この記事は
「魔女に捧げるトリック」第1巻の感想です。
ネタバレあります。
トリックという単語に弱い
「週刊少年マガジン」と言えば、日本で初めて本格ミステリ漫画「金田一少年の事件簿」を立ち上げた雑誌。
以降も数多くのミステリ漫画を輩出してきました。
だからこそ、この雑誌の「トリック」という単語には一定の信頼感があります。
結論から言えば、想像していた殺人トリックでは無くて、あくまでもマジックのトリック。
ミステリでは無かったのですけれど…。
第1話を公式サイトで立ち読みしてから、数か月。
これは面白くなるだろうと確信を持っていたのですが、とんでもなかった。
僕の読みは甘すぎました。
想像の1万倍は面白かった。
感想です。
カッコ悪い主人公
僕は結構主人公の格好良さを重視しちゃうタイプです。
この主人公、格好いいなぁと思えないと、作品をいまいち好きになれないんです。
その点において、今作の主人公・針井マキトの第一印象は芳しくありませんでした。
先ずは、髪形を見て欲しいです。
左上の少年が、主人公マキトです。
当時6歳のお子様。
ちょこんとツノを生やしたような髪形をしています。
11年後のマキトがこちら。
ツノは立派に成長しています。
恐らくこのまま成長すると、やがてこうなるんでしょう。
単純にダサいのです。
カッコ悪いです。
勿論作劇上意味のある髪形なので、真っ向から否定は出来ないのですけれど、「格好悪いなぁ」と素直に感じてしまった一因。
もう1つ。
泣き顔が不細工。
もう単純に悪口大会になってきてる感がありますが、情緒不安定なマキトはすぐに泣きます。
メンタルが弱い点は、これまた作劇上必要な事であったので否定はしませんけれど、泣いてる時の顔が不細工すぎて( ̄▽ ̄;)
1話でのマキトへの好感度は決して高くありませんでした。
それがどうよ。
回を重ねる度に、どんどん格好良くなっていくんだもの。
最高かよ。
第2話は単純に1つのお話として、起承転結がしっかりしてあって面白かったのです。
そういった構成上の良さもあるのですが、マキト自身の好感度もグッと跳ね上がった回でもありました。
武力も財力も権力も無い。
中世に放り出されて裸一貫同然で始まった新たな人生。
彼にあるのは、母から授けられたマジックの腕と知力だけ。
弱冠17歳の少年が生きていくには過酷で劣悪な環境でも、彼は見事にゴロツキを返り討ちにあわせます。
その手並みが実に鮮やかなんですよね。
なんといっても、頭の回転が速い。
瞬時に相手のトリックを見破り、利用した上で逆転までのシナリオを書き上げ、実践する。
随所に伏線を張りつつの大逆転劇は、非常に見事。
現代で大人気のマジシャンだったという設定に説得力がありましたよね。
観客を欺き、掌の上で踊らせる。
これを事前の練習無しで、一発本番で成功させられる腕前なのだと2話で描かれたのだから。
ただの泣き虫マジシャンでは無いんだなと見直したのです。
そして第4話ですよ。
なんだかんだ最愛の母が愛したマジックに愛想を尽かすことは無いのでしょう。
誰よりもマジックを愛するが故に、「殺人の手段」に使われて頭に来たのでしょうね。
激昂するマキトの顔は、完全に少年漫画の主人公でした。
流れるように語られる野望も壮大で、ワクワクさせられるじゃないですか。
無実の魔女を集め、魔女狩りを断行する協会に「本物の魔女は実在する」というブラフを信じ込ませる。
そうして、教会を産業革命までの1世紀半ビビらせ続けることで、魔女狩りに終止符を打つ!!!
「魔女革命」の宣言。
現実に無かった歴史を作るべく1人のマジシャンが立ち上がったのですよ。
本当に1話の頃とは別人のように格好良くなりました。
僕は結構主人公の格好良さを重視しちゃうタイプです。
この主人公、格好いいなぁと思えないと、作品をいまいち好きになれないんです。
第1巻を読み終わって掌返し。
実に格好良い。
期待値を大きく、大きく上回る最高のロケットスタートでした。
終わりに
週マガ熱いなぁ。
次々に好きな作品が出てくる。
まだ火曜日で、週末まで長く憂鬱な中。
気持ちを晴れ晴れとさせてくれる、最高の読書体験でした。