キャラ作りのお手本のような作品
だと思っています。
だから、本当に面白い。
漫画(アニメ)の面白さを構成する要素って色々ありますけれど、キャラクターの面白さが重要なんだと本当に想わせてくれる作品ですね。
まず設定が面白いです。
主と従者という二人一組の関係を、説得力ある理由と共に採用して、まずキャラクターの性格を2つに分けているんですよね。
簡潔に記すと、「ツッコミ」と「ボケ」ですね。
だから、主従2人の会話が常に漫才のようになる。
また、青鬼院蜻蛉が分けていたように、「S」と「M」の2つにも分けられますよね。
これらを一覧にしますと、以下のようになるのかな。
主 | 従者 |
---|---|
反ノ塚連勝(M?)<ツッコミ> | 雪小路野ばら(S)<ボケ> |
青鬼院蜻蛉(S)<ツッコミ> | 髏々宮カルタ(S)<ボケ> |
渡狸卍里(M)<ボケ> | 夏目残夏(S)<ツッコミ> |
ボケ・ツッコミはあくまで僕の主観です。
SM表記は、作中(第5話)での青鬼院蜻蛉から採っています。
唯一反ノ塚だけ言及されていなかったのですが、担当声優の細谷佳正さんがMとされていたので、こうしました(笑
まぁ、描写的にもSよりかはMっぽいので、多分これでOKだと思うです。
これによると、ちゃんと各組とも2つの属性に分けられているんですよね。
カルタのコンビだけ2人ともSで被っているのですが、青鬼院蜻蛉に放浪癖という性格を持たせて基本不在扱いにする事でこの問題も回避しています。
兎も角基本となる性質を与えて、その上でキャラ毎に細かい差を付けているんですよね。
基本がしっかりしているから、キャラも立つし、キャラ同士の会話が非常に面白い。
キャラクターって大事だなと思わせてくれる所以です。
さてさて、では本題。
上ではわざと主人公コンビを外していましたので、ここからは凜々蝶について書いていきます。
一人称の「僕」に込められた凜々蝶の本質
まずは、上と同じように主人公コンビも分類してみます。
主 | 従者 |
---|---|
白鬼院凜々蝶(S)<ツッコミ> | 御狐神双熾(M)<ボケ> |
今度はどちらの属性に関しても僕の主観です。
凜々蝶はツッコミで性格もSに見えるんです。
双熾もまた、Mっぽいんですよね。凜々蝶のキツメの言動にも恍惚の表情で喜んで受け入れているので。
ボケかツッコミかでいえば、ボケですしね。
ただし、彼らの本質は全く逆なんでしょう。
青鬼院蜻蛉によれば、凜々蝶は「Sを装ったM」で双熾は「M」だそうなので。
双熾の事はまだまだ僕には分かっていません。
彼のモノローグが圧倒的に少ない故に、本質が理解できていないんです。
ですが、凜々蝶に関しては納得なのですよ。
毒を吐いては、心のうちで反省し、自分を貶めている彼女の本質はやはりMなのでしょう。
で、僕はこの事が彼女の一人称に端的に表せていると考えています。
自分の一人称に関して深く考えた事ってありますでしょうか?
僕、私、あたし、俺、自分等々。一人称が自分の名前の人もいますし、人によって様々ですよね。
また、使う場所・喋っている相手によっても使い分けている事もありますでしょうし、考えてみるとちょっと深くて面白い事だと思うのです。
一人称が複数存在する事は、日本語の面白い点だとも思っています。
かくいう僕はというと…ここでは「僕」にしています。
前のブログでは「私」でしたし、リアルでは「俺」か「自分」です。仕事場では「私」かな。
色々と使い分けてはいるのですが、こと、漫画やアニメのキャラクターになるとほぼ固定されています。
この作品の主人公である凜々蝶はというと、「僕」に固定されていますね。
では、この「僕」にはどういう意味があるかというと…。
調べるまでもなく、下僕や下男等々、男の召使を指す言葉ですよね。
この作品のタイトルに入っている「僕」にもその意味で用いられている事と考えます。
他にも、「対等またはそれ以下の人に対して用いる」とあるように、どちらかというとややへりくだった表現であると言えます。
(参考:goo国語辞書)
これは凜々蝶の内情を表しているように思えませんでしょうか。
表層的には強がって、周りに対しても強気な態度を取るものの、内面的には酷く弱く脆い。
凜々蝶ってどちらかというと、「主」のような人の上に立つようなタイプでは無くて、対等な立場でフランクに接してもらう事を・接する事を望んでいるように見えます。
作中で描かれている彼女のモノローグからこんな事は火を見るよりも明らかですよね。
そんな彼女の本質がこの「僕」という一語に込められているのではないでしょうか。
あくまでも妄想ですが、だからこそ凜々蝶の一人称は「僕」になったように思うのです。
先程、双熾の事はまだまだ分かっていないと書きましたが、この観点からすれば、当然彼の本質は「S」という事になります。
主である凜々蝶が「M」なのですから、それを支える存在であるためにも彼は「S」なのでしょう。
SとMなんて聞くとついついアブノーマルな性癖の方を考えがちですが(僕だけでは無いよねw)、心を支え合うという意味合いで用いられていると考える方が自然かなと。
やはり、この作品はキャラ作りが非常に上手いと思わざるを得ませんね。