この記事は
「よつばと!」第13巻の記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。
はじめに
13巻出たぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!
2年9か月振りってことに驚きました。
正直もう13巻は出ないんじゃないかと思ってた時期がありました。
未完のままフェードアウト。12巻で終わりなのかなと。
そうなんなくて本当に良かった。
とても素晴らしい1冊でありました。
「物語の連続性」を体感
1巻通してのよつばのあれやこれを追えるという意味で、途轍もなく充足感がありました。
83話のハクセキレイの件が88話で拾われている。
84話でパンを作れることを知って、89話で作ってみる。
85話のおばけの「正体」も88話で分かる。
伏線と呼ぶ様な事ではないけれど、ばーちゃんが遊びに来た3日間を中心に綺麗に構成されていたなと。
細かいイベントの点と点が結ばれて線になって見える快感…というと大袈裟かな。
なんていうのかな。
改めて「物語の連続性」を体感できたというか。
コメディとかギャグ漫画などで良く見られる「物語の不連続性」。
とある1話に起こった出来事が後続のエピソードに受け継がれない事ってよくあります。
例えば、キャラの誰かが骨折などの重傷を負っても、次の話では何の説明も無く治ってるとか。
ギャグの描写として扱われ、骨折というすぐに治癒しない出来事であろうと無かった事にして引き継がせないんです。
「よつばと!」はそうじゃなくて、これまでの全てがきっちりと引き継がれていっている。
ゆっくりだけれど、確実に「成長」してるよつばの姿が追えるような作りになっています。
それをこの13巻では、たった1冊の中で如実に描かれていたなと。
上で挙げた些細な事もその一部。
ちゃんとよつばが体験した事が引き継がれていってるという証ですね。
88話のこことかね。
12巻までの出来事もちゃんと覚えていますよというアピール。
実に愛おしいです。
よつばも大きくなってるんだなと涙が出ますね。
こういった点含めて、ちょっと個人的に特筆した点を2つ挙げてみます。
「ばーちゃんはものをくれるからすき!!」
本当によく懐いてましたね。
ばーちゃん大好きオーラが爛々と出てました。
もうばーちゃんとの日々全てが良かったんですが、分かり易く感動したのが、よつばの気持ちが出てたシーン。
来た時は、ばーちゃんが来る事そのものよりかは「ばーちゃんの持ってくるであろうお土産」にワクワクしてた嫌いのあったよつば。
「ばーちゃんはものをくれるからすき!!」とズバリと言って、ばーちゃんに精神的ダメージを与えてましたw
このよつばの気持ちは痛い程理解出来ます。
自分も幼少時祖母や叔母について「物やお小遣いをくれるから好き」なのか「単純に好き」なのか分からなくなる時もありました。
前者の気持ちを自覚することも多々あり、子供ながらに「本当にそうなら最低だな…」と落ち込んだり。
悪びれもせずに素直に口にしちゃうよつばはスゲェヤツだなと(笑
でも、よつばはちゃんとばーちゃん大好きだと言える子。
このズバッと言っちゃった一言があったからこそ、いざばーちゃんが帰ってしまうことを受け入れた際の「おみやげなんかなくてもいい」の台詞が効きました。
「モノなんかくれなくても、ばーちゃんが好きなんだ」という純粋な気持ちが描き出されていたなと。
よつばのこういう健気なアピールっぷりを見れるのは、ばーちゃんの「力」でしょう。
やっぱりね、初めての「女親」との日々だからか新鮮でしたね。
よつばの「普段と同じだけれどちょっと違う一面」が見れました。
綾瀬家の母ちゃんとはちょっと感じが違くて、やはりそこは「身内」だからかな。
より強く「好き」という気持ちが伝わってくるんですよね。
その気持ちが、よつばの新たな一面を魅せてくれてるというか。
ばーちゃんが居たからこそ、引き出してくれた一面。そういう意味での「力」。
掃き掃除
2つ目は、掃き掃除シーンですね。
87話で掃除の仕事を拝命したよつばが、88話でもやっていて、ばーちゃんの帰ってしまった後の90話でもしっかりとやっているところとか素晴らしい。
仕事を教わって、ばーちゃんと一緒にやって、ばーちゃん帰ってからは1人でもやっている。
まだ箒だけで塵取りを持ってないところを見るに、掃いただけで捨ててないのではという疑念もありますし、ならばまだまだ充分とは言えないのですが、それでもしっかりと成長を見せてくれている。
もう1つ、個人的な解釈ではありますが、掃き掃除に関する好きな描写があります。
89話でばーちゃんが帰ってしまったシーン。
タクシーを見送ったよつばの後ろ姿を描くのに1ページ3コマ使っている。
更に2ページ3コマを使って、家に残念そうに入るまでのよつばが描かれています。
最初の1ページでは、隣の綾瀬家の家の前が背景に映っているんです。
他の話でもそうでしたが、綾瀬家の前には落ち葉が落ちています。
このコマでもそうなってます。
次のページになると、よつばを右斜め前方上から捕えた視点になっています。
小岩井家の前の路上が映り込むんです。
排水溝の位置的に、小岩井家の前と分かります。
次のコマ。
家に戻ろうと歩き出した瞬間のよつば。
カメラはよつばを右後方から映していて、小岩井家と綾瀬家の境の部分が見えています。
落ち葉の落ちている箇所が綺麗に分かれてるんですよね。
やはり小岩井家側には全く無くて、綾瀬家側には落ちている。
最後のページ。
大ゴマで門扉を開けているよつばを描いていて、きれーな家前の様子がしっかりと分かるアングルです。
さっきまでばーちゃんがちゃんと居たんだな〜となんだかしみじみしました。
よつばの抱える寂しさがしっかりと伝わってくる良いシーンだな〜って。
ここがマイベストシーンだったかな。
おわりに
エピソード間の1コマであさぎがよつばから貰った「ただの枝(つまりゴミ)」をインテリアとして活用してて、「なんて良い人なんだ」とちょい感動(笑
普通捨てちゃうでしょ。いくらなんでも。
すごく何気なく描かれた幕間のカットでしたけど、凄くほっこり。
13巻はシリーズ通してもほっこりと出来た巻でしたので、そういう気持ちを高めてくれるという意味でも良いカット。
ほっこり具合で言えば、風香がレジ袋を猫と勘違いして「にゃーにゃー」言ってるシーンも外せませんしね!!
うん。隅から隅までほっこり出来た1冊でした。
- 作者: あずまきよひこ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2015/11/27
- メディア: コミック
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