この記事は
「WORKING!!」最終巻の記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。
はじめに
「WORKING!!」が遂に最終巻。
10年間読んできた作品が終わっちゃいました。
WORKING! ! (13)完 (ヤングガンガンコミックス)
- 作者: 高津カリノ
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2014/12/25
- メディア: コミック
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至高のクライマックス
高津先生のキャラ作りって、凄いと思うのです。
流行を追ってないし、王道とも違う。
記号化できてしまう程系統化されているキャラのどれにも当て嵌まらない、一癖も二癖もある見たことも聞いた事も無い性格を作ってくる。
小鳥遊君なんて、その最たる例であります。
小っちゃいものが病的に大好きで、それ以外にはあからさまな嫌悪感を出しちゃう。
ミニマムコンプレックスという特徴は、「良く見かける」というには余りにも特殊な性格設定です。
ギャグ漫画に於いて変態的なキャラ付をすることは良くあり、小鳥遊君の性格(というか性癖)も大元を辿れば同じような理由で作られたのでしょう。
けれど、高津先生の真骨頂は、これを単なる「ギャグに活かす為だけの性格付け」で終わらせない点ですね。
「何故ミニマムコンプレックスになってしまったのか」というバックボーンを与えて、妙な説得力を付加しているんです。
で、そのバックボーンのドラマが新たなギャグにもなり、更には恋愛ドラマにも大きく噛んでくる。
ミニコンの原因になった「姉」を彷彿とさせる「暴力を振るう年上の女性」であるまひるとの恋愛模様は、多くの笑いと「本当に彼らは恋愛関係になれるのだろうか」という恋愛ドラマへの興味を提供して下さいました。
これまでのなんやかんやで、まひるに惚れ込んだ小鳥遊君。
しかし素直になれない小鳥遊君は、簡単にはその事実を受け止めようとしない。
そんな状況のまま始まった最終巻では、小鳥遊母によって「小鳥遊家VSまひる」という構図が作られていましたけれど、本当にもう。
なんて上手いんだと。
町中で四姉妹が次々と現れては戦わないといけないなんて、どこのRPGかとツッコミたくなるところではあります。
そりゃ恥ずかしいでしょうね。
リアルでRPGの真似事をやらされてるんですからw
完全に「勇者まひると魔王直下の四姉妹(中ボス)」ですし。
読者としては、笑うしかないシチュエーションなんですが、真面目にこの構図を捉えると、納得するしかないんです。
小鳥遊のミニコン克服としては、これ以上無いドラマでした。
この戦いで描きたかった事は、なずな戦に全て現れていたのかなと。
まひるが、文字通り武力で四姉妹を破ってしまうと、小鳥遊君のミニコンは克服どころか一層酷くなってもおかしくはありません。
折角好きになった「小さくも年下でも無い女性」が、やっぱり「暴力的な年上の女性」だったんだと再認識してしまいかねませんから。
いくら自分を助けに来たとはいえ、これではダメですよね。
「まひるは、今まで小鳥遊君が出会って来た年上の女性(小鳥遊家の女達)とは違う」と示さないとならない。
だから、梢までの3人には武力での解決は一切ありませんでした。
その上で、なずな戦で一番大切な事が語られておりました。
「小鳥遊君を助けたいけれど、だからと言って殴ったりなんて出来ない」。
なずなに見せたこのまひるの優しさが、小鳥遊君のミニコンを癒したと端的に示されていましたね。
小鳥遊君が直接四姉妹とのいなみの戦いを見ていた訳ではありませんけれど、読者目線で見ればこれ以上無いクライマックスと言えるんじゃないでしょうか。
極度のミニコンを抱えた少年と極度の男性恐怖症を抱えた少女。
最悪な出会い方をし、お互いにトラウマを刺激してしまう関係の2人は、これ以上無いってほど水と油でした。
いくらなんでも恋愛関係には発展しないのではと思っておりましたよ。
時間を掛けて次第に打ち解けていく様子を見てきた末のクライマックス。
今作らしい笑いに溢れたシチュエーションを作りつつも、トラウマ克服のドラマが詰まった展開。
もうね、大満足です。
もっとワグナリアでの彼らの様子を眺めていたいけれど、一方で「読み切った〜!!」という充足感で満たされています。
これ以上無いクライマックスを見せられ、素晴らしいハッピーエンドで締めくくってくれたから。
それに寂しくはありません。
ワグナリアは僕の心に移転してきましたからね( ̄ー+ ̄)
ワグナリアは僕の心に移転してきました(大事な事なので2度いいm
この漫画を好きになって良かった!!
アニメ最終3期も全力で楽しんでいきたいものです。