「杖と剣のウィストリア」第1巻感想 悪い意味で期待を裏切られた2つの理由

この記事は

「杖と剣のウィストリア」第1巻の感想です。
ネタバレあります。

はじめに

「ダンまち」の大森先生が「別冊少年マガジン」で漫画の原作を執筆!!
個人的に注目していた新作の第1巻を購入してきました。
早速感想と行きます。
正直、ちょっと続刊購入に意欲が湧かない。

ダンジョンの意味が見えない

小説と漫画の違いをしっかりと意識づけされたような構成でした。
漫画というのは、どうしてもナレーションや説明台詞を可能な限り削ぎ落す傾向が強い媒体です。
これはアニメにも通じると思うのですが、ヴィジュアルがある以上は、絵で説明できるところは絵でやれってことですね。
読者側も文字ばかりの画面を見せられると、やはり読むのを躊躇してしまいます。

これは文章オンリーの小説と明確に異なる点ですね。
世界観や設定の説明に紙幅を割きやすい小説とそうではない漫画。
この違いを意識して、きっちりと線引きしている印象を持ちました。

1話はそれで良いと思うのですね。
恐らく作中で最も大事な設定説明だけに絞っていらしたので。
「天から人類にとっての脅威が降ってきて、それを防ぐために5人の選ばれし魔導士が結界を張り、侵略者から人類を守り続けている」
これだけ把握出来れば良しという事なのでしょう。

でもね、1巻を読み終わっても謎だらけなのは如何なものか。
特に天からの脅威と同じくらい大事だと思われるダンジョンについての説明が圧倒的に足りませんでした。
故に、あまり世界観についての理解が進まなかったのは大きな欠点だと思いました。

1話で魔法の使えない主人公が、塔を昇るためにダンジョンが必要だということは分かるようになっています。
ダンジョンに潜り、そこに生息する数々のモンスターを屠ることで「単位」を稼ぐ。
強いモンスター程得られる単位が大きいというのも分かる。

けど、それだけ。
1巻を読み終わっても、結局ダンジョンの位置づけが全く分からないんです。

この物語は、ダンジョンを攻略することでも、そこに棲むモンスターを狩るものではないと思われます。
あくまでダンジョンは、主人公が塔を昇るための「通過点」に過ぎず、恐らく塔を昇ることすら物語の「通過点」に過ぎません。
天からの脅威の再来を退け、真なる平和と本物の空を取り戻すための物語と見受けられます。

ダンジョンなんてどうでも良いんじゃないかというくらい、物語の本質に絡みそうもないのに、「ダンジョンファンタジー」を銘打ってしまっている。

「全てはダンジョンから生まれる」
「全ては繋がっている」
このあたりの説明から、天からの脅威はダンジョンが出発点となり、最終的な目標もダンジョンの制覇となるのかもしれませんが、何の根拠もない推論。
それじゃダメなんじゃないかな。
いくらなんでも説明不足。
大事な要素であるならばなおの事、ダンジョンの示す役割・立ち位置をもう少し明確にして欲しかった。

“強すぎる”から主人公に魅力があまりない。

キャラもまだまだ弱いかなと。
どうしてもベルくんと比較しちゃうけれど、初期から結構強いウィル(今作主人公)には感情移入しにくい。
憧れとか好きという動機こそ同じなのだけれど、あまりにも強すぎて「魔法が使えない」という最大の劣等要素がイマイチ響いてこないんですよ。
あっさりと上へ推薦されちゃってたりもしますし、魔法使えなくても全然戦力足り得ちゃうんじゃないのって思っちゃう。

もっとしっかりと「魔法が使えない事のハンデ」を色濃くしてくれないと、彼を応援出来ないというか。
劣勢からの逆転劇と言う燃える要素に燃えられない気がしますね。

終わりに

絵は迫力があり、見やすいのだけれど、発展途上かな。
こちらに関しては、成長が楽しみではあります。

問題は、シナリオの方。
大森先生のホンにしては、世界観の設定に深みが無いというか。
大事な要素がすっぽりと抜けている。
勿論これに関しては、2巻以降でしっかりと説明が入ってくる可能性が高いんですけれどね。
とはいえ、1巻の中である程度説明した上で、大きな引きを作って欲しかったところ。
構成ミスに思えました。

2巻はどうしよう。
少し様子見でしょうかね。

最新情報をチェックしよう!