「ウルトラマン超闘士激伝」シリーズ完結に寄せて

はじめに

「ウルトラマン超闘士激伝」の感想(?)です。
ネタバレあります。

我が青春の1作

「ウルトラマン超闘士激伝」ってご存じですか。
1993年からバンダイがカードダスとガシャポンで展開していた玩具商品です。
SD化したウルトラマンたちが装鉄鋼(メタルブレスト)と呼ばれる鎧を身に着けて悪の怪人・宇宙人たちと戦うという物語です。
この作品を商品と同時展開で「月刊コミックボンボン」(講談社)でコミカライズ。

「ボンボン」を愛読していた僕は、一瞬で虜になりました。
鎧を纏ったウルトラマンたちが、「DRAGON BALL」のような格闘戦を繰り広げるのですから、「DB」好きの僕が嵌らない訳が無い。
当時は知らなかったのですが、原作を三条陸先生が担当。
後年のインタビューによれば三条先生に持ち込まれた企画段階で意識的に「DB」と「聖闘士星矢」をモチーフにしていたとか。

ウルトラマン超闘士激伝

ガシャポンの新弾が短いスパンでどんどん発売されていくため、それに併せていた漫画版も必然スピード感を持って描かなければなりません。
このような特殊な制約の中、大胆なカットを入れつつも、漫画としてしっかりと熱く面白いものになっていたのは、三条先生の力量の賜物だったのでしょう。

作画担当の栗原先生も迫力のある絵をバシバシ入れてくれて、毎月毎月本当に夢中になって読んでました。
どれだけ熱中していたかと言えば、小学生向けの「ボンボン」を中学生になって以降も買い続けたほど。

ただ、残念なことに打ち切られてしまったんですよね。
コミックスは2巻分を未収録のまま6巻で打ち切り。
連載も「エンペラ星人編」の途中で終了。
当時は物凄くガッカリしました。

今作は「打ち切り」の解釈が微妙なので、より詳しく知りたい人向けに補足。
原作(玩具)の「エンペラ星人編」は、「超闘士激伝」と続編の「超闘士鎧伝」に分かれた2部構成を取っていました。
漫画版では、原作「超闘士激伝」内の「エンペラ星人編」を消化した時点で終了。
「超闘士鎧伝」の内容には突入しなかったため、ボスであるエンペラ星人との決着が描かれませんでした。

コミックス未収録話数を掲載した「コミックボンボン」は、それから暫く僕の宝物になったほどです(笑

この残念な時期から数年が経ち、2009年12月。
念願叶って「復刊ドットコム」から完全版が刊行されました。
復刊の企画自体も長年滞っていて、半ば諦めてましたので、嬉しさも一入でした。

完全版は、一つの念願でもあったのですが、やはり未完で終わったままというのは心残りだったんです。
ただの一読者が抱くのは変かもしれませんが(笑

そう思っていたのは、どうやら僕だけでは無かったようで。
僕と同様にリアルタイムで「激伝」を楽しみ、打ち切りに涙した漢が2人いたようなのです!!

「超闘士激伝 新章」完結!!

秋田書店の高橋さんとバンダイの三原さん。
三条先生にコンタクトを取り、「激伝」を復活させてくれた2人の漢です。

どのような経緯で復活に至ったのかは、ネットインタビューを検索していただき。
そうして始まった「新章」は、復活したエンペラ星人との真の決着を描いたものでした。

流石に「鎧伝」の内容は漫画家されませんでしたが、「鎧伝」を知らなくても問題ないような構成にしつつ、熱いノリはそのまんまシリーズ完結編に相応しい見事な物語でした!!

メフィラスの復活(彼の死はOVAで語られるという、これまた涙を呑んだ事件でした。当時セルビデオを買えるほどお小遣いなかったんです)。
これまでのシリーズを想起させる展開。
新たなる戦士メビウスがウルトラ兄弟に加わるまでのプロセス。

そして、最大にして最強の敵・エンペラ星人とのバトル。
ウルトラ兄弟の奇跡のシーンなんて、特撮の「ウルトラマン」シリーズを見ていたファンにも胸熱の展開でしたよ!!

ウルトラマンとメフィラス、最高のライバル同士の試合というラストシーンも含めて、大満足でした。

何度も繰り返すようですけれど、奇跡の連続だったんですよ。
コミックスと連載の打ち切りの時には、こんな幸せな未来が待ってるなんて妄想すら出来ませんでした。
それが完全版の発売で一度目の奇跡が起こり、熱き漢達の想いで「新章」が始まるという奇跡で二度。

秋田書店の高橋さんとバンダイの三原さんには、感謝しきれません。
空白期間を含め、足掛け27年。
三条先生、栗原先生、お疲れさまでした。
ありがとうございました。

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