はじめに
百合漫画って、そういえば興味はあっても読んだことありませんでした。
強いて挙げれば「ゆるゆり」だけかな。
だから、百合漫画読んで見たくて。
表紙の印象が良くて、気になっていた本作をようやく手に取りました。
…百合……漫画…???
僕の第一印象
第1巻の帯にはこうあります。
「わたしを好きな、わたしの先輩。」
1巻の書影を参照して頂くと、左が先輩の七海燈子さん。
右が主人公で本編でも語り部となっている小糸侑さん。
侑(女子)を好きな燈子(女子)。
うん。
立派に百合です。
侑もそれを受け入れて、百合百合する漫画だと、そう想像していたのです。
一筋縄ではいかない恋愛
と、帯裏に書いてあるじゃんという話。
いや、これは凄い関係を構築されたなと、実際に読んでみて驚きました。
侑も燈子も同性のみを恋愛対象としているって訳じゃあない。
むしろ所謂ノンケと呼んで差し支えないように見える。
但し、共に恋愛に関して人とは違う考え方をしています。
燈子は、同性から見ても「格好良い先輩」。
男子受けも良く、故に数多の男女から告白を受けるも全てNO。
誰に告白されても付き合うつもりは無いと返事するクールな女性。
何故って?
興味が無いと断ずる彼女が恋するとは想像出来ません。
侑に至っては、「好き」ってどういうことか分からない。
告白されて、彼の事は好きだけれど、改めて「恋」の渦中にあっても心が浮足立たない。
ドキドキしない。特別にならない。
そういう友達にも打ち明け辛い悩みを抱えている少女。
そんな2人がひょんなことから出会い、侑が悩みを燈子に打ち明けて…
↓こうなる。
この人が何を言ってるのか僕も分からない
え?
なぜ?
どうして?
人が人を好きになるのに理由は無いかもしれない。
けれど、あまりにも唐突な告白。
何故、燈子は侑を好きになったのか…。
1巻には第5話「わたしを好きな人」まで収録されており、その謎はこの5話で明かされます。
更に5話に張られた伏線は、2巻で回収されます。
そうしてようやく、この複雑な恋模様の全容が見えるという仕掛け。
これは凄い恋愛模様ですよ。
人が人を好きになって、くっついたら、はい終わり…という単純な話じゃありませんから。
単純に美少女同士が百合百合してる様をニヤニヤする漫画だと思ってたので、大いに驚かされました。
以下、もう少しだけ、ネタバレに踏み込んで書いていきます。
EPISODE TENが凄まじい
まさしく「好き」に縛られてしまった侑がこの先どういう答えを出すのか。
非常に気になる展開ですね。
侑が「好き」という特別な感情を持ちたい、知りたいという願望は、彼女が自分と同じだと思っていた先輩の「裏切り」による「嫉妬」の深さに見て取れます。
燈子の過去を知り、彼女の演じる「劇」に幕を降ろしたい。
素の先輩を好きになりたい。
そう思っても、燈子の事を「知ったからこそ」好きになれないと気付いて、「わたしは絶対に先輩の事を好きにならない」と告白。
燈子は、侑のその優しさに気づいて、その上で、好きにならないでくれと願う。
「わたしは貴方を好きだから、貴方はそのままでいてね。わたしを好きにならないでね」と。
燈子の心理描写に無理が無く自然と描けているからこその「縛り」ですよね。
好きだけど、好きにならないでというこのもどかしい感じ。
侑と燈子の関係が本当に絶妙で、切なく・もどかしい恋愛劇を演出してくれています。
これはもう3巻購入待ったなしです。