この記事は
「WORKING!!」感想・考察記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。
11巻読みました
作品として大きな山場を迎えて来たって感じですね。
にしても本当にこの4コマ漫画はストーリー性が高い。
なんなのこのヒキ。ここ数巻、見事なまでにヒキが強い。
4コマ漫画で、かつてこれ程までにストーリーへの興味関心という意味で続きを読みたいと強く想った事があっただろうか。
いや、少なくとも僕には無いです。
この漫画が最初ですね。
1巻ごとの構成も考慮しながら作られているんでしょうね〜。凄い。
さてさて。
11巻、読み終わった最初の印象はやはり「纏めに入っているな」という感じですね。
web漫画で高津先生…敢えてここは「がはこ先生」と書きますが…。
がはこ先生の漫画を体験されている方なら納得頂けると思うのですが、きちんと纏める作家さんなんですよね。
“纏める”というのは、キャラの関係性に関してですね。
決して「なあなあ」で終わらせない。
ラブコメってる以上、各々の恋愛問題にはきっちりとした結末を用意してくるんですよ。
猫組WORKING!!の恋愛事情
がはこ先生の個人サイト「うろんなページ」で連載されていた「WORKING!!」(猫組)。
ヤンガン版の犬組同様、ファミレスラブコメですね。
さて、この漫画では、実に3組ものカップルが生まれました。
ネタバレを避ける為、詳しい説明は避けますけれど、結ばれるカップルはきちんと結ばれ、失恋する子はちゃんと失恋して…。
それぞれのキャラに用意されたドラマを完結させている訳です。
正直言うと、ちょっと驚きました。
特に主人公コンビ(東田・宮越)ですね。
当初2人が付き合いだした時に感じた事ですけれど、どうも釈然としなかった。
作中の2人も、最初は互いに本気では無かったのは間違いなかったし、僕自身「付き合い始めたのは冗談か何か」だと思っていました。
あまりにも唐突だったし、およそ恋愛感情なんて互いに持ち合わせていない様に感じたからです。
でも、それから連載は続き、2人の仲は次第にいつのまにか深まっていて。
最終的には本当のカップルになってしまっていた。
何が言いたいかというと、堂々巡りの「サザエさん方式」的世界観に於ける「変わらない人間関係」を描いているように見えて、実の所しっかりと物語が推し進められているという事ですね。
“ストーリー性が高い”という感想を持つぐらいだから当然と言えば当然の事ですけれど、どうも作中の時の流れがループしているように感じて、なかなか気づきにくいというか。
まあ、だからというか…。
この犬組でも、きちんとしたカップリングは成立するし、物語として終わりが必ずあるという事。
そして、それは意外ともうすぐなんだろうなという事ですね。
犬組WORKING!!の恋愛事情
となると、犬組のカップリングはどうなるか。
今回、4つの”結末”が描かれていました。
1つは、山田と相馬。
この組は「カップリング」とはいっても、恋慕の情は無いかな。
でも、互いに想い合っているという意味では「カップル」と呼んで差支えないと思う。
これまで問題となっていた山田の家族事情にも、ようやく決着が着き、晴れて家族ごっこは終わった訳です。
ですが、相馬だけは山田の”お兄ちゃん”のまま関係が続いてしまった。
これは、山田(葵)が、相馬を好き(この「好き」は恋愛では無いんだと思う)だからというのと、実兄である山田兄を心底嫌っているからという事情からですが…。
何にせよ、この2人の関係はこれが終着点なのでしょう。
山田の問題が解決したからこそ、2人の関係にも終わりが訪れたと解釈します。
ちょっと不思議な「兄」と「妹」の関係として、山田と相馬のカップルが生まれました。
2組目は、これは驚いたのですが、音尾夫妻。
ず〜っと迷子になっていた春菜が、無事に音尾さんと合流できました。
いや、これは驚きましたよ。
この2人は、なんだかんだと最終回近辺まで引っ張ると思っていたから。
この先、また春菜が迷子になって、振出しに戻る事も考えられるのですが、恐らくこれは無い。
山田が居るから。
やはり山田の問題解決が大きく作用していて。
山田にはどういう訳か春菜を探し出す才能があるようです。
それはさり気なく描かれていましたし、これは明言こそありませんでしたが、恐らく確実な「春菜探知機」として作用するのでしょう。
つまりは、山田が店に居る限り春菜が迷子になる事も無いし、山田が店に居続けることは確定した訳で。
この2人の関係も、ここに終局を見たと言えそうです。
3組目。梢と真柴兄妹。
これも意外っちゃ意外。さらっと落としてきたから。
なんだかんだと梢と陽平が付き合う事になるんかな〜とは想像してたのですが、そうはならない様で。
美月巻き込んで「(飲み)仲間」という感じで、落としどころが用意されたのでしょうか。
とはいえ、此処に関しては、まだまだ進展の余地はあるかな。
でも、この先大きくフューチャーされる事は無さげ。
梢の物語も、ここで一先ずの決着を見たと解釈します。
そうそう。美月に関しても八千代への思いに一定のケリが着いていたのは何気に大きかったです。
これで佐藤君の恋の障害が一つ取り除かれたので。
で、最後は一枝と峰岸。
復縁するとは〜。
まあ、これは良かったと思いますよ。
峰岸ってド変態だけれど、悪い人間では無いですしね。
離婚原因も修復が出来ないとか、復縁すべきでは無いと思うような事では無かったし。
当人同士(というか一枝が)よりを戻しても良いと想えたなら、それが最善でしたので。
そんな訳で、この巻だけで急速に人間関係に決着が着いていきました。
残りは、2組だけなんですよね。
佐藤・八千代組と…そして、宗太・まひる組。
種島ぽぷら。
こうなってくると、一人取り残されちゃうのが、ぽぷらです。
まるでメインヒロインかの如く初登場を果たしたと思っていたら、最初からラブコメからは蚊帳の外。
唯一誰とも接点がありません。
猫組でいう所の柳葉ミリと同じ立場だったりします。
上に名前の出て来ない店長も、佐藤・八千代組との関係があるのに、ぽぷらだけは無い。
これはあんまりにも寂しいというか、彼女にとっては死活問題。
なんといってもこの漫画はラブコメなのだから。
ラブコメ漫画でラブコメに関われないキャラは、出番が与えられないのは必然。
ぽぷらは、下手するとドンドンと出番が減っていくわけです。
事実展開が思いっきりラブコメると、ぽぷらは画面から消えます。
ただでさえ小さく、コマの下の方で矢印出されたり、手やポニーテールの一部しか見えなかったりしてるのに。
でも、大丈夫なのですよね。
ぽぷらは、消えたりしない。
だって、彼女は作品のマスコットなのだから。
高津先生公認の…というか、大きく「マスコット」と宣伝されているのは何故なのか?
ぽぷらに出番を与える為なのですよ。
彼女が小さくて愛らしいのもきっと最初からマスコットとして設定されたから。
また、物語のメインとなる2組(宗太・まひる組と佐藤・八千代組)にとって、彼女は「幸運をもたらす存在」だったりします。
ぽぷらが居たから、宗太とまひるは出会ったし、彼女が居るから佐藤君は何とか耐えていられる(ストレス発散の相手として接する事で)w
マスコットというのは「人々に幸運をもたらす存在」と定義されているようなので、ぽぷらはピッタリだったりします。
そんなマスコットは、皆に平等に愛されないといけないし、皆を平等に愛さないといけない。
特定の異性とくっつかないのは、必然なのです。
ぽぷらは、きちんとマスコットとしての役目を果たし、だからこそ、居なくてはならない存在なのですね。
まとめ
あとがきにて高津先生曰く「次の巻が最終巻って事は無い」と仰っています。
けれど、多分この先2,3巻ほどで最終巻を迎えるのではないかと思っております。
高津先生は結構潔い作家さんですしね。
web漫画は、商業連載と違ってやろうと思えば半永久的に続けられるものなんですよね。
それをせず、キチッと話を纏めて終わらせている。
だからこそ、無駄に引き延ばす事は無いと思っているんです。何となく。
カップリングも残り2組ですし、この2組の物語が終わったら、少しの後日談的なものをやって作品自体を終わらせる。
そうなる気が致します。
とはいえ、それはまだまだ先かな。
年月にして2,3年は要しそうですしねw
取り敢えず、次巻が気になります。
次は、もう少し間隔を縮めて出して欲しいものです。
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