「ゆらゆらQ」感想 90年代少女漫画の香りする王道ラブコメ

この記事は

雨隠ギド先生最新作「ゆらゆらQ」第1巻の感想です。
ネタバレあります。

「甘々と稲妻」のギド先生が、帰ってきた。
「good!アフタヌーン」(講談社)で「おとなりに銀河」を連載し、「ザ花とゆめ」(白泉社)で「ゆらゆらQ」を連載。
どちらもラブコメで、どっちを買おうか迷いました。
最終的には「両方買う」という選択肢を取るつもりですが、一先ずは本作の方を手に取ってみました。

理由は明白ですね。
主人公の容姿が好みだったからです。

限りなくどうでも良い話ですが、僕は綺麗系より可愛い系が好み。
スラッとした瘦せ型体型よりもぽっちゃりが好き。
狐より狸が好き。
ということで、「ゆらゆらQ」にしました。
主人公の女の子は狐っ子(狐の神子と人間のハーフ)なので、暴言を吐いている形になってるかもですが、仕方ない。
彼女はもちもちぷにぷにの幼児体系。
狐というより狸ちゃんに見えるので。

とまぁ、僕の好みは横に置きまして、読了しましたので感想です。

読んで安心のほほんラブコメ

僕はそんなに少女漫画って読んだことがありません。
2つ下の妹が小学生時代に「なかよし」と「ちゃお」を買っていて、借りて読んでいたことと。
母が「花より男子」に嵌っていた頃に「マーガレット」を購読していたので、一緒に読んでいたこと。
これくらいかな。
最近はいくつかコミックスを買っていたりしますが、その程度。
読書量で言えば絶対的に少ないので、誤ったイメージを持っているのかもですが、本作に抱いた感想は一言でいえば「90年代の王道少女漫画」でした。

よく言えば絶対的な安心感がある。
予想を外さないストーリーラインと基本コメディ(ギャグ)なので、嫌な気分にもならずに、ほっこりと出来ます。
ただ、悪く言えば新鮮味が無いとなるのかな。
ドロドロとした女の戦いというのも無いし、あっと驚くような展開も待ってません。
この辺りは、漫画に何を求めるのかで今作の満足度が大きく変わってしまう要因になると思います。

個人的には、読んで安心のほほんラブコメを求めていたので、この形で満足。

何が素晴らしいって、主人公の久子(きゅーこ)が皆から愛されているのが良い。

美男美女の兄姉(8人もいる)も1人残らず妹(久子)を溺愛していて、両親も分け隔てなく愛情を注いでくれる。
幼馴染の春人(モデルなみの美形)もそんなきゅーこが気になっています。
恋敵と思しき部活仲間の椎名さんも、きゅーこの魅力にノックアウトされて、あっさりと春人を諦めちゃう。

誰からも愛されるきゅーこだけれど、兄弟で1人だけ「ちんちくりん」な容姿にコンプレックスを持っていて…。

少女漫画永遠のテーマ「変身願望」

男の子が変身というと、基本的には悪と戦う為だったりします。
仮面ライダー、戦隊シリーズ等々。
あくまでも「強くなる」手段の1つであり、言い換えれば、強くなりさえすれば変身には拘らないところがあります。

けど、女の子は違うのかなという認識があります。
女の子にとっての変身は、コンプレックスからの脱却。
容姿であったり、性格であったり。
兎角、自分のコンプレックスを忘れて、憧れを具現化した姿になれる。
そういった位置づけで変身が使われている気がするのです。

それは成長しても同じで、女性は化粧をして変身願望を叶えている…と書くと宜しくありませんね。
(余談ですが、マナーとして化粧を強要されるというのは、悪しき風習だと思うのですが、どうなんでしょう。)

何が言いたいのかというと、変身というのは、女性にとって幾つになっても共通のテーマになり得るのだということ。

きゅーこもお狐様の力で変身が出来るようになります。
老若男女関係なく魅了してしまう美しい姿に変身するのです。
それこそ、憧れの兄や姉のような美しい姿になる訳で、つまりは、きゅーこもまた「嫌な自分からの脱却」を目指すのかなと思いきや、簡単にはいかずというのが面白いところ。

先にも書いたように、両親も兄も姉も皆ちんちくりんな今のきゅーこが好きなのです。
幼馴染の春人もそうです。
きゅーこの周りは、彼女の容姿を悪く思っていない訳で。
けれど、彼女自身は変えたくて。

扱いようによっては、どこまでも深く重くしていけるテーマになりそうですが、さらっと描いてくれています。
で、それがとっても良い。

コンプレックスって、僕もあるけれど、やっぱり無くしたいというのが本音。
鏡を見て嫌な気分になるから、綺麗さっぱりバイバイしたい。
だから、一歩踏み出してバイバイしちゃうのも、解決策としてはアリだと思う。

一方で、両親から授かった体にメスを入れるのはという抵抗感があるのも分かる。
きゅーこのように家族や親友(春人)が「今が良い」って言ってくれて、その気持ちを尊重したいという気持ちだって、十分に理解できます。
(狐っ子の場合は、整形とか物理的なことでは無くて、変身なのだけれど、同じものと見做してます)

んで、物語としては、やっぱり後者を見たいじゃないですか。
さくっと「無かったことにしました」ではドラマが生まれづらいから。
コンプレックスと愛してくれる人たちの想いにどう折り合いをつけていくのか。
それが見たい。
そして、それが見れたから、面白いと言ってます。

「かっこよくて綺麗なだけのみんなが好きなわけじゃないんだ」というきゅーこのセリフは、今作にとって非常に大事な言葉ですね。

見た目だけではなく、中身も好きだからこそ、皆が大好き。
つまりはそういう落としどころを見つけ、そこに向かって直向きに努力するきゅーこの頑張りを見続けていきたいなと、そう思ったわけです。
ついでに、友達扱いされてる春人がどうきゅーこを振り向かせるのかも注目ポイントですねw
シスコンの兄(特に次男の三郎)の邪魔だてを交わしてラブコメ出来るのか。
春人君の頑張りに期待しましょうw

終わりに

なんだか2巻で終わっちゃいそうなあとがきですが、出来れば5巻くらいまでは続いて欲しいなぁ。
この優しい世界でのほんわかラブコメを少しでも長く読み続けたいので。
構成が変わってくれることを期待しつつ、ここらで終わります。

 

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