うつ病です
こんにちは。
うつ病罹患者です。
この苦しい日々から抜け出したい。
終わりの見えない暗闇に絶望している毎日。
そんな折、丸善で出会った「うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち」。
ちゃんと治る病気なのだと教えてくれてるようで、少し気持ちが軽くなりました。
うつ病の人。
そのご家族、友人なんかにも読んで頂きたい一冊です。
- 作者: 田中圭一
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2017/01/19
- メディア: 単行本
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書評
うつ病の辛さの一つに「理解されない」というのがあります。
肉体的な苦しみと精神的な苦しみの両方が症状として現れますが、精神的なモノは特に他人には理解しがたい部分です。
「誰にでもあることじゃないか」
この言葉がどれだけキツイか。
落ち込む事、自己嫌悪に陥る事、仕事に行きたくない気持ち、何もしたくない気分、身体が動かない…。
訴えても「そんなの誰だってある」の一言で一蹴されてしまう。
確かにそうだ。
僕だってそう思う。
誰にだってある。
だから、これは特別な事じゃない。
病気なんかじゃない。
自分でも自分のことが分からないんです。
本当にうつ病という病気なのだろうか。
ただの甘えとは違うのか。
漫画で語られる今作では、その役割を「うつとの無縁のアシスタント カネコ」君に演じさせているのが大きかったです。
いちいち彼がうつ体験者の言葉を否定するんですよ。
「誰にでもあることじゃないか」
と。
それを頭ごなしに違うよと再否定するのではなく、分かり易く体験に基づく確かな結果で否定している。
作者の田中先生の体験談の一幕です。
田中「オレってなにもできないダメ人間じゃん 会社のお荷物だよオレって…」
カネコ「自己嫌悪なんて誰にでもあることじゃないですか」
カネコ「そんなささいなことで10年も『うつトンネル』をさまようなんて…」
似たような事を友人から言われた時は、本当に頭に来ました。
貴様に何が分かるんだ…と。
罵倒したくなる気持ちをグッと堪えて、平静を装うのが辛かった。
作中でも出て来たのですが、心が弱っている時は、マイナス思考に陥りがちになります。
熱風邪でうなされている時に、人は誰だって弱気になる。
あれの強くて長いバージョンだと思って下さい。
人の言葉を悪く悪く捉え、自己否定に入る。
しかし、視点を180度変えてみると、相手が慮ってくれた言葉だと分かることもある。
この時は、彼自身が「心配だから言ってるんだから」と言ってくれたので、抑えられたのですが、そうじゃなかったら…。
話を戻しますと、言いたい事を好き放題言いやがるカネコを体験談で黙らせてくれる。
ただ単に体験談が載ってるだけでは、説得力がありませんでした。
僕自身が「カネコ」になるから。
でも、作中でカネコ君が、いちいち突っかかっていく。
それに対して、「いや、そうじゃないよ」と体験談を交えて「ひとつの脱出の仕方」として提案してくれる。
だから、説得力がありました。
加えて、暗くなり過ぎない筆致、画風が読み易さをプラスしています。
暗い話題でなるべくなら遠ざけたい部類の漫画ではありますが、お陰でスラスラと読めました。
自己否定はいけないのか
僕は僕が嫌いです。
容姿もそうだし、性格もそうだし。
生きていて申し訳ないと思い、日々、ギリギリの線で踏み止まりながら生きています。
元々ネガティブなのですよ。
うつはそんな気持ちを肥大化させます。
だから、ちょっとした言葉で傷つく。
ブログで書いた事を否定されるだけで、誰よりも落ち込む。
時給を他人と比較して、自分の方が低いことを知ると「会社に必要とされて無い」と落ち込む。
(故に、時給の話題が出るだけで気分が滅入る)
落ち込むたびに、自分は必要とされていない。
不要な存在だ。
消えてなくなりたい。
そう思う。
先日は、具体的な自殺の方法を考えてみました。
なるべくなら家族や他人に迷惑を掛けないようにという冷静な視点で、色々と考察。
電車に飛び込むと、莫大な賠償金を払わないといけなくなって、家族に迷惑が掛かるからダメ。
ビルから飛び降りると、万が一下敷きになってしまう人がいるかもしれないのでダメ。
家の中で死ねば、事故物件となり、やはり家族に迷惑が掛かる。
故に川に飛び込むのがベストだな…と。
こういう時は「死ぬ事が家族にとって最大の迷惑」という思考には至りません。
自分を好きになる事。
「健康的なナルシシズムを取り戻すか」が要点だと書いてあって、そうなのか…と。
大きな間違いを今までしていたんだと、自分が嫌になりました←
人間は本質的に
・自分が好き
・肯定されたい
・必要とされたい
これに抗うと心が弱る
というのを読んで、妙に納得してしまいました。
うん。
肯定されたいからブログやってるものだしね。
(肯定「だけ」されたいのならば、ブログこそやってはいけないんだけれど)
終わりに
改めて感じたのは、僕は本書で紹介されている方々ほど酷い病状では無いようです。
軽いレベルなのでしょう。
けれど、辛い時って本当に辛い。
筆舌に尽くし難い辛さがあります。
もう一生、この辛さは続くのだろうか…。
そんな絶望感が少し晴れた気がします。
この本を切欠にして、トンネルを抜け出たいものです。