めてヴィクトルへの挑戦権が得られるという構造になってる気がします。
終わりに
という訳で、何も考えずに言いたいことを書いてみました。
兎に角面白かったので、これからは毎週ちゃんと追っていきます。
コミックスも買おうかな…。
ユニオン加入直前まではお腹が凹んでいた風子さん。
最初の任務のスポイル編で、早くもぽっこりお腹になってましたが、どんだけ短期間で太ったんだ(笑
でも、そんなメインヒロイン嫌いじゃない。むしろ好き。
ごはんをいっぱい食べちゃう系の女の子可愛いよね。